筆者はブロックチェーン業界にいるくらいなので、仮想通貨普及の未来については基本的にポジティブに見ています。しかし、それがすぐに普及するかという点については、実はネガティブに見ています。
そして、そのネガティブな考えを決定づけたのが実際にPayPayを使ってみてでした。
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PayPayとは?
まずは、知らない方のためにPayPayについてご紹介します。
PayPayとは、PayPay株式会社が提供するQRコード決済サービスです。
PayPay株式会社はソフトバンクとヤフーが株主になっているため、ソフトバンク系のサービスを使っているとPayPayがお得に使えるようになっています。
現状の日本では、QRコードによる決済はほとんど普及しておらず、サービスの導入が比較的早く進んでいる東京都心部でさえ、中国人観光客向けけのサービスが殆どでした。今回ここにPayPayが乗り込んできた構図になります。
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PayPayが本気でQRコード決済市場を取りに来た!
ここまでであれば、PayPayはよくある決済会社なのですが、その攻め方が半端ないです。
それがこのキャンペーンです。2019年3月31日まで実施されます。
キャンペーンは、PayPayで支払うと支払い額の20%分がPayPayの残高として還元されるというものになります。しかも、その還元額は100億円なので、単純計算でキャンペーンを通じてPayPayで500円億分の決済をさせることになります(実際にはもう少し少ないです)。
高倍率のポイント還元を、PayPayの利用可能店舗でまとめてやってしまおうというものなので、なんとも豪快な企画です。
2018年12月5日現在で、PayPayの利用可能店舗がこちらになります。小口支払いが多いコンビニから、大口支払いがある家電量販店まで、既に幅広いジャンルがカバーされています。
PayPayキャンペーンのインパクトは凄まじく、例えばビックカメラで買い物をすると、
- PayPayによる残高還元:20%
- ビックカメラによるポイント還元:8%
と、合計28%が還元されます。10万円分の買い物をすると2万8千円分が還元される計算になります。
これは筆者が実際にビックカメラで買い物をしたときの写真です。しっかりと20%分が還元されていました。
さらに、特定の条件を満たすと一定確率で全額還元という仕掛けも用意されています。
何が言いたいかというと、PayPayは本気で市場を取りに行こうとしているということです。PayPayがここまで大量の費用をかけているということは、そのサービスが普及していく可能性が大いにあります。
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PayPay払い vs. 仮想通貨払い
そんなPayPayの取り組みを見ながら筆者が思ったのが、PayPayと仮想通貨の決済方法はパッと見で似ているということです。
いずれもキャッシュレスでQRコード決済ができるからです。そこで2者を比べてみました。
支払い方法 | PayPay | 仮想通貨(BTCの場合) |
支払い通貨 | 日本円 | BTC |
支払い通貨の為替リスク | なし | あり |
国境の制約を受けるか | 受ける *1 | 受けない |
支払い通貨の入手方法 | ・PayPay残高 ・Yahoo!マネー ・クレジットカード →入手が楽 |
・仮想通貨取引所 ・相対取引(OTC) →入手が面倒 |
ユーザが支払う手数料 | かからない | かかる |
店舗側が支払う手数料 | かからない *2 | かからない |
店舗側の初期導入費 | かからない | かからない |
*1 Alipay利用者はPayPay利用店舗で決済ができるため、まったく国境の制約を受けないわけではない。
*2 サービス開始日より3年は無料、その後有償化の可能性あり。
このように比べてみると、同じQRコード決済でもPayPayを入れるとユーザや店舗の負担がほとんどありませんが、仮想通貨払いの場合は、仮想通貨を入手する手間がある上に、手数料を支払う上に為替リスクまで負うことになります。
もちろん、仮想通貨払いにも良いところがあります。例えば、国境の制約を受けないというのはその1つですが、それは多くのユーザにとって関係ないことです。
ユーザから見た場合、その支払い方法を使うかどうかの決め手は”便利かどうか”がすべてであり、面倒なものは使われません。支払い通貨が非中央集権かどうかは関係ありません。そのように考えると、どちらのQRコード決済が使われるかは明らかです。
日本の仮想通貨普及はさらに遅れるかもしれない
PayPayと仮想通貨払いは、キャッシュレスのQRコード決済という点では似ていますが、実際に使うことを考えると明らかにPayPayの方がユーザや店舗にとって利点があります。
PayPayがきっかけで日本にQRコード決済が普及した場合、もしかしたらユーザがそちらに流れて、仮想通貨決済の普及がもう少し遅れるのではないかと筆者は思えてならないのです。
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