スポンサーリンク
コラム

ネットワークビジネス×ブロックチェーン はうまく行きにくい理由

コラム
OpenClipart-Vectors / Pixabay

筆者は、本メディアや業界誌への寄稿、また自らがブロックチェーンプロジェクトでの活動を行っています。

メディアをやっていることもあり、おかげさまで業界の色々な方と付き合うことができています。私自身バリバリの業界人だと思いますし、他から見てもおそらくそうでしょう。

一連の活動の中で、ネットワークビジネスであるマルチレベルマーケティング(MLM)でトークンセールをしている人に会う機会があり、メディアに取り上げて欲しいと依頼を受けることもあります。ほぼお断りになるのですが、それはMLMという性質からくる理由が多々あります。

マルチレベルマーケティングの用語を再確認

まずはマルチレベルマーケティング(MLM)の意味をきちんと定義しておきます。なぜなら、MLMの意味を正しく理解せず、イメージだけで拒否反応を示す人が多いからです。

MLMはネットワークビジネスと呼ばれることもあります。特定商取引法第33条で定義され、法律上は連鎖販売取引と定義されています。連鎖取引販売自体は合法です。

商品やサービスを売りたい主宰会社は、ディストリビューターに売ってもらいます。ディストリビューターとは、個人レベルで動く代理店を指します。ディストリビューターは単体で動くよりも組織で動くほうが売上をあげやすいため、主宰会社は組織を構築するディストリビューターにより多くの報酬を出すようにし、その販路を拡大しようとします。

残念ながら、日本におけるMLMのイメージは悪いです。その多くが人的トラブルによるもので、ディストリビューターによる強引な勧誘な組織づくりが行われることが主な原因とされています。店舗ビジネスに例えると、押し売りされているような状態です。

さて、ここでMLMにおける組織形態の図を見てみましょう。

MLMでは、自分が作った組織の人が商品やサービスの売上を上げた場合、決めれた段階までの組織の利益が自分に配分されます。MLMでは報酬範囲が限定されているため、個々のメンバーががきちんと売上をあげていればその組織が潰れることはありません。

図では、自分を含めた3段階までが報酬を得られる場合になります。自分の報酬範囲の組織を拡大できれば、後から参入しても自分の上位の人(アップラインといいます)より大きな収入を得られる可能性があります。

MLMのモデル

MLMのモデル

これに対し、ねずみ講と呼ばれる無限連鎖講は、商品やサービスを持ちません。会員費用などを請求し、組織を拡大していきます。ただ、これは一般的な定義で、実際は何かのサービスがあるかのように見せ、裏ではタコ足配当をしている場合が多いようです。

ねずみ講の場合は、MLMと異なり報酬範囲を限定せずにアップラインが末端までのすべての段階から収入を得ることができるようになっているため、必ず先に始めた人が儲かるようになっています。しかし、このような形態は組織を拡大し続けなければ報酬を維持できないため、必ずどこかで破綻する日がやってきます。

MLMとねずみ講の違いは、他サイトの「ネットワークビジネスとねずみ講の違い」がわかりやすいので、併せてお読みください。

話はMLMに戻りますが、MLMでは主宰会社がディストリビューターと呼ばれる個人代理店に商品やサービスを売ってもらいます。その報酬は完全出来高制です。

これにより、主宰会社は商品づくりに専念でき、テレビCMのような余計な販管費をかけなくて済むようになります。まっとうな会社だと、このメリットを生かして原価率が高い商品をつくるため、消費者に高品質な製品を提供することができます。

筆者は実際にMLM企業であるニュースキンのスキンケア用品を使っていますが、同じ価格帯の製品と比べると明らかに質が良いため、ニュースキンはこのようなメリットの最たる例だと感じています。

このように、MLMを使うことで主宰会社はリスクを減らし、商品の品質向上に専念することができます。

しかし、これがブロックチェーンプロジェクトとなると、MLMがデメリットに作用することが多いよいうに筆者は感じています。

ブロックチェーンプロジェクトではMLMがデメリットになりやすい

結論から書くと、筆者から見てMLMで拡大を目指すプロジェクトは全体的に良くなく見えています。これは、MLMの組織の性質がマイナスに作用しやすいことが原因ではないかと考えています。

どのようなものか、ここから内容を分解して見ていきます。

コミュニティそのものが脆弱

ブロックチェーンプロジェクト成功は、ビットコインの例でみてわかるようにコミュニティ力がモノをいいます。

ビットコインにおけるコミュニティでは、ビジネスマンというよりファンが多くいるイメージがわかりやすいことでしょう。そのコミュニティに参加する原動力は「ビットコインそのものへの可能性」になります。

MLMを使ったブロックチェーンプロジェクトの場合は、コミュニティに人を取り組むために経済的インセンティブを利用します。人がコミュニティに参加する原動力は「お金」である場合が多いです。そういうところに集まる人達は、残念ながら質の低い人たちが多いのが現状です。そのような人たちが、良いコミュニティを作り、ビットコインのように拡大させて行くことができるかと言われれば、それは難しいといわざるを得ません。

お金目当ての人たちが集まったコミュニティは、自身への報酬が続かないと人がどんどん離脱してくため、結局コミュニティが強くならずに終わってしまうように見受けられます。

つまりはMLMを使ったブロックチェーンプロジェクトでは、コミュニティそのものが脆弱ということがいえます。

内輪だけで盛り上がって終わることが多い

有名になって投資家に還元できているプロジェクトは、結局のところグローバルにマーケティングをしています。

グローバルにマーケティングをするのは重要です。なぜなら最終的にトークン価格に影響するからです。

突き詰めるとトークン価格が上がるための直接的な原因はただ1つ、買おうとしている勢力が売ろうとしている勢力を上回ることです。これ以外にはありません。トークンを買おうとしている勢力を増やすには、トークン価格を上げるためにはロックアップやマーケットメイクのような小手先の技もありますが、長いスパンでみると多くの人に認知されることが欠かせません。

特に、現状は日本の取引所でトークンを上場させることはできないため、海外の取引所に上場させることになります。つまり、トークン価格が上がるには、海外の取引所を使ってい人たちがそのプロジェクトを認知した上で、彼らを買いという形で巻き込む必要があります。彼らが知らなければ、そもそも買われる候補にすら上がってきません。そのためにグローバルのマーケティングは不可欠といえます。

多くのMLMを使ったプロジェクトの場合、MLMを採用ている性格から草の根活動的になってしまいがちです。そのため、内輪だけで盛り上がることが多く、結局はグローバルレベルで伝播せずに終わってしまっています。

そのプロジェクトである必然性がない

そもそもの一番の原因はこれに尽きます。これはMLMを採用したプロジェクトに限らず、いずれのブロックチェーンプロジェクトにもいえることです。

例えば、取引所プロジェクトがあるとして、それをMLMにして早期参加者に大きな利益還元を謳ったとします。しかし、取引所の規模が拡大していくには、多くの人が取引に参加し、多くのプロジェクトから選ばれる存在である必要があります。MLMの草の根規模では限界があります。また、現在取引所プロジェクトは、超寡占分野分野であることから、よほどの魅力がない限りはプロジェクトは衰退していくことでしょう。

そして、注意すべきなのが「既に実業をやっている」という謳い文句のプロジェクトです。これは一見堅そうなプロジェクトにも見えますが、そこには落とし穴があります。

2019年1月現在は、ユーティリティトークンによるセールが主流です。ユーティリティトークンのその価値が上がるにはトークンの大きな流通が起きることが必要になります。より厳密に書くと、多くの人が自分の手元にある程度のトークンを保管し、かつ1決済あたりの支払額が大きく、その頻度が多いのが理想的です。流通しにくいトークンは、結局需要がないので買い手がつかず価格が下がっていきます。

特に実業を謳うプロジェクトの場合、トークンの流通範囲がサービス範囲に強く依存するため、そのプロジェクトである必然性がある程の強烈な魅力がないとトークンの大きな流通を望むことは難しいことでしょう。

これを判断する基準はとてもシンプルで「わざわざ取引所にビットコインやイーサリアムを送金して、トークンを入手する手間をかけてまで、自分がそのサービスを使いたいと思うか?」という問いかけをするだけです。

まとめ

MLMを使ったブロックチェーンプロジェクトは、その広め方の性質上コミュニティの質が保ちにくく、スケール拡大が難しくなっています。結果的に、プロジェクトの成功は難しくなり、それはトークン価格の下落という形で反映される場合が多いです。

MLM以前に、ブロックチェーンプロジェクトそのものの魅力が重要です。もし、トークンセールに参加する場合は、儲かるか以前に本当にそのプロジェクトが魅力かどうか、セールスマンの話を鵜呑みにせず十分に検討する必要があります。

コメント

タイトルとURLをコピーしました