ビットコインの半減期が2020年5月に控え、ブロックチェーンメディアのニュースでは半減期に関する記事が増えてきました。実は、2020年は仮想通貨の半減期ラッシュになります。
半減期を迎える仮想通貨は価格が上がると言われていますが、実際のところ過去の価格推移がどのようなものだったのかを検証しました。そこから今後のビットコイン価格の動きを紐解いていきます。
本記事は前後編に分かれています。前編では、半減期前後の価格の推移に注目し、半減期前後でどのような投資戦略を行えば良いのかを見ていきます。
半減期とは何か?
半減期とは、仮想通貨のマイナー報酬が半減するタイミングのことを指します。
取引の承認アルゴリズムにProof of Work(PoW)を採用するブロックチェーンは、マイナーがマイニングマシンを用意し、プロセッサーのパワーを駆使して、ブロックチェーン上の取引を承認します。取引を承認すると、その作業報酬として仮想通貨がもらえる仕組みになっています。PoWを使った承認作業は、鉱物採掘を連想させることからマイニングと呼ばれています。半減期では、この報酬が半減するということになります。
半減期は今になって騒がれているものの、このタイミングは誰でも調べればわかる既知の情報になります。なぜならば、半減期のタイミングは最初からブロックチェーン上に規定されているからです。具体的には「ブロックを○○個生成すると半減期が到来する」と規定されています。
ビットコインの場合、21万ブロックを生成するごとに半減期を迎えると規定されています。ビットコインのブロック生成は10分かかります。つまり「10分×21万ブロック=約4年」ということになるため、ビットコインの半減期は約4年と言われています。ビットコインは2020年5月の半減期で、ブロック生成による報酬が12.5BTCから6.25BTCに半減します。
PoWを採用しているすべてのブロックチェーンに半減期があるわけではなく、そもそも半減期がないものや、半減まではしないもののマイナー報酬が減少するブロックチェーンが存在しています。以下はその分類になります:
- 半減期が存在するブロックチェーン:Bitcoin、Litecoin、Bitcoin Cash、Bitcoin SV、Zcash、Monacoin
- 半減まではしないがマイナー報酬が減少するブロックチェーン:Ethereum Classic
- 半減期が存在しないブロックチェーン:Ethereum、Monero
半減期で価格が上がる理由
一般的に、半減期を経ると仮想通貨の価格が上がると言われています。半減期で価格が上がる根拠としては、以下のような理由があげられます。
- 新規の供給量が減るので、相対的な価値が上がる。
- マイナーからの売り圧力が減る。
- マイナーが自分たちの利益を確保するために、価格を操作する。
- 市場が半減期で価格が上がると信じている(市場バイアス)。
ここで注目するのはマイナーの存在になります。PoWを採用するブロックチェーンにおいて、仮想通貨のサプライヤーはマイナーになります。彼らは、マイニングマシン代や電気代、設備の維持費などを支払っています。現実的に、すべてを仮想通貨で支払うことは不可能であるため、支払いの過程で必ず仮想通貨と法定通貨の取引が生じることになります。そのため、彼らの動きの結果が最終的に、仮想通貨の価格に反映されることになります。
過去の半減期前後の価格推移
ここからは過去の価格データを元に、半減期前後の価格推移を追っていきます。実は、半減期を経験した仮想通貨というのはそれほど多くありません。以下の表は、代表的な仮想通貨と過去の半減期の日付をまとめたものになります。
ブロックチェーン | 誕生(※1) | 1回目 | 2回目 | 次回予定(※2) | |
---|---|---|---|---|---|
Bitcoin | BTC | 2009年1月9日 | 2012年11月28日 | 2016年7月28日 | 2020年5月13日 |
Litecoin | LTC | 2011年10月8日 | 2015年8月26日 | 2019年8月5日 | 2023年8月7日 |
Monacoin | MONA | 2014年1月1日 | 2017年7月16日 | – | 2020年9月1日 |
Bitcoin Cash | BCH | 2017年8月1日 | – | – | 2020年4月8日 |
Bitcoin SV | BSV | 2018年11月15日 | – | – | 2020年4月10日 |
Zcash | ZEC | 2016年10月29日 | – | – | 2020年11月16日 |
※1 ジェネシスブロック生成日、もしくはハードフォーク実行日
※2 データは2020年4月7日更新、ブロックの生成状況によって前後する。
上記を踏まえ、半減期の前後120日の価格を10日ごとにサンプルし、半減期の当日価格を100として前後の価格の動きを比較しました。
ご覧のように、データでみると半減期の50-60日前から価格が上がっていくことがわかります。そして、半減期当日までにいったん価格は下落し、その後50-80日程度の横ばいを経て、最終的に価格が上がっていく傾向にあることがわかります。ただし、LTCの半減期2回目のように必ずしも価格を戻さない場合があります。LTCは本記事作成時点(2020年2月29日)でも半減期当日の価格を回復していません。
これを投資敵観点で見た場合、半減期前だからといって焦って買う必要はなく、むしろ焦って買うと損をしてしまう可能性が大きいということがわかります。もし、半減期前の価格上昇前の買いのタイミングを逃した場合、半減期当日後に買いを入れれば最終的に利益をあげられる可能性があります。
後編の予告
前半では、過去の半減期前後の価格データを元に、価格推移の傾向を探っていきました。
ここで皆さんが気になるテーマは、その後の価格がどのようになっていくかという未来の話になると思われます。そこで、後編では海外で発表されているビットコインの価格予測モデルから、今後ビットコイン価格がどのようになっていくのかをご紹介します。
▼後編

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