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Ika (IKA) の解説 ~Sui上で構築された高速MPCネットワーク

プロジェクト解説
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Ika(IKA)の概要

Ika(イカ)は、Suiブロックチェーン上に構築された高速なMPC(マルチパーティ計算)ネットワークです。MPCネットワークがSuiをベースに構築されることにより、高い速度とスケーラビリティを達成することができ、ブロックチェーン間のシームレスで安全な相互運用を実現します。また、Ikaのネットワークは数百のノードで並列動作し、1秒あたり1万件以上の署名を可能にし、取引の最終確定までの遅延が1秒未満というリアルタイム性を達成しています。これによりDeFiにおける高速取引や分散型カストディ、さらにはビットコインなどの複数チェーンの資産をプログラマブルにし、幅広いユースケースを支えることが期待されています。

また、Ikaは独自の暗号プロトコル「2PC-MPC」を採用しています。これは常にユーザー本人の署名参加を必要とし、ネットワーク単独では取引を完了できない仕組みによって単独不正を防ぐ設計を実現します。このユーザーとネットワークの二者協調モデルにより、万一ネットワーク内の一部ノードが不正に振る舞ってもユーザーの承認なしに資産を動かせないため、安全性が保たれます。つまり、Ikaではインタオペラビリティにおいてもトラストレスな状態を確保しつつ、ユーザーが常に資産コントロールを握ったままにすることができます。

さらに、Ikaでは単一の認証キーで複数のシークレットシェア(秘密鍵の断片)を管理できるため、ウォレットの数が増えても鍵管理の負担が大幅に軽減されます。これにより、トラストレスなセキュリティを保ちながら、複数ウォレット間での資産管理や他者へのアクセス権の共有といった操作が容易になり、ユーザー体験が大きく向上します。

2025年5月7日現在、Ikaはテストネット段階であり、メインネットのローンチは2025年第2四半期が予定されています。

イカタコ問題

Ikaにおいて避けて通れない話題が「イカタコ問題」です。プロジェクト名は「イカ(Squid)」であるにもかかわらず、プロジェクトで使用されているマスコット画像は「タコ(Octopus)」であるためです。

この点について筆者がプロジェクト側に疑問を投げかけたところ、回答として、人気漫画「HUNTER×HUNTER」のキメラアント編に登場するキャラクター「イカルゴ」からインスピレーションを得たという説明がありました。

さらに、プロジェクトメンバーのイルミ氏によると(本人から個別でヒヤリング)、チーム内でも同様の疑問が出たものの、彼が「Trust me.(私を信じて)」と説得し、現在のデザインに落ち着いたとのことです。このイカタコ問題は、世界中から同様の指摘を受けており、それがビジネス上の会話のきっかけになるケースも多いため、チームとしてはむしろ有益なものと捉えているようです。

Ikaの特徴

2PC-MPC ~二者間署名による不正を防ぐ高スケーラビリティなMPC

2PC-MPCは、ユーザーと分散ネットワークが共同で署名を生成する二段構造のMPCプロトコルです。まず「ユーザー」と多数のノードで構成された「ネットワーク」がそれぞれ秘密鍵の断片を持ち、両者の協力によって初めて有効な署名が完成します。この仕組みによりユーザー単独でもネットワーク単独でも署名を行えないため、共謀や不正ができない強固なセキュリティモデルを実現しています。

一般的なMPCが4~8ノード程度で構成されるのに対し、Ikaのネットワークは数百〜数千ノードへ拡張可能です。さらに、Suiをベースとした並列処理技術により、パフォーマンスを損なうことなく1秒あたり1万件以上の署名処理を実現しています。

トラストレスなブロックチェーンの相互運用を実現

Web3の進展により、多くのブロックチェーンネットワークが登場し、それぞれが独自のドメインで運用されています。これらは単独ではゼロトラストを維持していますが、相互運用を図る際にはブリッジがトラストポイントとなりがちです。

Ikaの2PC-MPCは、”任意の”ネットワークに対して二者協調による署名を行います。数百から数千の分散ノードが関与することで、非共謀かつ大規模に分散化されたシステムを実現します。これにより、ユーザーの参加によりトラストレスな状態が保証されます。

Ika Zero Trust

Suiにおけるアカウント抽象化ソリューション

Ikaは、Suiのスマートコントラクトから他チェーン上のアカウントを直接制御する機能を提供することで、インターオペラビリティを実現します。これにより、例えばSui上でビットコインチェーン上の$BTCをそのまま扱うようなDeFi構築が可能になります。

さらに、Suiのスマートコントラクト言語であるMove言語の安全性を活用することで、他のチェーンに比べて脆弱性の少ないアプリケーションの開発が可能となります。

IKAトークン

Ikaのネイティブトークンである$IKAの詳細は、2025年5月7日時点で公開されていません。

Ikaに関する情報

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この記事を書いた人

TOKEN ECONOMISTのDirector。「ブロックチェーンによる少し先の未来を魅せる」をポリシーに、注目しているプロジェクトの紹介やインタビューを行っています。

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