最近の暗号資産ウォレットは、自分で秘密鍵を管理することなく、非中央集権的で実現できる製品が増えつつあります。
今回は、企業提携が進捗し、ブロックチェーン技術が好きな人たちの間で注目されつつあるTorus Walletをご紹介します。
▼企業提携
プレスリリース出させていただきました!
Torus Walletの仕組みやなぜカストディにあたらないのか、なども記載しております。
是非ご一読ください?#MCHplus #マイクリ #ブレヒロhttps://t.co/i75allFxRG? MCH+ (@mchplus) July 16, 2020
▼ブロックチェーン技術が好きな人たちが注目
Torus Walletがとても面白い。
twitterの人に各種トークン投げつけていこう!球は3種類用意しました。
・令和トークン(2019年5月1日に自分で作ったやつ)
・ALEXトークン(私はALEXのファンなのです)
・DEVプロトコル(さっきUniswapで買ってきました)— なんでもトークン (@NandemoToken) July 9, 2020
Torus Wallet の概要
Torus Walletは、Torus Labsにより開発されているノンカストディアル型のWebベースのウォレットです。Torus Labsは、2019年のシードラウンドで、Multicoin CapitalやBinance Labs、Coinbase Venturesが中心となり、200万ドルの資金の調達に成功しています。
一般的に、ノンカストディアル型のウォレットは、利用者が秘密鍵やニーモニックフレーズを管理する必要があり、暗号資産を扱う初心者にとってはハードルが高いものになっていました。また、暗号資産を絡める事業者にとっては、カストディ規制が足かせとなり、使いやすいサービスの提供が困難になっていました。
Torus Walletは、分散鍵生成(DKG: Distributed Key Generation)プロトコルを使用し、LINEやFacebookなどのSNSログイン認証を使い利便性を向上させ、秘密鍵を中央集権的に管理しない仕組みを実現しています。他のウォレット同様にアドレスで暗号資産を送ることができる他、ENSドメインやSNSアカウント指定によって暗号資産を送ることもできます。
現状は、イーサリアムベースの暗号資産に対応し、ETH及びERC20トークン、ERC721のNFTに対応しています。
Torus Wallet の特徴
多数のログイン方法に対応
Torus Walletでは、SNSアカウントなどでログイン可能な仕組みを導入しています。
2020年7月19日現在では、以下のアカウントでTorus Walletを利用することができるようになっています。
- Twitch
- Discord
- Apple
- GitHub
- LINE
- メールアドレス
Torus Walletでは既存サービスのアカウントによるログインを使いつつ、ノンカストディアル型を実現しています。そのため、ノンカストディアル型のウォレットによくある「ウォレットへアクセスできなくなったから資産がなくなる」という事態を回避することができます。
これはメリットだけではなく、デメリットも存在します。万が一、SNSアカウントに不正アクセスされた場合の被害が大きくなってしまうため、注意が必要となります。
アドレスを指定しなくても送受金が可能
Torus Walletでは、アドレスを指定してETHやERC20トークン、NFT(ERC 721)を送ることができる他、SNSのユーザー名を指定してトークンを送ることができます。
2020年7月19日現在、以下の方式による暗号資産の送受金に対応しています。
- ETHアドレス
- Googleアカウント
- Redditユーザー名
- Discord ID
- ENSドメイン
- Twitterユーザー名
- GitHubユーザー名
例えば、Twitterの@tokeneconomistに送金したい場合、送信先のユーザー種別を「Twitterユーザー名」にして、送信先を@tokeneconomistと指定するだけになります。
このような仕組みは、Name Resolverと呼ばれる名前解決の仕組みによって実現されます。Name Resolverにより、アカウント名からETHアドレスへの自動変換が行われます。
秘密鍵がTorus Labsに管理されない
Torus Walletは、ノンカストディアル型のウォレットでありがなら、秘密鍵が運営のTorus Labsに管理されないようになっています。
このような仕組みを実現しているのが、分散鍵生成(DKG: Distributed Key Generation)プロトコルと呼ばれる仕組みになります。
Torus Walletは、バックエンドがTorus Networkと呼ばれるBFT(Byzantine Fault Tolerance)ネットワークで構成されます。ネットワークを構成するノードの管理者には、BinanceやEtherscan、Maticなどの著名なプロジェクトが含まれています。
Torus Walletにおける利用者の鍵生成では、一部のノードが鍵生成に関与します。各ノードはランダムな二変数多項式から、鍵を生成します。これらの鍵は、SNS等のOAuthシステムと紐付けられます。最終的に、各ノードの多項式を共有したマスター多項式の定数係数が、利用者の秘密鍵となります。(※内容が難しいため、間違っている場合はご指摘ください)DKGの仕組みにより、ノードの管理者は利用者の秘密鍵にアクセスできず、利用者は自らの秘密鍵を取得することができます。
また、これらの仕組みは、利用者にとっての利便性と安全性向上の他に、事業者にもメリットを与えます。今までは、事業者がカストディするかどうかが、利用者の利便性に直結していました。これからは、事業者はカストディ規制を回避しつつ、DAppsサービスを提供することが今まで以上に容易になります。
実際に使ってみる
Torus Walletにアクセスすると、ログインに使用するアカウントを選択する画面が表示されます。
いずれかを選択すると、すぐにウォレット画面が表示されます。初回の利用開始時でも、特に何もすることなくウォレット画面が表示されます。
ログインすると、ホーム画面が表示されます。ホーム画面には残高が表示され、各機能を利用することができます。
また、ETHを保有していない場合は、チャージボタンからクレジットカードやデビットカード、Apple Payを使い購入することができます。
ETHやトークン送金時では、様々な送信先の指定ができます。画面例では、Twitterユーザー名を指定しています。
実際に、利用開始から送金まで、すべてが簡単な操作で済みます。
筆者が唯一不満に思ったのは、暗号資産がイーサリアムベースのものしか扱えないということだけでした。イーサリアムをよく利用する方は、一度体験されることをお勧めします。
Torus Walletに関する情報
▼Torus Labs
▼Torus Wallet