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インタビュー:Nippon Idol Token (NIDT) – トークンエコノミーで支える!Web3アイドルプロジェクトのビジネスとは?(後編):秋元康氏の就任背景と日本でIEOをする苦労

インタビュー
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Web3が徐々に認知されるようになり、その応用例が増えています。株式会社オーバースが進めるNippon Idol Token (NIDT) プロジェクトは、ブロックチェーンの力を使ってこれまでのアイドルの課題を解決し、有名プロデューサーの秋元康氏と共に新しいアイドルの形を提示していきます。

本記事は2部構成になっています。第2部では、秋元氏が就任した背景や日本の法律に準拠したIEOを行う取り組みについて訊いていきます。第1部がまだの方は、第1部「アイドルの課題を解決する新しいアプローチ」をご覧ください。

前編「秋元康氏の就任背景と日本でIEOをする苦労」

秋元康氏の就任背景

加藤:新しいアイドルグループの基本コンセプトや活動方針の構想を行う総合プロデューサーに秋元康氏が就任するとのことですが、その背景を教えていただけますか?Nippon Idol Tokenの仕組みは、アイドル業界では今までにない試みだと思われますが、これに関して秋元氏はどの様な反応を示したのでしょうか?

澤氏:先ほどお話した通り、私は乃木坂46のメンバーと働いており、それは衛藤さんだけではなく、中田佳奈さんや梅澤美波さんたち、そしてかつてAKB48で活動していたメンバーも含まれます。また、他のアイドルの方とも仕事をする機会があり、その中で様々な関係者と知り合いになりました。今回、私たちが新しいアイドルユニットを立ち上げることになった際には、当然秋元先生に相談することにしました。関係各所にお願いをして話をまとめ、就任を承諾していただきました。

彼は新しい物好きでアイデアマンなのですが、この企画を最初に話したときに、その場でいくつかのアイデアを提案いただき、新しいことに挑戦する前向きな姿勢を見せてくださいました。

加藤:アイドルプロデュース部分だけが秋元氏の担当と思いきや、他の部分にも意見があったのですね。

佐藤氏:トークンに関しては、秋元先生の意向は特に入っていないようですが、今回のプロジェクト全体については、秋元先生の意向がかなり反映されています。トークンのユーティリティやトークエコノミクスについては、私たち側で企画していくことになります。

今は最終的には先生に承諾いただいているということになっていますが、もちろんすぐに承諾になったわけではありません。そうなるまで何度も先生に会って説明してきました。先生からいただいたのは「暗号資産とアイドルは面白いね」という言葉でした。

なぜ日本のIEOなのか?苦労したことは?

加藤:Nippon Idol Tokenは日本でIEOを行う数少ないプロジェクトですが、なぜ様々な資金調達手段がある中で日本のIEOを選択したのでしょうか?また、日本法に準拠してIEOを行うために苦労したことは何ですか?

佐藤氏:当初の企画は、暗号資産やブロックチェーンとアイドル活動、そしてファンとアイドルとの関係性を組み合わせることで、面白いプロジェクトを作り出すことでした。

IEOを選択した理由は、資金調達手段として他にもクラウドファンディングなどがあるものの、アイドル活動や推し活を考える上で、トークンの発行と流通によってファン活動をサポートすることができると判断したためです。将来的には他にグループを作っていく可能性もあるわけですが、我々はそれを持続可能にしたいと考えています。そのようなことを総合的に判断した上で、IEOを実施することに決定しました。

海外だとIEOは簡単にできるわけですが、我々はあえて難しい日本でのIEOを選択しました。我々は日本国内の法制度に従ってアイドルグループを作ること自体に意味があると考えています。第1弾に関しては日本のグループであり、活動拠点もまずは日本です。国内でIEOを行うことに決めたのは、日本でアイドルグループを展開する以上は、日本のIEO制度に従うべきだという判断をしたからです。

しかし、日本でIEOをするという選択はかなり大変でした。我々が思った以上に、JVCEAや金融当局から細かくチェックを受けました。対象事業が適切であり、継続的に計画できているかどうか、またトークノミクスやトークンのユーティリティの設計、利用者保護の設計が適切かどうかなど、詳細に検討する必要がありました。

加藤:ここで澤さんにお伺いしたいのですが、IPO経験者から見てIEOについて思っていることがあれば教えてください。

澤氏:IEOは実質的にプチIPOだと思います。海外の暗号資産発行とは大きく異なり、手続きはIPOに近いです。オーバースでIEOをするというのは小さな上場会社を作るという感覚ですね。そのような苦労がありました。

佐藤氏:追加でお話ししますが、私たちがこのプロジェクトを始めるきっかけとして、既存のアイドルグループにとっての影響力について考えたことがあります。既存のアイドルグループは、広告代理店やテレビ局などのスポンサーに左右されることがあります。つまり、運営側が本来望んでいることとは異なる意向に沿うことがあるわけです。IEOにより、一般の方からの資金を活動資金に充てることで、アイドル活動を行う際の自由度が大幅に高まる可能性があると考えています。また、実際にトークンを所有するファンの意向を取り入れることで、プロジェクトに対するサポートがより深くなることが期待できます。そのため、ファンの支援がファン目線で行われることが実現すると、これまでのアイドル運営とは大きく異なってくると考えられます。その観点から、単なるシステム的なサービスではなく、アイドルの運営構造までもがトークンで変わる可能性があるという見方もあります。

トークンエコノミーは本当に成り立つのか?

加藤:Nippon Idol Tokenはトークンが関わるので、この質問は避けられないと感じています。

正確な統計はありませんが、私の体感値では99%のユーザーがトークンの値上がりを期待してトークンを購入します。トークンの価格変動があるからそうなるわけですが、実用の観点を考えると、価格変動は本当にアイドルを支援したい実需ユーザーにとってはリスクになると思います。

例えばNIDTを決済で使う場合、決済直前にNIDTを入手するのが価格変動のリスクを最小化できる方法と言えます。しかし、これだとトークンを持つインセンティブが薄くなるため、トークン価格は下がりやすくなります。このような構造は、本当にアイドルを支援したいユーザーにとっては不利なのではないかと感じています。

これについてはどう思いますか?また、このような問題を打破するために、Nippon Idol Tokenではどのようなトークンの流通の仕組みを持たせるのでしょうか?

佐藤氏:確かに、多くのユーザーがキャピタルゲインを狙って、投機的な動きをしていることは間違いありません。我々は、トークンで経済圏を回し、本来の趣旨に沿った活動をしたいと考えています。そのため、価格変動が大きいことは、推し活にはあまり好ましくないと思っています。ただし、投機的な側面は悪いことではないとも考えています。実際のトークンの価格は需給によって市場が決定します。一方で、トークンの価値が上がれば価格に反映されると思っています。我々は、トークン価格を直接上げる施策を打てないわけですが、先程申し上げたようにトークンの価値を上げる施策を打つことができます。

具体的には、トークンの保有状況や期間、保有数量、およびトークンを使用したさまざまなことを積極的に促進し、保有者が多くのメリットを享受できるようなトークン設計やユーティリティ設計を目指しています。現在、その準備を進めていますが、まだ具体的な話はできません。例えば、IEOから一定期間を保有することで特典を付与するなど、それが証明できる工夫があれば良いと考えています。

澤氏:NIDTのユーティリティとして、確かに物販はあります。ただ、NIDTを持っていないとグッズを買えないことに焦点を当てているわけではありません。例えば、マーケティング分野でFRM分析と呼ばれる、どれだけ買ってもらえたかや最近どれくらい購入したかを分析するというやり方があります。同じように、長期間NIDTを持っているだけではなく、最近NIDTを購入したかどうかを考慮することで、自分のレベルが上がりやすくなります。ランキングが上がれば、物販の割引があるかもしれません。現時点では直接NIDTでしか買えないグッズを出す予定がありますが、それだけがメリットではありません。NIDTにはさまざまな要素があるため、NIDT保有者が価格変動で不利にならないように設計されています。

加藤:トークンについてもう1つお聞かせください。NIDTは一般のアイドルファンが使いますが、彼らは必ずしも暗号資産の扱いに慣れているわけではありません。例えば、ガスを用意するハードルが高いのは想像に難くありません。これについてはどのようにしていきますか?

佐藤氏:今回は、NIDTポータルというNIDTを利用するためのポータルサイトを立ち上げる予定があります。基本的にNIDTは暗号資産交換業者の口座の中に入っており、ユーザーはNIDTポータルを経由して保有状況の確認やイベントでのNIDT付与状況などを確認することができるようになります。また、NIDT自体はERC20トークンとして開発されており、今後はEthereum以外のチェーンに対応することで、NIDTの移動に関するコストを抑えられる仕組みを取り入れることも視野に入れています。

今後への意気込み

加藤:今後のプロジェクトのロードマップを教えてください。また、お二人は今後プロジェクトをどのようにしていきたいのでしょうか?

佐藤氏:4月4日からグループのメンバー募集を開始しています。オーディションを数回行い、最終審査は8月と9月に行います。そして最終審査に通った方を対象に、候補生を選び、9月以降はダンスなどのレッスンを行い、正式なグループ結成は秋から冬にかけて予定しています。デビューシングルは年内に出す予定で、そのタイミングで、一部メタバースを活用した活動も行いたいと考えています。

澤氏:最終メンバーが決まったら、ポータルサイトを立ち上げ、推し活の見える化を行います。ですので、サービスがはっきり見えてくるのは秋冬になります。もちろん、その間に色々なことをします。詳しくはこれから発表していきます。

加藤:NIDT保有者は、メンバーの選考過程に関わることはできるようになるのでしょうか?

澤氏:今はその件について言及できませんが、今後の発表をお待ちください!

佐藤氏:今の澤の言い方でお察しいただければと思います。IEOに申し込んだ方には、せっかくなので何かしらの特典を用意したいですね!

Nippon Idol Tokenに関する情報

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この記事を書いた人

TOKEN ECONOMISTのDirector。「ブロックチェーンによる少し先の未来を魅せる」をポリシーに、注目しているプロジェクトの紹介やインタビューを行っています。

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