Bankeraが、2018年7月17日に東京秋葉原でミートアップを行いました。ミートアップに参加してきたのでその模様をお伝えします。
Bankeraとは?
[the_ad id=”7860″]
Bankeraを知らない方のために、まずはBankeraについて軽くご紹介します。
Bankeraとは、「ブロックチェーン時代のための銀行」をコピーにし2017年から2018年にかけてICOによる大規模な資金調達を行ったプロジェクトです。
従来の銀行業務に加え、ブロックチェーン時代の顧客ニーズを満たすべく、仮想通貨取引所や仮想通貨担保ローンなど、幅広い金融サービスを提供します。
詳しくは、日本で一番Bankeraに詳しい情報を書いている飛鳥のエライズムさまの記事「バンクエラとは?要点を簡単に解説」をご覧ください。
Bankera東京ミートアップレポート
会場では、Bankera JapanのTwitterアカウントの中の人である島田氏が司会のもと、CEOのヴィタウタス氏がプレゼンテーションを行いました。
写真撮影が遠目で画像が少々粗いのはご容赦ください。

Bankera東京ミートアップ CEO ヴィタウタス氏
ミートアップで伝えられたのは、以下の内容です。
- ヴィタウタス氏の自己紹介
- Bankeraのそもそもの始まり
- 今ビジネスはどの状況まできているか
- ロードマップ
[the_ad id=”7916″]
ヴィタウタス氏の自己紹介
CEOのヴィタウタス氏は子供のころから金融分野に行ってみたいと思ったそうです。数学的なことが得意で、さらに社会との関連に関心があったことから金融分野が一番マッチしていたとのことです。
ヴィタウタス氏はケンブリッジ大学では金融の修士号を取得し、その後ブロックチェーンに関して博士号を取りました。
博士号のテーマではビットコインの価格の動きや安定したコインを生み出せるか、ビットコインは金融市場にどう影響を与えるかというのが研究のテーマでした。研究の中で、ビットコインの価格に関するセンチメント分析を取り上げました。
センチメント分析とは、テキストマイニング技術などを使い、ソーシャルメディア上の書き込みから、商品や事象に関する消費者の感情を分析する手法です。
このセンチメント分析が、後のBankeraの技術に応用されることになります。
Bankeraに至った背景
Bankeraの共同創業者であるマンタス氏は、9年前に電子マネー取引所に関する取り組みを始めていました。
ヴィタウタス氏とマンタス氏は昔からの知り合いで、再会した時に一緒にビジネスをやろうという流れになりました。
当時は2012年で、ビットコインが使えるデビットカードがなかったので、こういうのがあれば面白いのではないかと考え、プロダクト開発をしました。
まずはプロダクトを広めるためにSpectroCoinを設立しました。SpectroCoinは、コイン(Coin)のあらゆるところ(Spectro)という意味が含まれています。
SpectroCoinでクライアントのニーズを満たすサービスを作りたいという想いで、エコシステムを作り上げました。
人々にとってベストなオプションを提供するために、まずは仮想通貨が最善の方法だと考えているものの、あくまでも最善の決済方法をプロダクトに盛り込んで行くという方針になっています。
Bankeraビジネスの現状
BankeraはSpectroCoinのスピンオフの位置づけで、従来型の銀行業務をやっていく方針で立ち上げられました。
現在は87名以上の専門家のチームで構成されており、88万以上の顧客を抱えています。今後さらなるサービスを提供していくことで、その数を100万以上にできると見込んでいます。
チームメンバーの内訳は、IT開発が24名、サポートが22名、コンプライアンスとファイナンスが13名で、次いでマーケティングが12名という構成です。金融という性格上、サポートやコンプライアンスには力を入れているとのことです。
現状は地域に応じたコンプライアンスを作っており、言語でなくその地域の文化をよく理解した人材を欲しています。
日本チームのメンバーには今回のミートアップで司会を務めた島田氏の他、リトアニア人のメンバーが加わりました。
島田氏は日本のマーケティングとコミュニティを担当し、もう1名はコンプライアンスを担当しています。

Bankera東京ミートアップ 日本チーム
[the_ad id=”7916″]
Bankeraのエコシステム
ヴィタウタス氏は、Bankeraは小さなパズルを組み合わせたエコシステムであると語ります。
Bankeraが必要としているのは仲介者を必要としないエコシステムで、そのエコシステムを使ってあらゆる金融サービスができるようになることを想定しています。
エコシステムの中ですべてを完結できるようにするため、エコシステムを使う人達にとっては他とのインテグレーションを考えなくて済むようになることを目指します。
Bankeraのエコシステムは大きく2つに分類されます。顧客に対する金融ブランドであるSpectroCoinとBankera(取引所、ウォレット、ローン、投資商品)と、ライセンスを受けた機関であるリトアニアの電子マネー会社のPERVESK、そしてバヌアツにあるプライベートバンクのPacific Private Bankです。
一般利用者は、2つの金融ブランドを通してサービスを受けることになります。

Bankera東京ミートアップ エコシステム
SpectroCoin
SpectroCoinは、決済サービスという位置づけになるためスピードに焦点を置いています。ウォレットや交換、ブローカーの決済を高速にできることに注力しています。
最終的にはより多くの種類の仮想通貨に対応させる予定で、インターブロックチェ―ンシステムという形で様々な仮想通貨の交換をできるようにします。
仮想通貨の決済処理に関しては、以下の3つのリスクが存在するとしています。
- ITリスク:ハッキングのリスク
- ノウハウリスク:どうやって使うか分からないというリスク
- ファイナンシャルリスク:マーチャントのリスク
SpectroCoinでは、利用者にノウハウの提供を行っていくことで、これら3つのリスクを解消すべく活動していきます。

Bankera東京ミートアップ SpectroCoin
[the_ad id=”7916″]
Bankera取引所
従来からのSpectroCoinは決済に焦点を置いているのに対して、Bankera取引所はトレードに焦点を置いているサービスです。
立ち上げ初日からBTC、ETH(ERC20トークン含む)、DASH、NEMを取引できるようにします。
Bankera取引所があることの利点として、Bankeraが提供するローンのサービスのリスクを低減できるということがあります。第三者の取引所を使うと、貸し付ける資金やレートを自分たちで完全にコントロールできないからです。
さらには、Bankerトークン(BNK)を取引媒体として使うことにより、さらなる需要を作り出します。

Bankera東京ミートアップ 取引所
Bankeraウォレット
Bankeraではウォレットを提供し、いわゆるネオバンクを作ります。
ウォレットはIBANアカウントとして提供されます。
IBANアカウントとは、主に欧州・中東諸国で使われる銀行口座の所在国・支店・口座番号を特定するための統一規格のコードが適用される口座になります。
日本では国の識別にはIBANは使われずSWIFTになるため、BankeraからIBANコードを使って日本に送金することはできません。とはいえ、そのための仮想通貨になります。
また、Bankeraウォレットはデビットカードに紐づけられ、デビットカードで決済を行うとウォレットから引き落としされるようになります。

Bankera東京ミートアップ ウォレット
Bankeraローン
ここからがBankeraのホワイトペーパーには存在しなかったプロダクトになります。
Bankeraではローンを提供します。ローンは仮想通貨を担保に取る形で、暗号通貨か法定通貨で受けることができます。
Bankeraが取引所を有していることで、貸出し時の適切なレート設定ができ、リスクが減らせることを想定しています。

Bankera東京ミートアップ ローン
Bankera投資商品
Bankeraでは、ローンのプロダクトを提供した後に、投資商品を出す予定になっています。
ここでヴィタウタス氏が博士課程で取り組んだセンチメント分析のバックアラウンドが活きてきます。
今まで仮想通貨ではファンダメンタルズに焦点を置いた商品がなかったため、Bankeraではこの点に焦点を当てた投資商品を開発したいとしています。
Bankeraではセンチメント分析に基づいたファンドを提供する予定です。
具体的にはセンチメント辞書を作ります。センチメント辞書は既に株式の世界では存在していましたが、まだ仮想通貨の世界では存在していません。センチメント辞書により、マーケットにとってネガティブorポジティブを判断できるようにします。
また、ブロックチェーンのデータが投資商品に十分反映されていないとしています。例えば、仮想通貨ではウォレット間の資金の動きも追うことができるため、このようなデータを投資アルゴリズムに活用できるのではないかと考えられています。
また、Bankerトークン(BNK)の保有状況に基づいて、ポートフォリオの管理やアドバイスをできるシステムを提供することが検討されています。

Bankera東京ミートアップ 投資商品
[the_ad id=”7916″]
ロードマップ
直近のロードマップでは、Bankera取引所やウォレット、ローンや投資商品の開発に注力していきます。
将来的には新しい形の通貨を作っていきたいそうで、仮想通貨に限らず、長期的に金融市場のニーズを満たしていく新たな形のものを作っていきたいとのことです。
質疑応答
ここらからは質疑応答に関する内容をご紹介します。筆者が聞き取れなかったもの、取り上げる程ではない内容については割愛致します。以降の青字が質問、黒字がその回答となります。[the_ad id=”7860″]
日本のマーケットについてどう思っていますか?
仮想通貨のマーケットに関しては世界で最も進んでいると考えています。世界全体で見た時に、日本の場合はカードよりも現金決済が好まれているので、ビットコインは現金の代替として使われると思っています。そういう意味でも可能性を感じています。
日本の規制についてどう思っていますか?
日本だけではなく世界全体で規制が厳しくなっていくと考えています。日本の規制に順守するために、日本チームを作りました。日本はあらゆる意味で数歩世界の先を行っていると思っています。取引所について問題(※コインチェックのこと)が起きた経験もあるので、日本は数歩先を行くのではないでしょうか。
日本におけるBankerトークンの流通をするには金融庁の規制が厳しいと感じています。日本でBankerトークンが流通するようにしてもらえないでしょうか。
日本担当のチームを作ったので、コミュニティだけでなく日本のコンプライアンスや規制についても対応していきます。ヨーロッパで培った電子マネーの経験を活かしていきたいと考えています。
Bankerトークンは既にあるERC223の他に、NEMモザイクを開発するようですが、なぜ2つのブロックチェーン上で開発するのでしょうか?
2つのブロックチェーン上で開発するのはパブリシティ面のメリットを考えています。EthereumとNEMのコミュニティを巻き込むことができるからです。コインのスペクトラムとして、あらゆるコインを巻き込んでいきたいという想いがあります。
ホワイトペーパーには「Bankeraが完全に稼働している状態」という表現があります。具体的には何をもって完全に稼働と判断するのでしょうか?
ホワイトペーパーは1年前に作成したものになります。この時点ではBankeraウォレットが登場するところまでを想定しています。したがって、ホワイトペーパー上のBankeraが完全に稼働している状態というのはウォレットが出た段階までを指します。
Bankerトーウンの流動性拡大のために他の取引所への上場も必要に思えますが、何か計画ベースで考えていることはあるのでしょうか?また、日本国内の取引所への上場アプローチは計画していますか?
取引所への上場は多額のコストがかかるので、我々のBankera取引所に注力した方が良いと考えています。自社取引所に投資をしていくことで、Bankerトークンの流動性を高めていきたいと考えています。また、日本への上場はBankerトークンを日本の規制に適合させていきたいと考えています。[the_ad id=”7860″]
センチメンタル辞書について、BankeraとしてAIとの付き合い方をどう考えているのか教えて欲しいです。
センチメンタル分析については、AIと呼べるところまでは行きません。機械学習やデータマイニングに留まっています。センチメンタル辞書については、暗号通貨に携わっている人達に協力してもらい、データベースを作っていきます。
他の取引所でも銀行業務をしようとしていますが、それらと比べたBankeraの優位性とは何でしょうか?
我々は他の取引所と比べて数歩先を行っていると思っています。電子マネーに関しても先に進んでおり、銀行ライセンスや他の規制に関しても順次対応しています。他の競合に比べて早く対応できていると思っています。優れたビジネスモデルは他社からコピーされてしまいますが、早くアクションを起こしていくことで競争優位性を確保していきます。
私はBankeraが好きな一方で、リップルが好きです。もちろんBankeraが一番なのですが。SpectroCoinやBankera取引所でXRPの上場、もしくは銀行間送金でRippleシステムを使う予定はあるのでしょうか?是非使ってほしいです。(周囲から笑い)
XRPとRippleプロトコルは採用する余地があると考えています。XRPは、初期の上場通貨の後にサポートしたい仮想通貨のトップ5に入っています。Rippleプロトコルは採用したいと思っているものの、まだ時期尚早と考えています。もう少しRippleプロトコルが普及してからBankeraで採用する方が恩恵を受けられると考えています。
ヴィタウタス氏の博士課程在学中に学会誌に投稿された論文が気になっています。学会の国と学会名、査読の有無などを教えてください。
私の論文は「Journal of Risk Finance」に書かれています。内容は本日のミートアップのまとめいたいなものです。
注:筆者で調べたところ論文は「To complete with so called neo-banks. Using sentiment analysis to predict interday Bitcoin price movements」になります。
SpectroCoinには法人向けのサービスがありますが、現在は法人クライアントはどれくらいいるのでしょうか?法人サービスへの問い合わせ状況はいかがでしょうか。
法人向けのサービスは主に2点になります。1点目はマーチャントソリューションになり2000以上のクライアントが使っています。利用頻度にはばらつきがあり、頻繁なマーチャントは1時間に1回程度、そうじゃないマーチャントは月に数回程度の頻度になります。2点目は交換になります。こちらはマネーロンダリングのリスクがあるので、デューデリジェンスを慎重に行っています。
企業として今後資金調達をするのが大切だと思うのですが、Bankeraとしての目標時価総額はありますか?
短期的な追加の資金調達は考えていません。現時点で利潤を上げるサービスを構築するためのプロダクト開発に注力しています。プロダクトができたら次の段階はマーケティングになると考えています。まずはBankera取引所の開発を終わらせ、マーケティングを行っていきます。その後資金調達が必要になった場合に、資金調達の方法を考えていきたいと思います。
デビットカードの配布時期はいつでしょうか?
既に先週の月曜日(7月9日)にカード配布が始まっていますが、すべてのBankerトークン保有者への配布は2ヶ月以内を予定しています。
電子マネーのライセンスを取得していますが、スマートフォンをかざすことで決済できるようになるのですか?
電子マネーのライセンスはヨーロッパ向けののものになります。そのため我々は日本のマーケットにおける理解を深め、ヨーロッパの経験をもとに取り組んで行きたいと思っています。
Bankera取引所は他の取引所と比べてどのようなものになりますか?開発の運用体制はどうなっていますか?SpectroCoinの人員を使わずに新たに募集するのでしょうか?
Bankera取引所は、有名どころの取引所と同様に法定通貨との交換もできるようにします。取引所の運用は、SpectroCoinの運用チームがあたります。もちろん、新たな優秀な人材を確保する方針になります。SpectroCoinは決済手段であるためライブサポートを配置していますが、Bankeraではそこまでの体制は考えていません。
Bankera取引所の稼働時期はいつになりますか?
取引所は一度何か間違うと取り返しのつかないことになるので、稼働開始の時期については慎重になっています。今年の終わりには稼働させるようにはしたいです。
[the_ad id=”7916″]
会場の様子
会場の入り口では、Bankeraのロゴが入った紙を貼り、会場入りを促していました。

Bankeraの東京ミートアップ入り口案内
受付には、日本のBankeraファンからBankeraプロジェクトへの寄せ書きコーナーがありました。
スタッフの顔は写さないで欲しいとのことだったので、受付全体は撮影していませんが、来場者にBankeraのTシャツがプレゼントされていました。
また、CEOのヴィタウタス氏とBankeraスタッフに向けた寄せ書きコーナーがありました。

Bankera東京ミートアップ 寄せ書きコーナー
会の最後は、日本チームメンバーの島田氏が「今後皆さんがBankeraに投資してよかったと思えるように頑張ります」言って締め、写真撮影をして終わりました。
皆さま本日はお忙しい所、お集まり頂きまして本当に有難う御座いました。私自身は至らぬ点も沢山ありご不便おかけしたと思いますが、ヴィータウタスのプレゼンと質疑応答により今後のBankeraの可能性、進捗具合、日本市場に対する考え方を感じてもらえていたのなら幸いです。(続く pic.twitter.com/l7wT6xtQNr
? Bankera Japan (@BankeraJP) 2018年7月17日
まだまだこれからのプロダクトだとは思いますが、失敗のないように確実に着実に成長していくと思います。Bankeraは皆様と共にその成長の過程を歩んでいけるプロジェクトだと思います。本日のミートアップがその過程の小さな一歩であると感じています。本日は本当に有難う御座いました。
? Bankera Japan (@BankeraJP) 2018年7月17日
[the_ad id=”7916″]