日本ではあまり話題になっていませんが、コインチェックのNEM約580億円分の流出事件に続き、イタリアの取引所BitGrailで約211億円のNano(旧RailBlocks、XRB)が流出しました。
どうなっているか調べてみたので、ご紹介します。もし間違いがありましたらご指摘いただけますと幸いです。
そもそもどのような事件か?
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その仕組み上、取引手数料がかからず、かつ秒間トランザクションが7000以上と、他の仮想通貨と比べても圧倒的に優れている点が評価されています。そのため、一部の人たちの間では将来が有望視されています。
どれだけ高速かは、開発者の↓のツイートを見るとその高速さが感覚的に判ることでしょう。
Needless to say, $XRB RaiBlocks has extremely fast transactions and can handle high volumes. $BTC $ETH $LTC and $XRP have some competition. pic.twitter.com/r2MfzOFf0w
? RAIBLOX.com – RaiBlocks (@RAIBLOX) 2017年12月24日
そのような高性能なNanoですが、2018年2月8日にイタリアの取引所BitGrailで、約211億円分が流出するという事件がありました。この報道については、他のニュースサイトさんを見るのが手っ取り早いと思いますので、そちらをご覧ください。
- 約211億円分の仮想通貨Nanoが流出。被害の取引所CEOは早々に「全額補償は不可能」とツイート (Engadget Japanese)
- イタリアの仮想通貨取引所、約211億円相当の「Nano」を不正流出 CEO「100%を返済する方法はない」 (ねとらぼ)
上記のリンク先にも書かれていますが、今回の流出はNano側のバグではなくBitGrail側の管理の問題とされています。BitGrail側は、Nanoの台帳部分の修正を提案してきた(つまりハードフォーク)とありますが、Nano側はそれを拒否したとあります。
このあたりの対応は、コインチェックのNEM流出事件と似ています。ちなみに余談ですが、似たような事件で実際にハードフォークしたのはEthereumのETCとETHがあげられます。
今はどうなっているのか?
BitGrail及びNano Coreチームのアナウンスを見ている限りでは、NEM事件と比べると進展が遅いという印象を受けています(筆者の調べ方が下手で情報を見つけられていないだけなのかもしれませんが・・・)。
現状、Nano Coreチームでは、以下の2つの声明を出しています。
- Official Statement Regarding BitGrail Insolvency (2018/02/08)
- BitGrail Insolvency Update???2/11/18 (2018/02/11)
1番目の内容は、紹介したニュースサイトの記事に反映されているため、2番目について見ていきたいと思います。
Nano Coreチームによると、BitGrailとNano側のやり取りはうまく行っておらず、2月9日でBitGrailがNanoチームとの連絡を絶ったようで、依然としてNano CoreチームはBitGrailからの追加情報を待っています。
現状判明している点としては、bbjnで終わるアドレス(クリックでブロックチェーン上のアドレスの詳細を表示します)から、100万米ドル相当の984万Nanoが送信されているということです。他に似たパターンの動きをしているアドレスがもう1つあるそうですが、こちらは非公表となっています。
Nano CoreチームにはまだBitGrailからすべてのウォレットが公開されていません。そのため、他の取引所が盗難されたNanoの取引を凍結する可能性を示唆しつつも、現状でそれに踏み切れていないと読み取れます。
さらに、BitGrailから提供されたSQLダンプによると、2017年10月19日から23日にかけて、bbjnで終わるアドレスから立て続けに送金がなされており、特に10月23日は102万ものNanoが送金されていることが判っています。さらにそれらのNanoは、BitGrailの別口座とMercatoxに送金されています。これらの送金はBitGrailが承認していないトランザクションになります。
現時点で、Nano Coreチームから出ている声明は上記の通りになります。上記を総合すると、BitGrailはNanoの流出が起きていたことを隠していたということになります。また、2月9日時点でBitGrailが破産宣言を行っている為、この事件は暗礁に乗り上げる可能性が高くなっています。
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事件が与える市場への影響は?
日本でコインチェックのNEM流出事件が発覚した際は、NEMが大暴落しました。一方で、Nanoの流出では驚くほどに価格が横ばいで安定しています。
以下のチャートは、CoinMarketCapのNanoのページより2018年2月1日から本記事執筆時の2月12日まで絞ったものになります。
本事件に関する情報