2019年3月23日にblockfanz主催の「World Blockchain Tour Tokyo – これからのトークンエコノミービジネスについて」が開催されたました。取材模様をお伝えします。イベントが長いので、まずは前編になります。
イベントページ:World Blockchain Tour Tokyo – これからのトークンエコノミービジネスについて
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SEN PROJECT プレゼンテーション
SEN PROJECTはベトナムで展開されているブロックチェーンプロジェクトです。代表の田中氏がその内容を紹介しました。
田中氏はモバゲーやカンボジアのオフショア会社を立ち上げた経験があり、SEN PROJECTは2年たたないくらいになります。
まずは、日本ではまだ馴染みの薄いベトナムについて紹介されました。
ベトナムは人口が1億人になり、人口から見た場合の市場は大きいです。現在のGDPは日本の1割程度ですが、若者が多く、年率6-7%の成長率になっています。ベトナムのスマートフォン普及率は、日本とほとんど変わらないため、事業がスマートフォン前提で展開できるそうです。
決済通貨別にみたビットコインの取引量は、ベトナムの通貨であるベトナムドン(VDN)が上位10位になります。しかし、ベトナムの富裕層は米ドルで取引をしているケースが多いらしく、ベトナムにおける実質的なビットコイン取引量はもっと多いのではないかといいます。
そして、本題のSEN PROJECTについては、ICOを終え、現在はSEN POINTとSEN COINEXの2つを進めています。
SEN POINTはベトナムで共通ポイントを普及させようとしているプロジェクトになります。SEN COINEXについてはベトナム国内の暗号資産取引所になります。SEN COINEXでは、現物取引でメジャーな通貨を扱います。唯一SEN COINEX独自通貨のSNCが入ります。
SEN PROJECTでは、まだまだ課題があるとしています。それが法規制から来る課題と、ビジネス面での課題になります。
そもそもベトナムでは、政府や国営銀行が認める合法的な支払手段以外が禁止されているため、これで暗号資産はNGになってしまいます。そのため、銀行との対話のテーブルにつけないそうです。この点は政府と対話して解決していきたいとしています。
また、ビジネス面の課題では、ICOプロジェクト特有と思われるプロダクト開発に注力してしまい、ビジネスを回すところを整えることが疎かになりがちになっているほか、そもそも店員が面倒臭がってシステムを使ってもらえないなどのローレベルなところに課題があるといいます。そのためUXの開発に腐心しているとのことです。
SEN PROJECTでは、今後は事業の透明性を高めて、SEN COINホルダーに対して価値を高めて行きたいとしています。
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AIre プレゼンテーション
AIreプロジェクトは、IFA株式会社 COOの桂城氏と大阪氏より紹介されました。
最初に、桂城氏は恐竜絶滅の例を出しました。最近は、恐竜の母体数がどんどん減っていき、隕石がトドメをさしたという学説が出ているそうです。これは、今の企業にも置き換えることができるのではないかとのことで、社会における企業のあり方が変わってきている現在、隕石のような位置づけがブロックチェーンだしています。
桂城氏は、ブロックチェーンや分散台帳(DLT技術)は共産主義と相性がいいのではないかと考えており、自分たちの役目はそれを資本主義向けに落とし込んでいくことだといいます。
AIreでは、ヒエラルキーの再構築と信頼ネットワークの進化を目標としています。
現在AIreでは、4つのサービスを作っています。桂城氏が一番推したいのはAIre BRIDGEだといいます。これは次世代銀行プロジェクトになります。AIre BRIDGEを通して、既存の金融では得られなかったセカンドチャンスを与えて、人々のポテンシャルを引き出すことを目標にしています。
そして、直近の2019年3月4日にリリースしたのがAIre VOICEです。大阪氏は、個人的にこれをMediaTechと呼んでいるそうです。5月頃までは小学館のライムとクロスメディアをしながら様々な情報を発信していきます。
AIre VOICEはブロックチェーンのメディアになります。しかし、ブロックチェーンは難しそうなので、ビジュアルをポップな感じにして少しでも難しいイメージを和らげようとしています。
また、海外からの一次情報をコンテンツ化を行い、動画も積極活用しようとしています。
IFAでは、今後はメディアのほか、ハッカソンやミートアップの開催などのオフライン面の力を入れていこうとしています。
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blockfanz GameGO プレゼンテーション
主催者のblockfanzでは、代表の本多氏がGameGOと呼ばれるdAppsゲームコミュニティについて紹介しました。
本多氏は、大学卒業後にスマートフォンアプリ開発のディレクションやUI/UX改善を経験しました。現在はアプリの「マンガKING」を手がけ、月間アクティブユーザー数50万を獲得しています。さらに、2018年12月にGameGOと呼ばれるdAppsコミュニティを提供するためのblockfanz株式会社を設立しました。
そのそもdAppsゲームの特製は何か?それは、ゲーム内資産をトークンとして売買できる点があります。現在は、ネットで検索するとdAppsゲームは儲かるという記事が多く出てきます。本多氏は、dAppsゲームは確かに稼げるが、それは誰かが買い支えをしているということなので、そういうのは長くは持たないだろうといいます。
本多氏は、今後dAppsゲームが盛り上がっていくには、今ある資産性と取引性だけでは難しいだろうと考えています。何らかのゲーム体験が必要でそこにユーザが価値を感じる必要があるだろうとみています。
カジノ系を除いた場合、本多氏は、dAppsゲームはユーザのゲーム体験としてどのようなゲームのジャンルかと考えた結果、トレーディングカード系が近いのではないかと考えているそうです。そして、ブロックチェーンがゲームにトレーディングカード性をもたらすという表現をつかって説明しました。
子供の頃やっていたトレーディングカードが、ブロックチェーンによって地球の裏側の人たちと交換できるようになります。シンプルにブロックチェーンのゲームはここがキモになるのではないかと考えています。
リチャード・バートルによるゲームプレイヤーの4分類に当てはめた結果、dAppsゲームにおけるユーザの真理は右半分に近いのではないかとみられています。右半分のゲームは、人との関わりが生じるためコミュニティが必要になってきます。
GameGOでは、競争型と協力型にモチベーションを感じてゲームをする人に、コミュニティサービスを提供していきます。サービス自体は、2019年秋に提供開始予定です。
現在はランディングページがオープンしたばかりで、開発はまだ始まったばかりだといいます。本多氏は、最後に世界一のdAppsゲームコミュニティを作ると意気込みを語りました。
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blockfanz トークンエコノミー プレゼンテーション
blockfanzの高氏は、直近で「トークンエコノミーの教科書」を出版しました。出版と重なったタイミングもあり、高氏のトークンエコノミーの考えが紹介されました。
高氏は、トークンエコノミーを語る上で、Uberを引き合いに出しました。Uberは個人がタクシーを提供できるサービスで、日本だと高級タクシーのようになっていますが、海外だとUberの方が安く使うことができます。
よく高氏は、Uberの運転手ははたして幸せなのかと思うそうです。Uberの時価総額は13兆円になっているにもかかわらずです。Uberの創業者は、6000億円を持つ大富豪になりましたが、Uberの運転手の収入は昔から変わっていません。
また、海外だとUberでは新車が使われていることが多く、その背景はUberが現地の自動車メーカーと組んで、運転手向けのローンを組んで車を買わせているからだそうです。運転手のUberの売上から、ローンとUberへの手数料が天引きされるようになっており、結果的に運転手の手取りが少なくなってきます。
このような状況が起きているのは、Uberが株式会社として運営されているからです。株式会社は株主に配当を出さなければ行けないため、運転手にかかるコストを下げて利益をあげています。そこからあがった利益を株主に配当するわけです。この構造は、400年前に株式会社の形態が誕生してから変わっていません。
つまり、株式会社では利益を得る人と働く人がイコールではなく、初めてお金を出しただけで大きな利益を得るという構造になっているといいます。
もし、Uberがトークンを出して、運転手の報酬をUberトークンで支払った場合、10年前にUberトークンを持っている人は儲かっているだろうとしています。ちなみに、Uberの株の価値は10年で2000倍になっています。トークンだと、最初からUberを応援してくれたドライバーにも利益を回すことができるのではないかと、高氏は考えています。
現在Uberでは、自動運転に力を入れています。Uberは運転手たちからデータを収集しています。自動運転が完成したら、運転手がクビになるでしょう。株式会社としては正しい考え方ではありますが、運転手にとっては不幸なことです。
もし、運転手がUberトークンを持っていたとしたら、Uberがトークンを売られると価値が暴落するのでUberは困ることになるので、運転手の協同組合ができて、Uberとやりとりをすることになろうとしています。トークンを持つことで、自らがビジネスの関係者になれるのです。
自分たちがビジネスの関係者になれる実例として、香港生まれのK-POPアイドルグループの「DREAM CATCHER」が紹介されました。DREAM CATCHERは、既にトークンエコノミーを導入しています。自分がやれることでアイドルを支援して、トークンをもらい、そのトークンをアイドルのサービスに使うことができます。まだこのモデルは、日本だと規制で難しいものになります。
高氏は、株式会社は既に詰まってきているのではないかといいます。日本で2018年にIPOで資金調達した額はたったの2000億円です。もう株式が若者に刺さらなくなり、自分がステークホルダーになって、トークンのような株価的なものをあげて行くのがこれからの流れになるだろうとしています。
続き:World Blockchain Tour Tokyo イベントレポート 後編
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