当サイトではLINEで情報配信サービスを行っていますが、先日このようなお問い合わせがありました。
今は取引所トークンがバブルとも思えるくらい注目されていますね。
それでは、これらの取引所トークンが安全に保管できるか模索していきましょう。
取引所トークンの規格を知る
なぜ取引所トークンの規格を知るのか?それは、どのウォレットが使えるかを知るためです。
まずは各取引所トークンの規格を見ていきます。
取引所 | シンボル | 規格 |
---|---|---|
BiBox | BIX | ERC20 |
BKEX | BKK | ERC20 |
Binance | BNB | ERC20 |
Bankera | BNK | ERC223 |
CoinBene | CONI | ERC20 |
CoinEX | CET | ERC20 (将来的に独自チェーンに移行予定) |
COSS.IO | COSS | ERC20 |
CryptalDash | CRD | ERC20 |
CryptoBridge | BCO | 独自チェーン |
Fcoin | FT | 不明 |
Huobi | HT | ERC20 |
Kucoin | KCS | ERC20 |
KyberNetwork | KNC | ERC20 |
MIDEX | MDX | ERC20 |
OCX | OCN | 不明 |
OKEx | OKB | ERC20 (将来的に独自チェーンに移行予定) |
QUOINEX | QASH | ERC20 |
Switcheo Network | SWTH | NEP-5 |
ご覧のように、多くがERC20(もしくはその下位互換のERC223)という規格に対応しています。
ERC20というのは、イーサリアムのブロックチェーン上で扱うことができるトークン規格を指します。
イーサリアムというと、仮想通貨のETHを思い浮かべる人が殆どだと思います。正確にはETHは、イーサリアムのブロックチェーンにおける基軸通貨のことを指します。
そして、イーサリアムのブロックチェーン上ではETH以外にERC20のトークンも扱うことができるのです。
つまり、ERC20に対応したイーサリアムウォレットであれば、ETHの他にERC20規格の取引所トークンを保管することができるようになります。
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保管方法によってメリット・デメリットが存在
「じゃあ、取引所トークンをERC20に対応のイーサリアムウォレットに預ければOKなのでは」と思うかもしれませんが、取引所トークンの場合は、そう単純ではありません。
というのも、最近の取引所トークンは取引所利益の一部を配当するものがあり、配当をもらいたければ取引所にトークンを置いておくことが前提条件となります。
これには一部例外があり、外部のウォレットにトークンを置いていても、一定の手続きをすると配当をもらうことができる取引所も存在します(例:Bankera)。
上記を踏まえた上で、配当が出るタイプの取引所トークン保管方法の比較になります。
保管方法 | メリット | デメリット |
取引所に保管 | ・配当を得ることができる ・トークンをすぐに売却することができる |
・取引所トークンが流出するリスクがある(ハッキングなど) |
外部ウォレットに保管 | ・取引所トークンが流出するリスクを極力排除できる | ・配当を得ることができない(一部例外あり) ・売却時にトークンを取引所に移す手間があるため、すぐに売却することができない |
つまるところ、保管方法の選択は「配当を取るか、セキュリティを取るか」の判断になるというのがお分かりいただけるかと思います。
念のため、取引所トークンを外部ウォレットに保管する場合のメリットについて補足します。
この保管方法でも、取引所トークンの流出リスクは完全にゼロにできません。というのも、ウォレットのセキュリティはウォレットの保管方法や扱う人の知識レベルに依存してしまうからです。
そのため、きちんとした管理ができていないと、結果的に取引所トークンの流出につながってしまいます。”きちんと管理”ということをもう少し具体的に書くと、
- ハードウェアウォレットを使う。復元キーワードを第三者に不正取得されない状態で保管する。
- ソフトウェアウォレットを使う場合でも、ウォレットのパスワードを不用意に転用しないようにする。復元キーワードを第三者に不正取得されない状態で保管する。
になります。セキュリティのベストは、ハードウェアウォレットを使うことです。
どのようなハードウェアウォレットを使えばよいか?
もし、取引所トークンから配当をもらいたい場合は、以降の内容を読み続ける必要はありません。
それでは、ここまで見てきた内容をいったん整理しましょう。
- 取引所トークンはERC20規格のものが多い。
- ERC20規格のトークンは、ERC20に対応したイーサリアムウォレットで保管できる。
- 取引所トークンの保管方法の選択は「セキュリティを取るか、配当を取るか」が基準になる。
- セキュリティのベストは、ハードウェアウォレットを使うことである。
取引所トークンはERC20のものが多いので、ERC20に対応しているハードウェアウォレットを使えば最も安全にトークンを保管することができます。最近流通しているハードウェアウォレットは、ERC20に対応しています。
ハードウェアウォレットの代表的なものは、以下のものがあります。
筆者自身は、Ledger Walletシリーズのうち、Ledger Nano Sを使用しています。
Ledger Nano SでERC20規格の取引所トークンを扱うには
ここでは、Ledger Nano Sを使った場合の、ERC20規格の取引所トークンを扱うポイントをお伝えします。ここから先の文脈では、取引所トークンといえばERC20規格に対応しているという前提でお読みください。
取引所トークンをLedger Nano Sに保管する場合、単に取引所からLedeger Nano Sのイーサリアムウォレットのアドレスに送金すればOKです。
問題はLedger Nano Sから取引所トークンを送金する場合です。
Ledger Nano Sから取引所トークンを送金するには、Ledger Nano Sが公式に用意している送金アプリでは対応することができません。公式の送金アプリではETHとETCしか扱えないからです。
そのため、Ledger Nano SとMyEtherWalletやMyCryptoを連携させて取引所トークンを送金させることになります。
Ledger Nano Sから取引所トークンを送金する場合のポイント
ここでは、MyEtherWalletを使ったことがある人向けに、Ledeger Nano Sから取引所トークンを送金できるようにするためのポイントをお伝えします。もし、MyEtherWalletでうまくいかないなら、派生サービスのMyCryptoをお試しください。
MyEtherWallet側のポイント
- 取引所トークンを保管しているイーサリアムウォレットに少額のETHを入れておく必要があります。このETHは取引所トークンを送金する際のGAS(送金手数料)として使われます。
- 「Ether/トークンの送出」では、操作するウォレットとして「Ledger Wallet」を選択します。この時に、Ledger Nano S本体側でEthereumアプリを開いている状態にします。ただし、後述の「Ledeger Nano S側のポイント」の条件を満たしている必要があります。
- もし「トークン残高」に保有している取引所トークンが表示されていない場合、以下の手順を行います。
- Ethplorerの画面:Ethplorerを使い、トークンを保管しているアドレスを検索します。
- Ethplorerの画面:その後の画面に表示される「Token Balances」で、送金したいトークンの名前をクリックします。
- Ethplorerの画面:画面内の「Contract」「Symbol」「Decimals」の内容をメモします。
- MyEtherWalletの画面:MyEtherWalletの画面に戻り「カスタムトークンを追加」をクリックします。
- MyEtherWalletの画面:手順3でメモした内容を、以下の項目に入れて「保存する」をクリックします。
- トークン契約アドレス:「Contract」の内容を入れる
- トークンシンンボル:「Symbol」の内容を入れる
- 桁数:「Decimals」の内容を入れる
Ledeger Nano S側のポイント
- Ledger Nano S本体のEthereumアプリの「Settings」⇒「Browser Support」を「Yes」にします。
ただし、この操作をするとChromeアプリの「Ledger Wallet Ethereum」が利用できなくなります(「No」に戻すとまた利用できます)。
さいごに
いかがでしたでしょうか。
取引所トークンを安全に保安する場合は、セキュリティと引き換えに配当を諦める必要があります。
どちらが良いかは、それを扱う皆さん次第なので、この機会に一度考えてみてはいかがでしょうか。
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