2018年9月1日に「Future of Blockchain ?ブロックチェーンが魅せる未来」というブロックチェーンのカンファレンスが東京の六本木で開催されました。
筆者が参加してきましたので、その模様をご紹介します!
基調講演1:ペイビット株式会社 枝根氏
カンファレンスの一番最初となる講演は、ペイビット株式会社の枝根英治氏になります。
枝根氏は、ブロックチェーンに関する基礎的な技術を紹介していきました。
会場には、まだブロックチェーンに触れたことがない、または触れてから日が浅い人が多く、そもそもブロックチェーンとは何かという話を丁寧に解説していきました。
プロジェクトプレゼン1:Jupiter Project
プロジェクトのプレゼンテーション第1弾はJupiter Projectの植木栄憲氏になります。
Jupiter Projectは、企業のセキュリティを高めていくためのブロックチェーンプロジェクトです。
ジュピターセキュリティボックスを導入することで、企業に対して自動的にハッキングを繰り返し、セキュリティの脆弱性を診断し、診断で判った脆弱性を埋めていきます。
さらには、データを秘密分散技術を使うことで、データが外部に漏れることを困難にします。さらに、ブロックチェーンを使い、過去の履歴を改善できないようにして、データにアクセスしたユーザを明確にすることで、内部流出のリスクをできるだけ減らすようにします。
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プロジェクトプレゼン2:GoldMiner
プロジェクトプレゼンテーション第2段では、DakeDataのCelia XU氏がGoldMinerという製品について紹介しました。
GoldMinerとは名前の通り、マイニングマシンになります。しかも、今までになかった新しいタイプのマイニングマシンです。
既存のマイニングマシンは、コンセンサスアルゴリズムにProof-of-Work(PoW)を採用したブロックチェーンの承認作業を行う為のものでした。この手のマイニングでは、プロセッサを使いハッシュ値を探し出す演算作業を行います。しかし、これには多くの電力が必要となる大きな問題点がありました。
そのような背景から生み出されたのが、コンセンサスアルゴリズムでPoWを使わないブロックチェーンでマイニングを行うGoldMinerになります。GoldMinerでは分散型ストレージのブロックチェーンに焦点を当てています。
分散型ストレージのブロックチェーンでは、IPFSというファイルシステムを採用し、マイナーはIPFSに自分のストレージ(HDDやSSD)の空き容量を提供します。マイナーはIPFSに空き容量を提供した見返りに、トークンを得ることができます。
GoldMinerはハードディスクを内蔵し、IPFSに空き容量を提供するためのマイニングマシンなのです。そのため、PoWのブロックチェーンのマイニングと異なり、電力を大量に消費することがありません。日本のような電気代が高い国でも、GoldMinerを使用することで電気代を抑えつつマイニングに参加することができるようになります。
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プロジェクトプレゼン3:Vidy
Vidyのプロジェクトプレゼンテーションは、創業者のMatthew Lim氏が行いました。
Vidyはこれまでの問題とされていたネット広告を改善するためのプロジェクトです。
これまでの広告ではデジタル広告がごちゃごちゃ配置されており、不適切な広告が表示されるなどの問題点がありました。例えば、新品の製品を扱うニュースサイトに中古売買を勧める広告が出るのは不適切な広告の一例です。
そこでVidyでは、インターネットの文章に広告を入れるという手法を使ってこの問題を解決します。文章内に、NLP Script(写真の紫の色がついた文章)を閲覧者がスワイプアップすることで広告を表示することができます。さらに、その広告を再生することで閲覧者はVidyコインを得ることができます。
なお、VidyはこれからプレICOを始める段階になります。
スポンサープレゼン:WorldTrader
スポンサーのプレゼンテーションは、WorldTraderの長村直樹氏になります。
プレゼンテーションでは、WorldTraderの紹介と実際に操作した場合のデモが披露されました。
WorldTraderは、仮想通貨取引に特化したスマートフォンのアプリケーションです。APIを提供している仮想通貨取引所と連携することにより、わざわざ取引所のWebページにアクセスしなくてもWorldTraderのアプリ上から仮想通貨の売買ができるようになります。さらには、画面で資産一覧を表示し、仮想通貨の保有比率を視覚的にわかりやすく把握することができるようになります。
また、本プレゼンにおいて、確定申告ツールのリリースがまだ先であることと、全自動アービトラージが開発中であることがアナウンスされました。全自動アービトラージについては会場内でデモ画面がお披露目されました。
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基調講演2:松田政策研究所 松田学氏
基調講演の第2弾は、元衆議院議員であり松田政策研究所代表の松田学氏になります。松田氏は、前述のJupiter Projectのプロジェクトリーダーも務めています。
本公演において、松田氏はブロックチェーン技術の可能性に触れました。
松田氏は、ブロックチェーンについては仮想通貨のような通貨的役割よりも、むしろ社会インフラに使った場合の可能性が大きいとの考えを示しました。その一例として、自身が関わっている静岡県某自治体の取り組みとして地域通貨や地域ICO、地域特産品の認証プランについての取り組みを紹介しました。
また、日本政府の永久国債オペの出口に関する提案となる、松田氏独自のプランについて発表しました。これはまだ構想中で、具体的に政府に対して働きかけまでは行っていないそうです。
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プロジェクトプレゼン4:ASOBI COIN
プロジェクトプレゼンテーションの第4弾は、オンラインゲーム専業メーカーであるアソビモ株式会社のASOBI COINの生原優介氏になります。
アソビモは月間100万人のアクティブユーザーがいて、年商100億円と、ブロックチェーンプロジェクトを進めていく組織の中では大きい部類に入ります。
従来のデジタルコンテンツは、不正コピー問題を回避するために所有権を渡さずに貸出すという体裁を採っています。そのため、配信サイトが閉鎖されると利用できなくなり、またコンテンツが不要になっても売れないという問題点がありました。事実として、アマゾンのKindleでも電子書籍は貸出しという扱いになっています。
そこで、ASOBI COINではブロックチェーンの所有権を移転できるという特性を活かし、デジタルコンテンツの購入者に所有権を付与、コンテンツが不要になったらその所有権を他者に移転して売却できるというサービスを立ち上げます。
既に9月にはASOBI COINが利用できるプラットフォームをリリースする予定で、予定より前倒しで開発が進んでいます。
また、ASOBI COINのプラットフォームは他社にも解放され、既に3社が参加表明をしています。
プロジェクトプレゼン5:ONEGAME
プロジェクトプレゼンテーションの最後は、ONEGAMEのJane Wang氏になります。
ONEGAMEは、分散型のバーチャルワールドのゲームを展開します。
ONEGAMEから提供されるゲームでは、バーチャルワールドに貢献するディベロッパー、クリエイター、デザイナーに対してOGTというトークンが支払われます。つまり、ゲーム内で稼ぐことができるのです。
プレイヤーはディベロッパーやクリエイター、デザイナーになることができるため、バーチャルワールドの開発をすることがお仕事になる可能性すらあります。
ONEGAMEでは、現在3つのタイトル「Token Rush」「Token Warfare」「Avaterroulette」のリリースが予定されています。
プレイヤーはAvater Walletと呼ばれる、ONEGAME専用のウォレットからゲームにアクセスすることができます。このウォレットには、ゲームで遊ぶ時の自分のアバターが紐づいています。Avater Walletは2018年7月にリリースされています。
パネルディスカッション
今回のイベントの最後は「ブロックチェーンが魅せる未来」というテーマのパネルディスカッションでした。
今回プレゼンテーションを行ったプロジェクトの担当者が登壇し、それぞれがブロックチェーンに関するお題に答えていきました。
- 今のブロックチェーンについてどう思っているのか?
- これからブロックチェーンが社会に浸透していくにはどうなるといいのか?
- ブロックチェーンに触れたきっかけは?
- ブロックチェーンが普及した未来はどうなるのか?
などが展開されました。
特に筆者が一番興味を持ったのは、ブロックチェーンに触れたきっかけでした。ONEGAMEのJane氏の発言でしたが、Jane氏はビットコインが1万円の時代からこの世界に触れており、ブロックチェーンが普及していくという確信があったと語っていました。
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