インタビュー

インタビュー:リップル社 吉川絵美氏 – XRP Ledger普及に向けたリップル社の取り組み/後編:リップル社によるXRP Ledger普及のための取り組み

インタビュー
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国際送金のソリューションを提供するリップル社は、暗号資産 $XRP で知られているXRP Ledgerの普及における最も主導的な企業の一つです。今回は、リップル社の吉川絵美(よしかわえみ)氏に、同社におけるXRP Ledger普及のための取り組みについてインタビューしました。

本編は前編と後編で構成されています。後編では、リップル社がXRP Ledgerを推進するために具体的にどのような取り組みをしているかについて訊いていきます。前編がまだの方は以下の記事を先に読むことをお勧めします。

▼前編はこちら

インタビュー:リップル社 吉川絵美氏 - XRP Ledger普及に向けたリップル社の取り組み/前編:リップル社とXRP Ledgerとの関係性とは
国際送金のソリューションを提供するリップル社は、暗号資産 $XRP で知られているXRP Ledgerの普及における最も主導的な企業の一つです。今回は、リップル社の吉川絵美(よしかわえみ)氏に、同社におけるXRP Ledger普及のための取...

後編:リップル社によるXRP Ledger普及のための取り組み

リップル社におけるXRP Ledgerのユースケース

加藤:リップル社ではXRP Ledgerのユースケースとして、国際送金ソリューション(Ripple Payments)の中で暗号資産$XRPをブリッジ通貨として活用するオンデマンド流動性サービス(On Demand Liquidity: ODL)を提供しています。ODLとはどのようなソリューションでしょうか?また、採用事業者数の数やトランザクションボリュームを公表いただくことはできますか?

吉川氏:リップル社が金融機関に対して提供する国際送金ソリューションでは、ブロックチェーンと暗号資産を活用することで、国際送金のリアルタイム化、低コスト化、透明性の向上などを実現しています。

具体的には、決済に優れた暗号資産$XRPをブリッジ通貨として法定通貨の間の流動性の橋渡しをすることで、流動性の調達をオンデマンド化します。例えば、金融機関が日本からフィリピンに国際送金をする場合は、従来のやり方だと、金融機関がフィリピンに銀行口座を開設して事前に資金を振り込んでおく「プリファンディング」というステップを踏む必要がありました。これは為替やオペレーションのコストが大きい非効率なやり方で、国際送金コストが高止まりしてしまっている要因の一つですが、ODLではこのようなプリファンディングを必要としません。フローとしては、送付側の通貨が$XRPに変換されて、その$XRPがXRP Ledger上を数秒で移動し、$XRPが着金したらペイアウトパートナーが現地通貨で支払うという仕組みになっています。

現在、リップル社は6大陸55カ国以上で数百の顧客にサービスを提供しており、70以上の市場でこの機能を提供しています。送金額にして数兆円の処理をすでに行っています。

XRP Ledger普及のために

加藤:XRP Ledgerを普及させるために今後予定していることがあれば教えてください。

吉川氏:まず、XRP Ledgerの機能拡充という意味では、現在様々な新機能がコミュニティに提案され議論されています。

例えば、XRP Ledgerの既存のDEXはオーダーブック(板取引)形式のものですが、これにAMM形式のDEXを融合させる提案がされており、現在コミュニティの投票中です(2023年9月時点)。これが可決されれば、オーダーブックとAMMを融合したハイブリッド型のDEXが誕生し、$XRP保有者はAMMを通して流動性を提供することでリワードを得ることができるようになります。このAMMではアービトラージ機会をオークションにかける、連続オークションメカニズムを採用しており、流動性提供者にとって魅力的な仕組みとなっています。また、XRP Ledgerの性質上、フロントランニングなどによるMEV(最大抽出可能価値)がないことも特徴の一つです。

その他の新機能としては、インターオペラビリティやプログラマビリティ機能の拡大です。サイドチェーンを可能とするクロスチェーンブリッジの規格も提案されており、これを活用して、すでにEVMサイドチェーンがテストネットで稼働中です。コミュニティ投票での可決を経て、メインネット環境で接続可能となります。これによって、EVMエコシステムのプロジェクトがXRP Ledgerエコシステムと相互運用性を持たせることが可能で、今後多くのEVMベースのプロジェクトがXRP Ledgerに参入することが予想されています。

また、Hooksと呼ばれるオンチェーンスマートコントラクト機能がオランダのXRPL Labsによって提案されており、XRP Ledgerのプログラマビリティ機能が拡充し、ユースケースが拡大することが期待されています。

他にも分散型ID(DID)のプロトコルも提案されており、レンディングプロトコルも現在研究開発されています。

XRP Ledgerは特に金融分野に強いチェーンで、かつ世界中の金融機関が長年使っているという実績もあるので、今後これらの新機能を基盤として、DeFi系のユースケースがどんどん拡大すると期待しています。

開発者支援という観点では、これまで開発者向けのグラントを提供してきましたが、それに加えて、アクセラレーターを今年立ち上げました。これによって、資金援助だけでなく、実際のプロジェクトの立ち上げやビジネス支援などもハンズオンで行う仕組みが整いました。さらに毎年複数回のハッカソンも開催しています。

EthereumにおけるDevConに当たる、XRP Ledgerの開発者サミットのAPEXが先日オランダで開催されましたが、世界中から開発者が集まり、XRP Ledgerエコシステムの急拡大を体現したイベントとなりました。

今後の意気込み

加藤:日本の$XRPや暗号資産コミュニティに何かお伝えしたいことがあれば、よろしくお願いします。

吉川氏:日本においても今後XRP Ledgerを活用する開発者が増えていって欲しいと思っています。特定のスマートコントラクト言語を学ばなくても色んな機能を安全に活用できるXRP Ledgerは、特にこれからWeb3に参入しようとする開発者には敷居が低いので特にうってつけだと思います。日本の開発者向けにこれまで数回ワークショップやアイデアソンを開催してきましたが、今後、正式なハッカソンも企画しています。DiscordのXRP Ledger開発コミュニティでは日本語チャネルも開設されているので、是非ご興味ある方は覗いてみてください!

また、開発者でXRP Ledgerについてもっと知りたい、という方は私(X handle: @emy_wng)に是非お気軽にDMください。

リップル社とXRP Ledgerに関する情報

 

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この記事を書いた人

TOKEN ECONOMISTのDirector。「ブロックチェーンによる少し先の未来を魅せる」をポリシーに、注目しているプロジェクトの紹介やインタビューを行っています。

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