Babylonの概要
Babylon(バビロン)は、BitcoinチェーンのセキュリティをProof of Stake(PoS)を採用しているブロックチェーンにもたらし、$BTC保有者に利回り確保の機会をもたらす、Bitcoinのステーキングプロトコルです。Bablylonそのものは、Cosmos SDKベースのレイヤー1ブロックチェーンとして構築されています。Babylonによりセキュリティが強化されるPoSチェーンは、IBCを採用しているブロックチェーンから始まり、その後のフェーズで対象範囲が拡大されます。
ここ数年で、ブロックチェーンのセキュリティは、Bitcoinに代表されるProof of Work(PoW)からProof of Stake(PoS)に移行しました。PoWでは、マイナーが難しい計算パズルを解くことでブロックチェーンを保護しますが、PoSでは、ネイティブトークンをステーキングするバリデータがブロックチェーンを保護します。PoSでは、ステークされているトークンの価格が高いほど、トークンを多く取得するのが難しくなります。そのため、PoSのブロックチェーンのセキュリティは、ステーキングに使われるネイティブトークンの時価総額に依存すると言うことができます。この特性は、小規模なチェーンや新しく立ち上げられたチェーンにとって、セキュリティの確保を難しくします。そのため、これらのチェーンはバリデータを誘致するために、高い利回りを提供するトークン経済設計を行います。しかし、これはネイティブトークンの高いインフレを招き、結果的にチェーンの経済的成長を妨げる要因となります。
Babylonは、上記のような解決するために開発されました。Bitcoinタイムスタンププロトコルを利用することにより、PoSブロックのハッシュと署名がトランザクションとして送信され、Bitcoinチェーンに記録されます。Bitcoinタイムスタンププロトコルにより、PoSのブロックチェーンは、ブロックチェーンの中で最も強大なBitcoinのセキュリティの恩恵を受けることができるようになります。また、この仕組みはBitcoinチェーンから直接ステーキングを行うことができるリモートステーキングにより実現します。$BTC保有者は、$BTCをブリッジすることなくステーキングを行い、接続先チェーンの検証に参加して利回りを得ることができるようになります。
Babylonは、2024年8月22日よりメインネットの起動フェーズに入りました。フェーズは全部で3段階あり、2024年12月9日時点ではフェーズ1にいます。フェーズ1では後述のスラッシングがありません。Babylon PoSチェーンの稼働は、フェーズ2に予定されています。
Babylonの特徴
対BTC保有者:安全な方法で$BTCから利回りを得られる
BitcoinはPoWを採用しているため、PoSのように$BTCを使って直接利回りを得るということができません。そのため、$BTCを運用するためには、中央集権的なサービスに$BTCを送ったり、他のチェーンにブリッジをする必要があり、これらにはリスクが伴います。
Babylonでは、$BTCは専用のアドレスに送られてロックされ、他のチェーンにブリッジすることなく接続先チェーンの検証作業に参加することができます。これにより、$BTC保有者はこれまでにない安全な方法で$BTCから利回りを得ることができます。
しかし、$BTCがまったく失われない保証があるわけではなく、ステーキングをしている先のバリデーターが二重署名などの不正をすると、PoSのチェーンにおけるステーキングと同様に$BTCがスラッシングされることになります。スラッシングでは、ステーキングに使用されている$BTCアドレスの秘密鍵が開示され、$BTC残高の3分の1が差し引かれてバーンされます。
対BTC保有者:ステーキング解除後のロック期間が短い
一般的に、PoSを採用するブロックチェーンは、長距離攻撃に対抗するためのソーシャルコンセンサスが必要になるためステーキング解除後のロック期間が長く設定されています。例えばCosmos Hubでは、ステーキングを解除してから21日間$ATOMがロックされます。
一方で、BitcoinはPoWを採用しているため、正規の最長チェーンを置き換えるためにフォークされたチェーンを作成するためには莫大なコストがかかり、長距離攻撃の実行は極めて困難です。これは、Bitcoinのステーキングプロトコルのアンボンディングが、ソーシャルコンセンサスなしですぐに行えるということを意味します。そのため、Babylonでは、ステーキング解除後のロック期間が3日間に短縮されます。これは、$BTC保有者の資産効率を上げることにもつながります。
対チェーン:Bitcoinチェーンのセキュリティの恩恵を受けられる
Babylonは、IBCを採用したPoSチェーン(Consumer Zone)のブロックのハッシュと署名を収集して、それらを集約してBitcoinタイムスタンププロトコルを使いBitcoinチェーンに書き込みます。Bitcoinチェーンに書き込まれた情報はチェックポイントと呼ばれ、検証可能にすることで、Consumer Zoneを改ざんから保護します。つまり、Consumer ZoneはBabylonにより、Bitcoinチェーンのセキュリティの恩恵を受けられるようになります。
2024年12月9日時点において、Bitcoinチェーンの攻撃を行うコストは1時間あたり413万ドル(日本円で6億2000万円程度)とされています。Consumer Zoneは、このような極めて協力なセキュリティを使用できるようになります(参考:PoW 51% Attack Cost)。
Babylonのトークン
Babylonのトークンに関する情報は、2024年12月現在は公開されていません。