2019年3月23日にblockfanz主催の「World Blockchain Tour Tokyo – これからのトークンエコノミービジネスについて」が開催されたました。取材模様をお伝えします。イベントが長いので、前編に引き続き、後編をお伝えします。
イベントページ:World Blockchain Tour Tokyo – これからのトークンエコノミービジネスについて
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パネルディスカッション
パネルディスカッションでは「トークンエコノミーで人生をアップデートさせる方法」というお題で、議論が繰り広げられました。
出演者
今回は、中村氏がファシリテーターをする形で、5名でディスカッションが進んでいきました。
<登壇者>
中村真人氏:JIN KK代表、ブロックチェーン業界のメディアとイベントを運営し、STOに関するイベントの講演者として多数出演している。
今田孝哉氏:株式会社Asobicaの代表、コミュニティプラットフォームのfeverを運営している。
岡部典孝氏:リアルワールドゲームズ株式会社のCTO、最近ビットにゃんたーずというブロックチェーンゲームをリリースした。
小川晃平氏:株式会社VALUの代表、個人が上場できるVALUのサービスを運営している。
黒田悠介氏:議論メシ代表、議論で飯を食べていく会員コミュニティの議論メシを運営している。
ディスカッション
お題に関して、どんどん会話して進めていく方式であったため、筆者の気になる点だけお伝えします。
コミュニティのトークンを売買できるようにすることについて
小川氏:GIRONやfeverのトークンエコノミーはストックオプションみたいなものだ。売買されるようになると、コミュニティのシステムが変わってくるのではないだろうか。
黒田氏:トークンを売買できるようになると、トークンを日本円に換えてユーザが離脱できるのではないか。トークンを獲得するのが、外発的なモチベーションになるので、中で対流させていた方が良いのではないか。
岡部氏:トークンを売買できるようになると、税金のことが頭をよぎるようになる。それだと本来のコミュニティのあるべき姿がなくなってしまう。
トークンエコノミーで恩恵を受ける人について
小川氏:起業家はコモディテイ化していて、資本主義がゲーム化している。余ったお金がスタートアップに流れて、スタートアップが上場するとお金持ちになるというフレームワークができている。なので、IT起業家が注目されている。トークンエコノミーもいずれそうなるだろう。株の世界だとビジネスをスケーリングさせられる人がちやほやされるが、トークンエコノミーは、もう少しその範囲が広がるだろう。
今田氏:資本主義で活躍できなかった人が活躍できるところが、トークンエコノミーの良いところだ。資本主義だとお金稼ぎが上手な人が活躍する。トークンエコノミーでは、お金稼ぎがうまくないけれども、自分の得意なところが価値を持ってくるようになる。
トークンエコノミーへのコミットについて
岡部氏:私は株よりトークンを欲しいタイプだ。トークンエコノミーに責任を持つために、私はトークンにベットしている。
小川氏:(岡部氏の発言に対して)これは新しいスタートアップの形だろう。
トークンエコノミーではどのような個人が活躍しやすいのか?
小川氏:意志力があり、誠実である人。意志力があれば、だいたい頑張れる。誠実さがあればさらにそれが伸びていく。そもそも、コミュニティや何にでもその要素が求められる。
岡部氏:コミュニティにある程度の期間コミットできる人。コミュニティから外れると、その人の価値は落ちてしまう。
今田氏:熱量と貢献欲求がある人。そもそも熱量を持っている人が少ない。人は、小さなコミュニティでも評価されれば生きていける。
黒田氏:多動で、人を巻き込んで行く力がある人。また、コラボレーションリテラシーがある人。あの人だと面白いからついていってみようと旗を立てるのが上手い人。
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ブロックチェーンビジネスを進めていくうえでの法的注意点
ブロックチェーンビジネスを進めていくうえでの法的注意点について、法律事務所ZeLo 代表弁護士の小笠原氏が解説しました。
ブロックチェーンビジネスを進めていくうえでの法的注意点
ブロックチェーンの法規制について、絶対に確認しなければならないのが資金決済法における仮想通貨交換業になります。
暗号資産やブロックチェーンビジネスを行う上において、仮想通貨の定義を確認し、仮想通貨交換業に当たらないスキームにすることが求められます。
また、その他の方関連規制として前払式支払手段に関する規制や賭博行為にあたらないかも確認する必要が出てきます。
小笠原氏はゲームを例にし、以下の論点を整理していくことが重要であると語りました。
1.ゲーム内で使用するトークンを発行する場合
- トークンが仮想通貨に当たるか?
- トークンが前払式支払手段に当たるか?
2.トークンによるユーザ間取引を認める場合
- トークンが仮想通貨に当たるか?
- ガチャ等が賭博に当たらないか?
3.ユーザーに仮想通貨のプレゼントをする場合
- 景品表示法違反とならないか?
また、電子内資産に対して一意に紐づくNon-Fungible Token(非代替型トークン)を利用する場合、仮想通貨にあたらないため取引が可能になるとしつつも、非代替性の認められる限界は必ずしも明確ではないとしました。その他、賭博行為に該当しないか注意する必要があります。
暗号資産に関わる法改正について
2019年3月15日に、暗号資産に関わる法改正案が出されました。
改正案では、仮想通貨交換業の規制が強化されます。ホットウォレットを使う場合に担保する資産を確保しておくほか、カストディ業者(ウォレット業者)への規制が含まれています。
また、ICOやSTOの法律が多少整いますが、ICOについては特段現状から変更があるわけではありません。詳しくは、画像を御覧ください。
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地域経済におけるトークンエコノミー
最後のイベントは、地域経済におけるトークンエコノミーになります。金沢工業大学の福田崇之氏と、一般社団法人日本地方創生ICO支援機構の深堀剛氏の会話形式で行われました。
はじめに、福田氏が金沢工業大学の取り組みを紹介しました。
金沢工業大学は石川県白山市に全寮制のキャンパスを設立しました。そこでSDGsについて、地域全体で学びと創造の里山を作ろうという取り組みを行っています。
白山市では、経済のトレードオフを解消し、村全体をエンタメ化することを目指しています。トレードオフの解消をするための手段としてブロックチェーンを活用します。
続いて、深堀氏が地域創生ICOについて紹介しました。地域創生ICOは、その名の通りICOで資金調達をシテトークンエコノミーで地方を再生していこうという試みです。
なぜ深堀氏は地方創生ICOに取り組み始めたのか?
地域創生ICOのことを、深堀氏はInitial Community Cofferingと呼んでいます。
深堀氏は、活動資金が理由で地方創生が失敗していているプロジェクトをいくつもみてきました。それに対し、ICOを活用することで課題が解決ができるのではないかと考えたそうです。
地域創生ICOをすることで、クラウドファンディングだとせいぜい集まっても数千万円分だったものを、数億円規模まで拡大し、十分に活性化できる資金量を確保できるだろうとしています。
既に岡山県の西粟倉村(にしあわくらそん)がNishi Wwakura Coinを発表しています。
ただし、地方創生ICOのスキームを十分に検討する必要があります。自治体に直接資金が流れる形にすると、行政の会計になり議会の承認が必要になってしまいます。そのため、推進組織に資金が流れるようにするのが良いとしています。
深堀氏は、ICOで地域創生のあり方が変わるとしています。
これまでの地方創生の場合では、中央からお金をもらうために財源確保のために自治体間の競争になっていました。しかし、ICOで自治体が独自の財源を確保することで、それぞれの地域が連携して、面の地方創生ができるのではないかと考えています。
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