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Hedera Hashgraph ミートアップ イベントレポート

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2019年3月11日に、Hedera Hashgraph(ヘデラ・ハッシュグラフ)のミートアップが開催されました。取材してきましたので、その模様をご紹介します。

なお、来場者の方が動画撮影をしていたので、そちらも共有します。

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Hedera Hashgraphの予備知識インプット

Sami Mian氏

Sami Mian氏

プレゼンテーションに入る前に、日韓カントリーマネージャーのSami Mian氏よりHedera Hashgraphについての予備知識のインプットがありました。

Hedera Hashgraphとは公開台帳の名前であり、Hashgraphはコンセンサスアルゴリズムの名前になります。Hedera Hashgraphは2015年から2018年にかけてMance Harmon氏らにより作られました。

Hedera Hashgraphを使うことで、インターネット上の第三者を介さなくても安全に取引することができるようになります。インターネットに信頼を提供する層がHashgraphということになります。

Hedera Hashgraphは、他の公開台帳と技術的に圧倒的な差をつけ、ガバナンスにも圧倒的な質を要求しています。また、最高レベルのセキュリティを提供し、ビジネス利用にも耐える安定性を確保します。

公開台帳自体は2018年3月にリリースされ、まずはクローズな環境でテスト運営が行われています。

なお、Hedera Hashgraphについては、ハッシュグラフ大学にてSami氏による日本語の解説ビデオが公開されています。

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Hedera Hashgraphミートアップ

Mance Harmon氏

Mance Harmon氏

ミートアップのプレゼンターは共同創業者のMance Harmon氏です。Mance氏は日本に来たのは3回目で、来年は桜の時期に来たいと語りました。

Hedera Hashgraphはじまりの経緯

Mance氏のバッググラウンドはコンピューターサイエンスになります。共同創業者のLeemon Baird氏と20年以上一緒に仕事をしています。過去に、共同研究や米国空軍でリサーチの仕事をし、他の事業も経て、Hedera Hashgraphを立ち上げるに至っています。

2012年、Leemon氏にはインターネットはこうあるべきであるというビジョンを持っていました。それは、誰でもインターネットの一部を切り取って、信頼された第三者がいなくても取引やゲーム、コミュニケーションができるべきだと考えでした。

この件で、Mance氏とLeemon氏は2012年にテキサスのスターバックスで議論をし、その後2015年のブレークスルーを経て、今のHedera Hashgraphに至ります。

Mance氏らは、2012年当時から技術だけでは大きなビジョンを達成できないと分かっていたといいます。まだ業界で名前が乏しい2人が、Hashgraphという新たなコンセンサスアルゴリズムを信頼して使ってもらえるには足りないと感じたからです。

その当時、Mance氏らはHashgraphというコンセンサスアルゴリズムを信頼のある機関にライセンスして、本当に機能するものなのかを実証しようとしました。そこで、アメリカの6,000社が入る信用協会、CULedgerにライセンスしました。CULedgerとは、日本のCICのような機関です。

CULedgerと共に、1年間概念や技術実証をした後、確信が持てた後にHashgraphを使って次のステージに行こうと思ったといいます。その次のステージこそが、公開台帳であるHedera Hashgraphです。

Hedera Hashgraphが解決する問題

公開台帳を作ると決めたのは2017年の秋だったといいます。当時の既存の公開台帳には、大きく4つの問題がありました。

Hedera Hashgraphで解決する既存の公開台帳の問題

Hedera Hashgraphで解決する既存の公開台帳の問題

パフォーマンス

まずは、パフォーマンスの問題になります。当時、既存の公開台帳であるビットコインは 7 TPS、イーサリアムは 15 TPSであり、取引の承認にかかる時間もそれぞれ1時間、15分程度でした。また、取引手数料も高額でした。

これに対して、Hedera Hashgraphのパフォーマンスでは、1秒に数万件の取引が可能です。拡張して、さらに数十万件の取引ができるようになることを見据えています。

Hedera Hashgraphの取引承認にかかる時間は秒単位になっており、取引コストも測定できないくらいゼロに近いといいます。千分の1円、百分の1円程度になるそうです。

セキュリティ

取引が多い台帳は必ず攻撃されるものです。そこで、Hedera Hashgraphでは、アルゴリズムの中に最高レベルのセキュリティを組み込んでいます。

セキュリティのレベルは、非同期ビザンチンフォルトトレランス(Asynchronous Byzantine Fault Tolerance: aBFT)になります。最高のセキュリティレベルのインフラで動かすアプリケーションは、最高レベルのセキュリティを得られるだろうといいます。

安定性

ビジネス利用に大事なのが安定性です。既存の公開台帳で問題になるのが、ハードフォーク問題になります。台帳が安定しないということは、特に大企業にとってはプラットフォームを使う上でのリスクになります。リスクは排除しなければなりません。

もし、ひとつのプラットフォームが2つにハードフォークすると、1つのプラットフォームのデータが新しいプラットフォームにもコピーされます。実際にプラットフォームを使っているアプリケーションは、どちらのプラットフォームを使えばよいか区別ができないために、混乱を招いてしまうといいます。

Hedera Hashgraphでは、これは業界が抱える基礎的な問題で、これを解決しない限り公開台帳が業界に普及していかないだろうと考えています。

ガバナンス

パフォーマンス、セキュリティ、安定性が解決できたら、重要なのが維持運営のためのガバナンスになります。

Hedera Hashgraphでは、ガバナンスの質を追求し、運営審議会を形成することにしました。運営審議会では、世界のトップ39の企業が集まり、任期は3年(最長6年)、業種は18業種で、地域を横断して構成されます。

これにより、業界のあらゆるユースケースを網羅し、最も多様化したガナバンスができるとしています。

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Hedera Hashgraphの構成

Hedera Hashgraphの構成

Hedera Hashgraphの構成

Hedera Hashgraphは、コンセンサスアルゴリズムのHashgraphをベースに、その上に仮想通貨やスマートコントラクト、ファイル保存という機能が成り立っています。

先程の運営審議会は、Hashgraphからファイル保存までのガナバンスを担当します。

仮想通貨では、マイクロトランザクションができる機能が織り込まれています。マイクロトランザクションとは超少額の決済で、0.01円を送ることが経済的に可能なサービスを想定しています。

また、スマートコントラクトでは開発言語にSolidityを採用します。ちなみに、Solidityはイーサリアムのスマートコントラクトの開発言語です。そのため、イーサリアムの技術者はHedera Hashgraphの開発をしやすくなります。

Hedera Hashgraphのビジネスの進捗

2018年から2019年の動き

Hedera Hashgraphは、2018年は資金調達や運営審議会のメンバー誘致、プラットフォームの成熟化に取り込みました。

2018年3月にHedera Hashgraphのリリースをニューヨークで発表しました。

2018年8月に資金調達を行い、適格機関投資家から124億円を調達しました。同タイミングで、運営審議会の融資活動を開始しました。

資金調達が終わった8月24日にはメインネットの稼働を開始し、500億トークンをリリースしました。今後このトークン数が増えることはないそうです。

Hedera Hashgraphの2018年の動き

Hedera Hashgraphの2018年の動き

直近では、(ミートアップ当日から)3週間前に韓国で運営審議会の最初の5社を発表しました。

現在は、テストプログラムを行い、そこから得られるデータをプラットフォームにフィードバックさせていき、次のフェーズの準備をしているといいます。

また、世界で一番大きな仮想通貨取引所と上場の調整をしており、夏あたりにHedera Hashgraphにオープンアクセスを提供したいとしています。オープンアクセスとは、誰でもアプリケーションを作れて、トークンが広く流通している状態を指します。

これで、やっと本当の仕事がはじまるといいます!

Hedera Hashgraphの2019年の動き

Hedera Hashgraphの2019年の動き

どのように普及させていくのか?

そして問題は、このプラットフォームをどのように普及させていくかということです。

そのためのストーリーを、Mance氏はIBM主催のThinkと呼ばれるカンファレンスに参加した体験談を語りました。

カンファレンスでは、Oracleがブロックチェーンを使った14のアプリケーションをリリースしました。このアプリケーションを使う顧客は、ブロックチェーンが使われていることを知る必要がありません。Mance氏は、自分たちが目指すことはOracleがやっていると考えました。

そこで、Mance氏はOracleから3人をヘッドハンティングしました。

OracleでAIやIoT、ブロックチェーンのゼネラルマネージャーをしていた人が、Hedera Hashgraphのプロダクトの責任者になっています。また、企業とのパートナーシップを構築する人も雇用しました。

Hedera Hashgraphがやる戦略はシンプルで、既に社会的信頼を得ている企業と一緒に、特定のユースケースや分野を見定め、そこの問題解決にフォーカスをすることです。問題解決を通して、パートナーシップを拡大していきます。

もちろん、スタートアップコミュニティの重要性は捉えており、大企業が安心してアプリケーションを作ることができたら、自ずとスタートアップのコミュニティはついてくるとしています。

とにかく、今はひたすらテストを繰り返すのみといいます。

Hedera Hashgraphでは、コミュニティテストプログラムを始め、フェーズ1では一瞬で5,000口座ができたといいます。フェーズ2では10万口座を目指します。現在は、テストネットで300以上のアプリケーションの開発が進められています。

まずは、運営審議会のノードを立ち上げて、シャーディングをできるようにし、数千、数万とノード数を拡大していく予定です。Hedera Hashgraphでは、運営審議会は招待制でクローズドですが、ノードには世界の誰でも参加することができます。

Hedera Hashgraphでは世界中の誰もがノードを設置できる

Hedera Hashgraphでは世界中の誰もがノードを設置できる

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Hedera Hashgraphのガバナンスはどう考えるのか

Hedera Hashgraphでは、運営審議会がガナバンスを担当しています。

ガバナンスは、信用と複雑な意思決定能力の2軸で定義しています。複雑な意思決定能力とは、難しいことを決定するための力のことを指します。例えば、金融政策のような専門的な問題は一般人は決めることができません。

ガバナンスの分類

ガバナンスの分類

Hedera Hashgraphでは、信用が高く、複雑な意思決定能力が高いガナバンスの位置づけとして、専門家集団から構成される運営審議会を立ち上げます。

運営審議会では、プラットフォームに組み込まれる機能や、それをいつ組み込むのかといったロードマップ、何が優先順位なのか、手数料のモデル、それによってノードにいくら収入を支払うのか、トークン管理をどうするのかなどを決定します。

運営審議会が決めること

運営審議会が決めること

しかし、専門家集団が決めたとしても、それを実行する側が決定事項に従わないと無統治状態に流れていきます。

そこで、Hedera Hashgraphでは、運営審議会の決定事項による変更をノードが強制されるようになっています。また、クライアントはノードが変更したことを知ることができ、これによりフォークを阻止する事ができると考えています。

技術的なガバナンス

技術的なガバナンス

Hedera Hashgraphでは、技術的なコントロールと法的なコントロールによって、強力なガバナンスを実現することができます。

まずは、運営審議会の最初の5社が発表されました。まだ他にも誰もが知っている超大手企業が控えているそうです。そして、運営審議会に関するビデオが上映されました。

運営審議会の最初の5社

運営審議会の最初の5社

最後にMance氏は、私が見るビジョンはパブリックかプライベートではなく、ハイブリッドな状態を想定しています。ハイブリッドに関しては、近いうちにニュースをリリースする予定ですと宣言し、プレゼンテーションが締めくくられました。

Hedera Hashgraphに関する情報

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この記事を書いた人

TOKEN ECONOMISTのDirector。「ブロックチェーンによる少し先の未来を魅せる」をポリシーに、注目しているプロジェクトの紹介やインタビューを行っています。

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