インタビュー

CROSSTECH 宇原氏 & 中西氏 抜本リニューアルされたプロジェクトについて訊く(前編)- リボーン理由と全体像

インタビュー

価値移転の総合プラットフォームを目指すCROSSTECHは、2018年にプロジェクトを立ち上げ、2019年に最初のプロダクトをリリースしました。その後、紆余曲折を経て2021年4月、プロジェクトをフルリニューアルして”リボーン”(Re-born)することを発表しました。

今回は、一時帰国したアゼルバイジャン法人代表の宇原氏と、プロジェクト全体の企画開発を行う中西氏より、新しくなったプロジェクトCROSSTECHについて訊きました。

本インタビューは前後編に分かれています。前編では、なぜプロジェクトをリボーンすることになったか、そしてそこからのプロジェクト全体像について伺っていきます。

前編 リボーンの理由とその全体像

リボーンの経緯

加藤:COSSプロジェクトをリボーン(Reborn)という形でCROSSTECHにフルリニューアルすることになったようですが、その経緯を教えてください。

宇原:これまで、CROSSプロジェクトではいくつかプロダクトを作ってきました。「BtoC向けの取引所=CROSSプロジェクト」と思っている人が多いのですが、実際にはBtoB向けにもいくつかのサービスを出しています。今までプロジェクトが作ってきているプロダクトやテクノロジーはいくつかあるものの、特にBtoBのものはほとんど知られてきませんでした。もちろん、知ってもらうための、我々の努力が足りなかったということもありますが、リボーンではこれらを統合することで認知度をあげていく目的があります。また、CROSS exchangeとKOINDEXを統合し基本機能やホワイトペーパーを現在の市場にあわせてアップデートします。それによりプロジェクトの全体の収益性、選択肢を増やすことができ、それが投資家へのメリットにもしっかりとつながると考えています。

そして、既に発表した通り、内部の契約問題を整理しました。今まで各国に散らばっていたリソースをお互いに共有できるようにし、プロダクトを統合できるようにしました。これは、統合することによってコンパクトにまとめましょうということではなく、新しい革新的なものを生み出していこうということです。

リボーン後のプロジェクト全体像

加藤:旧プロジェクトCROSSでは、もともと価値の総合交換・総合流通を目指していましたが、CROSSTECHになってからプロジェクトの全体像はどのように変わりますか?

宇原:CROSSのもともとのホワイトペーパーでは、プロジェクト自体のコンセプトとして、あらゆるものをトークン化して価値交換できるプラットフォームを作るというものがあります。このコンセプトは、CROSSTECHになってからも変わっていません。

僕は、ブロックチェーン業界は変わっていると思っていて、それはテクノロジーが先行しているということです。一般的には、最初に問題があって次にテクノロジーを使って解決するものですが、ブロックチェーンはその逆です。2015-2016年頃は、ブロックチェーンという問題の解決策が出てきて、それが独り歩きして問題を探しているという状態でした。その当時から、ブロックチェーンのユースケースとしてNFTやDeFiが考案されていましたが、まだプロダクトはありませんでした。もっと言うと、NFTやDeFiという言葉すらありませんでした。今は、現にNFTやDeFiという名前がついていて、プロダクト化されたものがあり、資金が流入して盛り上がっています。

先程の通り、CROSSTECHはもともとのコンセプトからは一切ブレておらず、やろうとしていることは当時のままです。ただし、技術に名前が付いたりなど、トレンドとともにアップデートしていくものがあるので、業界の流れを捉えながらプロダクトを統合、開発していきます。

加藤:プロダクトが統合されると、どのような全体像になるのでしょうか?

宇原:プロジェクトのServicesのページを見ていただくとわかりますが、実は結構あります。これらのサービスはCROSSTECHコンソーシアムメンバーである各企業が作っているものが大半で、CROSSTECHは各企業にシステム提供をしています。これから開始されるものサービスもありますが、大半のサービスは既に完成しています。

取引所に関して言うと、取引所がたくさんある中で、現実的に自分たちが純粋な取引所機能だけで差別化していくのは困難です。もちろん、既存機能やUI/UXのアップデートは継続して行います。しかし、取引所ばかりにとらわれるのではなく、これからはもともとのコンセプトだったトークンを使った価値交換のプロダクトを、CROSSTECH独自の色を盛り込み、リリースしていきます。

CROSSTECHの統合内容

中西:あまり一般に目立っていないプロダクトだとBtoB向けのものがあります。韓国のRMTは、法定通貨が使える交換所になります。交換所というのは、法定通貨と仮想通貨が交換できる機能になります。今はRMTでEggMoney(エッグマネー)と呼ばれる決済端末を提供していて、マルチデバイスで使うことができます。例えば、店舗内でそのまま発注してレジに行って決済することができます。EggMoneyは、韓国で何十台か出荷していて、最近は米国でも出荷が始まりました。まだ名前は明せませんが、とある米国企業と組んでそこの物販ネットワークの決済でEggMoneyが使われる予定です。このサービスは、CROSSTECHのPayYes(ペイエス)と呼ばれるサービスに統合されます。

中西:また、RMTにはRMTモールと呼ばれるネットショッピングモール機能があります。これは、CROSSプロジェクト初期から韓国で展開しているものなのですが、ネットショッピングを仮想通貨だけで決済をすることができます。その中には、代理店機能や帳票機能などがあり、ビジネスの仕入れから販売までを完結することができるようになっています。今まではBtoB向けでしたが、今後はクラウド型のサービスとしてBtoCやCtoCの分野にも進出していく予定ということです。

さらに、CROSSTECHでは、NFTのサービスをローンチします。それらのサービスが我々が開発しているXCRチェーン上に乗るようになります。まずは、アーティストを集めてアートからはじめていきます。そして、それをポイントやチケットに広げていきます。CORSSTECHでは、リボーンのタイミングで、OpenSky Blueと呼ばれるNFTプラットフォームを出していきます。なので、宇原が話している通り、やっていることは当初のホワイトペーパーから変わっていません。

ちなみに、1年前にCROSSがNFTの方に行くかポイントの方に行くかを選択する岐路がありました。そしてポイントを取りました。ポイントに関しては、これから様々なBtoBのプロダクトをリリースします。ポイントの方に取り組んでいたら、結局は先にNFTが盛り上がってきました。

加藤:結局、NFTが盛り上がってOpenSky Blueを立ち上げることになったのですね。アートのアーティストを集めてどのようなことをするのですか?

中西:そもそもですが「アートの価値って何?」ということなんです。近代アートの概念が出たのは1860年代で、長い人類の歴史でみたら割と最近のことです。それまでの”絵”というのは工業製品という考え方だったので、アートという考え方ではありませんでした。つまり、飾りとして書いてもらうという感じです。

そして、アートの価値って何なのかというと、基本的には歴史になります。誰が書いて、誰が所有したかといった具合に。これはブロックチェーンの履歴が積み重なっていく概念に近いです。今までのアートは、アナログな場所で価値の交換が行われてきたものが、今度はNFTというテクノロジーによってデジタルな場所で交換が行われるようになりました。ですが、結局のところアートには価値が付いています。ちなみに、アート投資は100倍や200倍がザラにある世界で、プライベートバンクのアセットの中に必ず入っています。なぜかと言うとそれには普遍的な価値があるからです。

普遍的な価値のものがテクノロジーの力で進化していくのであれば、我々が当然それをやろうということです。我々は価値の交換をやっているので、トークンで価値化されたものをどのように交換させるかということをアーティストに提案していきます。今のアーティストは、こういう提案には乗ってきます。なぜなら、自分の価値を上げたいとか試したいというのはあるのですが、根底には次はこれだとみんなが思っているからです。

我々には国際的に情報発信ができるプラットフォームがあるので、そこで価値を発信していき、その後で価値を交換できる場所を提供する流れを作っていこうと考えています。

加藤:まずは価値の発信をしていくわけですね。

中西:NFTに関しては投機的な部分はありますが、我々は文化活動的な要素が重要だと思っています。この作品でいくら儲かるというよりも、もっと作品の価値をきちんと世の中に、文化的に浸透させていく活動をしていきます。本来、価値の交換を考えるのはその後からです。

宇原:アートの作品をNFT化したとすると、作品を作る人にとってはまさに1点モノです。それが転売されたりするわけです。価値が移転、つまり作品の持ち主が移転していくのですが、今は移転の概念が変わるフェーズにきています。

価値の広め方というところを含めて、これからアートや作品の概念が変わってくるはずです。そこは我々、CROSSTECHが概念を作っていきます。これは、もともと我々がやりたかった世界観なので、これからユーザーに発信して伝えていければと思っています。

ただ、完全に自律分散に移行したとしても、付いてこられるのは一部のコアなユーザーだけになってしまいます。我々は、ユーザーが置いてきぼりにならないように、時代の流れやユーザーのリテラシーに合わせてサービスを作っていきます。今のDeFiを見ると、使っているのは本当にごく一部の仮想通貨ユーザーですしね。

後編の予告

前編では、CROSSプロジェクトがリボーンするきっかけや全体像について伺っていきました。後編では、具体的にサービスがどのように進化していくのかに注目していきます。

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CROSSTECHに関する情報

CROSSTECH 公式サイト

この記事を書いた人

TOKEN ECONOMISTのDirector。「ブロックチェーンによる少し先の未来を魅せる」をポリシーに、注目しているプロジェクトの紹介やインタビューを行っています。

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