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ブロックチェーン座談会 第2回 レポート 実用化されているブロックチェーンサービスたち

2019年2月9日にて、「概念ではなくブロダクトで話そう」をテーマに、一橋大学でブロックチェーン座談会 第2回が開催されました。

冒頭の挨拶でNEO Global Developmentの葉山氏は、「NEOの創業当初は、開発者はアソビ心をもって開発をしてきました。そういうコンセプトで会を開いています。」と話して、会の趣旨を紹介しました。

NEOの葉山氏

NEOの葉山氏

くりぷ豚

ブロックチェーンゲームのくりぷ豚(クリプトン)がテレビ電話で紹介されました。

開発元のGood Luck 3は、ブロックチェーンゲームの他にサンリオのゲームなども手がけています。

くりぷ豚は、「くりぷトン」と呼ばれる豚の育成ゲームです。色々なくりぷトンが存在していて、くりぷトンの所有権や遺伝子情報がブロックチェーン上に記録されます。

くりぷトンを別のプレイヤーに譲渡したり、お見合いさせて妊娠し、新しいくりぷトンが誕生するとトランザクションが発生してその結果がブロックチェーンに記録される仕組みになっています。

くりぷトンたち

くりぷトンたち

また、くりぷトンを育成し、レースに出場させ競わせることができます。

くりぷ豚のブロックチェーンにはイーサリアムが採用されており、トランザクションが大量発生して高い手数料がかからないように注意しているといいます。

従来のゲームとくりぷ豚との違いについて、今まではキャラクターやアイテムの所有権は運営側で管理していたものが、くりぷ豚ではブロックチェーンに所有権を記録することによって、ユーザ側に帰属するようになるといいます。また、これによりくりぷトンに価値が出るようになるそうです。

また、ブロックチェーンは難しいため、エンターテイメント企業らしく漫画を用いてブロックチェーンを理解できるようにしています。

CryptoDerby

CryptoDerby(クリプトダービー)は、仮想通貨の競馬ゲームです。開発元のPLATINUM EGGは、ブロックチェーンだけでなく様々なゲームの開発実績があります。バンダイナムコやコナミなど、大手ゲーム会社との取引経験があります。

CryptoDerbyは、稼げる、楽しいゲームである「稼ゲー(かせげー)」がコンセプトになります。

プレゼンターの竹村氏は、CryptoDerbyはユーザーのギャンブル欲を満たすゲームだといいます。ブロックチェーンの世界に入ってくる人は、この世界でお金を稼げると思っているので、CryptoDerbyが実際に稼ぐ手段を提供すると役割を担うとしています。

ギャンブル欲を満たしてくれるCryptoDerby

ギャンブル欲を満たしてくれるCryptoDerby

今日のブロックチェーンゲームは、そもそもユーザが少なかったり、ウォレットアプリが必要などのハードルが多いというほかに、ゲームがそもそもつまらないという問題点があります。CryptoDerbyはとにかく面白いゲームにしようとしています。

また、ウォレットのハードルについては、そもそもウォレットがなくても遊べるようにしたり、PayPal支払いを使って課金をしやすくしようとしています。

CryptoDerbyは今までのブロックチェーンゲームとは異なる

CryptoDerbyは今までのブロックチェーンゲームとは異なる

CryptoDerbyでは、ゲーム内アイテムの競馬場を投資家に販売しています。法律上セーフになるスキームを導入し、投資家にゲーム内収益の80%を分配するようにします。

また、CryptoDerbyでは複数チェーンへの対応を進め、IOSTやTRON、VIPSTARCOINにも対応していきます。

ブロックチェーン 不動産への適用

ブロックチェーンの不動産への適用は、株式会社カイカの取り組みが紹介されました。

現在カイカでは、ブロックチェーンを使って企業と概念実証(PoC)をしており、パートナーには不動産の会社が多いといいます。

取り組みの例として、株式会社AMBITIONと賃貸管理業務を自動化するための実証実験をしています。賃貸管理業務を仕組み化して、他の企業に提供していくことを目指しています。

ブロックチェーンを使った賃貸管理プラットフォームでは、鍵をスマートロック化し、鍵の使用権をブロックチェーンで移転することができるようにします。また、入居者の過去の状況をブロックチェーンに記録して追跡できるようにし、信頼度を透明化します。さらには、物件の賃貸状況も追跡できるようにする見込みです。

また、海外の取り組みの例として、売買をブロックチェーンで管理し、組織をDAO化して仲介手数料を削減する試みや、不動産のトークン化が紹介されました。

ブロックチェーンを使った賃貸管理プラットフォーム

ブロックチェーンを使った賃貸管理プラットフォーム

エストニア オフレコトーク

多田氏Blockhiveの多田氏より、エストニアの状況が紹介されました。

エストニアはバルト三国の国で、九州ほどの面積になります。そこに沖縄県と同じくらいの人口がいるため、人口密度は1km2に30人と、かなり少ない国です。

ブロックチェーン業界では、エストニアの存在感が高まっています。一般にはあまり知られていないものの、エストニアは世界で一番政府の電子化が進んだ国になっています。

なぜエストニアの電子化が進んでいるのか?それは、人もお金もなく、そうせざるを得なかったからという現実的な事情があります。

エストニアでは99%の行政サービスを電子化しています。結婚と離婚と不動産登記は、第三者に勝手に変更できないように、モラルの観点から敢えてアナログ化されています。

エストニアにおけるデータの扱いについて、Once only principle(原則一回だけ)という考え方があります。ユーザにデータを聞くのは1回だけで、それをあちこちに複製してはダメという考え方です。

エストニアの分散型技術・暗号化技術・ブロックチェーンの実用化

エストニアの分散型技術・暗号化技術・ブロックチェーンの実用化

データ自体は分散保管されており、データ連携が必要な場合にX-ROADという仕組みを使ってデータのやり取りが行われ、ほかの行政サービスで利用できるようになります。また、民間企業が保管されたデータを活用できるように、民間企業用のレイヤーが用意されています。

エストニアの情報システム

エストニアの情報システム

エストニアではeIDとeResicencyIDが用意されています。

eIDは自分が本人であることを証明するためのIDです。eIDには電子認証用と電子署名用の鍵があり、忘れた場合の復元用のキーストアがあります。キーストアは、最後の砦なので厳重な保管が求められます。eIDを使って、電子投票や病院の診断歴の紹介ができます。また、eResicencyIDはエストニア済んでなくても100ユーロ程度で取得でき、エストニアにいなくても会社登記できるものになります。

また、エストニア国民向けに市民ポータルサイトが用意されています。そこでは誰がいつ個人情報にアクセスしたのか、情報のアクセス履歴が表示されるようになっています。警察が個人情報にアクセスた履歴も見えるようになっています。

エストニアにはKSIブロックチェーンという仕組みがあり、改ざん不可能なタイムタンプ技術が使われ、内部からのハッキングを検出できるようにしています。また、デジタルIDとスマートコントラクトですべてが契約できるようになっています。

エストニアのKSIブロックチェーン

エストニアのKSIブロックチェーン

Society 5.0の実現を通じたSDGsの達成

福井氏本テーマでは、株式会社PITTOの福井氏が自身らの取り組みについて紹介しました。

福井氏らは、Society5.0とSDGsを政府に提言していく活動をしています。

現在、技術的に大きな波が来ており、これから来るのがSociety5.0と呼ばれる社会といわれています。Society5.0とは、情報社会に続く、新しい価値やサービスが次々と創出され、人々に豊かさがもたらされる社会のことを指します。

Society5.0については、日本政府が広報動画を作成して紹介しています。

またSDGsとは、Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)の略で、2015年9月に国連で開かれたサミットの中で決められた国際社会の共通目標です。

つまり、福井氏らは技術で人々が新しい価値と豊かさを享受しつつも、それが持続するための社会をめざしているということになります。

Society5.0とSDGsを組み合わせた具体的な取り組みとして、現在は石川県白山市で未来都市を作っています。白山市と金沢工業大学、NEOとの共同の取り組みになります。

SDGs未来都市の実現に向けた白山市

SDGs未来都市の実現に向けた白山市

このような環境で、エンジニアの育成をしながら最終的にブロックチェーンを使った地域通貨経済圏を作っていくことを目標としています。

このほか、福井氏はシャリアコインと呼ばれるイスラム圏の地域通貨も作っていく予定で、イスラム圏の最大市場であるインドネシアを狙う取り組みをしています。

金沢工業大学 AIラボの紹介

中沢氏福井氏らと共同でSociety5.0とSDGsに取り組んでいる金沢工業大学の中沢氏より、AIに関する大学の取り組みが紹介されました。

福井氏は脳波の研究をしており、車椅子を脳波で動かすテーマを扱うほか、音声認識の研究などを行っています。

また、AIに関する取り組みでは、AI技術の適用方法の研究をしています。石川県は小規模な企業が多く、企業個別で研究を行うのは難しいため、産学連携で研究体制を築いているといいます。

この分野では、障害者の技術に応じた就職支援にAIを活用する研究をしています。

AIラボの設立趣意

AIラボの設立趣意

金沢工業大学では、2020年から必修科目としてAIを加えます。社会的な需要の高まりを背景に必修化したもので、学生はAIの基礎を学んでいくことになります。また、現在はKITハッカソンを開催しており、第10回ではブロックチェーンをテーマにする見込みです。

このように、金沢工業大学ではブロックチェーンと様々な技術を結びつけてSociety5.0を実現しようとしていきます。

NEXT CRYPTO FORECAST

荻野目氏最後は NEXT CRYPTO FORECASTの荻野目氏になります。

荻野目氏は、現在のブロックチェーンでエンド向けに何ができるかということにフォーカスしています。そこで目をつけているのが、分散型予測市場になります。

既存の金融の予測市場にはオプション取引があります。オプション取引では、ブローカーが投資家の資産を悪用したり、取引を不正操作することがあります。これは中央集権的な仕組みが原因で、スマートコントラクトが代替することで、この構造的問題を解決できるだろうとしています。

オプション取引の問題点

オプション取引の問題点

オプションの構造的問題を解決するために、荻野目氏はゲーミングを参考にしているといいます。なぜなら、ゲーミングがDAppsのセールスで圧倒的であるからです。そのため、今年出すべきDAppsは、ゲーミングに関わるものがよいだろうとのことです。

ゲーミングを参考にして金融サービスを作ることにより、今まで純度100%のフォーチュンゲームであったものを、ユーザーのテクニカルゲームにすることができます。

ブロックチェーンによるゲーミングのイノベーション

ブロックチェーンによるゲーミングのイノベーション

DAppsをヒットさせるためには、マーケティング対策はもちろんですが、法対応も重要になってきます。現在、合法となる国で運営する体制を現在構築しているそうです。

しかし、現在のDAppsはどうしてもユーザ数が少ないため、少数で回せる仕組みである必要があります。それにマッチしたテーマが、今回の仮想通貨の価格予想を題材にしたオプション取引のDAppsになります。

NEXT Crypto Forecastの強み

NEXT Crypto Forecastの強み



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Junya Kato

TOKEN ECONOMISTの管理人、ブロックチェーン専門誌「月刊仮想通貨」「CRYPTO CROWD」の執筆陣。ブロックチェーンプロジェクトでは、QURASのコミュニティマネージャー。 より多くの人にブロックチェーンの未来を感じてもらうべく、先進的なブロックチェーンプロジェクトやイベントのレポートをお伝えしています。 ブロックチェーンの素晴らしさを世に広げたい!!

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