コラム

やっぱり資産の動きは把握されたくない!そんな人のための分散型取引所の現状 (2018年5月版)

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ブロックチェーンは基本的に透明性が高く追跡可能です。例えば、Ethereumウォレットのアドレスさえ知ってしまえば、誰でもその残高を見ることができます。

私の周りでは、あまり資金がないとしても、資金の動きを知られるのは気分が良くないという意見をよく聞くようになりました。

これは私も共感することで、結局一番追われないのは現金じゃないのか?とすら思えてしまいます。

そんな人たちのために、分散型取引所(略してDEX)という取引所が存在しています。分散型取引所の現状を確認してみました。

分散型取引所とは

[the_ad id=”7860″]分散型取引所(Decenterlized Exchange、略してDEX)は、新しい形態の取引所になります。

国内の取引所は、すべて中央集権取引所という形態になります。中央集権取引所では、利用者が取引所に資金を預け売買します。取引所が利用者のウォレットの秘密鍵を管理しているため、ウォレットの秘密鍵が漏洩すると、大量の資金が流出してしまいます。

対して、分散型取引所は利用者がウォレットの秘密鍵を管理します。取引所は単に利用者マッチングの場を提供すれば良く、万が一取引所がハッキングされても利用者の資金が流出することはありません。

こうしてみると、分散型取引所の方に圧倒的な優位性がありそうですが、そうとは限りません。

分散型取引所は取引速度が遅く、手数料が高く、また扱える仮想通貨がベースとなるプラットフォームに依存しています。また、使い勝手が悪いため、画期的な割に普及が進んでいません。そして致命的なのは、分散型取引所のアカウントを忘れると永遠に資金が失われてしまうことです。

現在は、それらの問題を解決するために、様々な分散型取引所の開発が進んでいます。

分散型取引所ではなぜ資金の動きが把握されにくいのか

分散型取引所ではなぜ資金の動きが把握されにくいのかは、中央集権取引所を理解するとすぐにわかります。

中央集権取引所では、ウォレットを取引所が一元管理しています。中央集権取引所では、ウォレットと顧客との紐づけを行う必要があるため、ブロックチェーンでウォレットからの資金の動きを追っていくことにより、結果的に資金の動きを把握されることになります。

一方で、分散型取引所ではウォレットの管理は利用者が主体になります。例えば、TrezorやLedger Walletから直接取引をすることになります。そのため、外部から見るとウォレットは顧客と紐づいていないように見えるため、資金の動きが把握されにくくなります。

ウォレットと利用者が紐づけられるわけではないので、分散型取引所ではKYC(身分証明)を取らないところがほとんどです。ただ、最近は一部分散型取引所で、サービス提供の都合上、KYCをするところが出始めています。

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2018年5月現在はどのような分散型取引所があるのか

それでは、どのような分散型取引所があるのか見ていきましょう。さすがにすべてを紹介するのは難しいので、筆者の主観で代表的なものをピックアップしました。

取引所の売買高ランキングは、5月29日にCoinMarketCapから取得しています。このランキングは、売買高を公表している取引所のみになります。売買高ランキングは高ければ高いほど良いです。

参考までに売買高が日本で一番低いフィスコ仮想通貨取引所が27位になります。分散型取引所がいかに売買に乏しい取引所であるかがわかるかと思います。

ForkDelta

売買高ランキング:139位

ForkDeltaは、Ethereumプラットフォームに特化した分散型取引所です。扱うことができるトークンはEthereumベース(例:ERC20トークン)のものに限られます。

ForkDeltaは、EthDeltaという分散型取引所からフォーク(分岐)し、現在も開発が続けられています。フォーク元のEthDeltaは、老舗中の老舗の分散型取引所です。

リンク先にアクセスすると判る通り、非常にわかりづらいインターフェイスで、手数料はバカ高いです。唯一の救いどころは、上場しているトークンの種類がピカイチというところだけです。

IDEX

売買高ランキング:71位

IDEXは、Ethereumプラットフォームに特化した取引所です。扱うことができるトークンはEthereumベース(例:ERC20トークン)のものに限られます。

取引所のインターフェイスは、中央集権取引所のものと似ており、使いやすさはForkDeltaをはるかに上回ります。また、手数料が0.1%(買い)/0.2%(売り)と、分散型取引所としては安めになっています。

Bancor Network

売買高ランキング:77位

Bancor Networkは、Bancorプロトコルを利用した分散型取引所です。

現在、分散型取引所では、取引量が少ないことによる流動性の問題があります。Bancorプロトコルでは、ETH本位の準備金を用意することにより、売買が成立しないことを防げるようになっています。

また、Bancor Networkでは、KIN→OMGのように、基軸になっていない仮想通貨同士を交換することができます。

Waves Platform

売買高ランキング:79位

Waves Platformは、Wavesプラットフォームの分散型取引所です。

Waves Plaftormは他の分散型取引所と異なり、そのプラットフォーム以外の仮想通貨も売買することができます。Ethereumベースの分散型取引所では、Ethereumベースのトークンしか扱うことができませんが、Waves PlatformではWavesプラットフォームと異なるチェーンのBTC, ETH, BCHなども扱うことができます。

また、あまり積極的な利用はされていませんが、Waves Plaftormを利用してICOが行われることもあります。他のプラットフォームよりもオリジナル通貨の発行が簡単であるため、どう見ても需要がないどうでも良いトークンの発行が横行しています。

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Kyber Network

売買高ランキング:145位

Kyber Networkは、Ethereum創始者がアドバイザーとして関わっている取引所です。

これまでの分散型取引所は、使い勝手が悪く、即時取引できないという問題がありました。その問題を解決すべく作られたのがKyber Networkになります。

Kyber Networkは、Ethereumベースのトークンしか扱えるようになっていないものの、その手軽さは他の分散型取引所を凌駕します。日本の取引所に例えると、コインチェックのような手軽さがあります。Kyber Networkでは、単に交換したい通貨を指定して取り引きするだけになります。

Kyber Networkの現状はEthereumベースのトークンだけですが、将来的なロードマップでは他のブロックチェーンとの相互交換が可能になるようです。

CryptoBridge

売買高ランキング:119位

CryptoBridgeは、BitSharesプラットフォームを利用した分散型取引所です。取引は、すべてBitSharesのブロックチェーンに記録されます。

取引手数料は0.2%になるため、高すぎず安すぎずという水準になります。

CryptoBridgeでは、異なるブロックチェーンの通貨を売買することができ、かつ上場されている通貨の種類も多いことから、筆者は現時点では最も優れた分散型取引所の1つではないかと考えています。

Switcheo Network

売買高ランキング:109位

Switcheo Networkは、NEOプラットフォームを利用した分散型取引所です。

取引手数料が安いのが特徴で、売買手数料は0.15%、送金手数料はゼロになります。

現在はNEOベースのすべてのトークンが売買できるものの、そもそもNEOベースのトークンが少ないので、通貨の充実度という点では他より劣ります。

Switcheoでは、将来的に異なるブロックチェーンの通貨も売買できるようになる予定です。今後の発展に期待している人が多い取引所になります。

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これから有望と目される分散型取引所は

Altcoin.io

Altcoin.ioは、2018年中にオープンを目指している分散型取引所です。

アトミックスワップとプラズマという技術を利用し、安全かつ高速に、しかも異なるブロックチェーンの通貨を交換することができます。

2018年5月29日現在、事前登録を受け付けています。

Neon Exchange (NEX)

Nron Exchange (NEX)は、NEOベースの分散型取引所です。

高速取引や異なるブロックチェーンの通貨の交換を可能にし、信用取引のようなより柔軟な注文形態に対応させます。

2018年5月29日現在、ICO前になります。

Photon

Photonは、中間型の分散型取引所になります。

従来の取引所では、利用者が主体的に管理するウォレットを使ってきました。一方Photonでは、従来と同様のウォレットの他、中央集権取引所のウォレットと接続(APIや業務提携を経て)することにより、従来の分散型取引所でなし得なかった大きな流動性を作り出すことを目的としています。

中央集権取引所と接続するため、PhotonではKYCを行うことを見込んでおり、分散型取引所でありながら身元を隠すということができません。

2018年5月29日現在、ICO中になります。

未だに課題が多い

ご覧のように、分散型取引所は未だに売買高が少なく、有利なレートで売買できない可能性があります。また、取引手数料は若干高く、最近になって使い勝手がやっと中央集権取引所に追いついてきたというレベルです。

これから後発で登場してくる分散型取引所は、今までの分散型取引所の課題を解決することを目指しているものが多い為、取引所の使い勝手はだんだんと良くなっていくことでしょう。

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この記事を書いた人

TOKEN ECONOMISTのDirector。「ブロックチェーンによる少し先の未来を魅せる」をポリシーに、注目しているプロジェクトの紹介やインタビューを行っています。

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