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Next X Asia #2 イノベーションを加速する日本・アジア発エコシステムの構築 イベントレポート

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2019年5月16日に日本の先端事業をやっている企業が招かれ、ブロックチェーンやAIなどの取り組みが紹介されるイベントが行われました。

イベントページ:【Next X Asia #2 】イノベーションを加速する日本・アジア発エコシステムの構築

このイベントの背景は、日本の産業の国際競争力が年々低下してきていることにあります。Next X Asiaでは、日本やアジア発のイノベーションを世界に広げていくことを目的に開催されています。

イノベーションを加速する日本・アジア発エコシステムの構築

くりぷ豚:DApps Gameがもたらす顧客体験の新境地

本テーマは、くりぷ豚(トン)の開発運営会社であるGood Luck 3の代表取締役、井上和久が話しました。

井上氏は冒頭で、毎回ブロックチェーンの話をしているが、これらについて学ぶのは本を読むのでははなく、先に暗号通貨を買って使ってみるのが一番理解が進むと語りました。

くりぷ豚は、世界最高の養豚プラットフォーム構想を掲げています。ゲーム内のくりぷ豚は年間10万頭が増えて行くため、くりぷ豚とリアルな豚をくっつけてしまう”豚本位制”をとろうとしています。

豚本位制の養豚プラットフォーム構想

豚本位制の養豚プラットフォーム構想

豚本位制では、くりぷ豚がレースに勝つと、実際に豚肉が送れられてきたりと、豚との交換権利を担保します。技術的にも経済的にも豚によって信頼性を担保しようとしています。

なぜこのような豚本位制をとったのか?それはデジタルが目に見えない信頼できないものだからだと、井上氏はいいます。豚のほうが目に見え信頼しやすいので、リアルな豚を通して信頼してもらいコンテンツを展開していこうとしています。

豚本位制を採用した理由

豚本位制を採用した理由

くりぷ豚のゲームは、豚を交配し、トレーニングセンターで豚を育てて、レースに出場させることができます。今までのテキストベースのブロックチェーンゲームと異なり、3Dで従来からのゲームと変わらないリッチな体験をすることができます。

くりぷ豚のレース模様

くりぷ豚のレース模様

くりぷ豚は、2018年に日本で初めて登場したブロックチェーンゲームで、現在はDAUが1000人程度の規模になっています。

井上氏は、ゲームがブロックチェーンで一番社会実装が進んでいる分野だといいます。ゲームはすべてがデジタルで解決し、デジタルアセットを保有することで欲求を満たすことができるからです。

また、ブロックチェーンゲームの立ち上がり状況がわかりやすい情報源として、DappRaderが紹介されました。ブロックチェーンの透明性の高さ故に、ゲームの売上がわかる点も面白いとのことです。

DappRadar – Ranked list of blockchain dapps

Good Luck 3では、これからRAKUN(ラクン)と呼ばれるゲームに使える暗号柄を出す予定です。井上氏らは、ゲームを起点に暗号通貨や暗号資産を広げようとています。

最後に、井上氏はブロックチェーンを理解するために遊ぶということをやってみて欲しいと話し、プレゼンテーションを締めくくりました。

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産学連携による技術移転から生まれるイノベーションエコシステム

東京大学TLOの代表取締役社長、山本貴史氏より大学発の画期的な技術やベンチャー事例が紹介されました。

まず提示されたのは、産学連携に関する実態になります。

東京大学単体で見た場合、昨年だけで30社のベンチャーを創出しており、国境を超える産学連携が盛んになっています。また、日本全体で見た場合でも、発明届け出数や特許出願数、ライセンス契約や収入など、いずれも前年から上昇しています。

日本の大学のロイヤリティ収入推移

日本の大学のロイヤリティ収入推移

以降から、東京大学発の画期的な技術やベンチャー事例が紹介されていきました。ここでは、筆者が特にイノベーティブだと思ったものを紹介します。

「蛾を用いた匂いセンサ」は、カイコガの匂いに敏感な特性を応用したものになります。蛾は1キロ先にメスがいることを匂いで認識することができます。例えば、遺伝子操作で爆薬に敏感な蛾を作成した場合、有効なテロ対策や食品の品質保持に貢献するだろうとしています。

蛾を用いた匂いセンサ

蛾を用いた匂いセンサ

「テレイグジスタンス」は、ロボットを使った遠隔操作の仕組みです。この仕組がすごいのは、ロボットが手を水につけると、遠隔操作している人間にも冷感が伝わってくるところです。

このようなシステムを利用することにより、わざわざ外国人労働者に海外から来てもらわなくても、物理的なワークシェアリングを実現できるといいます。

テレイグジスタンス

テレイグジスタンス

「摩擦係数4桁低減技術」は、特殊なガスを吹き付けることにより、摩擦係数を4桁減らすことができる技術です。どれくらいかというと、バスを子供の指1本で動かすことができるほどになります。

摩擦係数が経ることにより、鉄道をスムーズに動かせたり、電気自動車の走行距離を飛躍的に伸ばすことができ、エネルギーの革命が起こる可能性があります。

テレイグジスタンス

テレイグジスタンス

このように、東京大学発の画期的な技術が世間に登場し、それがベンチャーとなって成長していきます。例えば、創薬ベンチャーのペプチドリームは、既に時価総額が7000億円になっています。

東京大学発のベンチャーは海外にも進出しており、WASSHAはタンザニアで活動をしています。タンザニアでは電力インフラが整っていないため、片道2.5時間かけて携帯電話を充電しに来る人がいます。そのような人たちに向け、WASSHAでは電力を量り売りし、フィンテックを使って決済する仕組みを提供しています。

WASSHA

WASSHA

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コネクトームが実現する、感情を理解し表現する人型AIアシスタント「バーチャルヒューマンエージェント」が生み出す世界

石黒氏クーガーは、イノベーションの3つの領域を定めています。それがブロックチェーン、AR/ゲーム、AI/NLPです。今回はブロックチェーン以外の2つが紹介されました。それがコネクトームと呼ばれるプロダクトです。

コネクトームは、人間がAIを信頼する世界の創造を目指しています。それを実現する手段として、人型のAIインターフェイス「バーチャルヒューマンエージェント(VHA)」を開発しています。VHAは、人間の問いかけに対し、人間のようなリアクションをするようになっています。

現状のAIとの対話インターフェイスの課題として、インプットする側の意図や感情などが分かりづらいということがあげられます。インプットから最大の効果を得るには、人間とインターフェイスとで信頼や意思疎通を構築していく必要があります。

これは、人間がフォーマルやパブリックな環境だと本音を話さず、カジュアルやプライベートな環境だと本音を話しやすいのと一緒です。AIでも同じような状況を作り出していくということです。

VHAを使う理由

VHAを使う理由

そこで、コネクトームでは人間のトーンや表情を読み取って、それに応じたリアクションをするのにVHAを採用しました。例えば、人間が笑いながらVHAに話しかけると、VHAも笑い返すようになります。

VHAを使うことにより、人々が欲しているものをより正確に把握することができるようになることが期待されます。ユーザに寄り添った情報提供や提案、エンターテイメントを通じた交流が促進できるようになると考えられています。

コネクトームで実現すること

コネクトームで実現すること

また、AIのデータ処理をすることにおいて課題になるのがプライバシーです。VHAの場合は、ブロックチェーンを使ってデータを秘匿化したまま機械学習にかける機能が備わっており、その点をクリアできるとしています。

世界基準のベンチャー創出:これからの時代で最も必要なグローバル目線とは

本テーマで話をしたのは、シンガポール発のブロックチェーンプロジェクトOcean Protocolの創業者のDaryl Arnold氏です。

ユニリーバの取り組み紹介

Arnold氏まず紹介されたのは、シンガポールでビジネスを開発してくためのイノベーションの話です。シンガポールではユニリーバが新規のビジネス開発を積極的に行っています。

ユニリーバではハッカソンなどのベンチャーを育成するための活動を行っています。そして、新興企業と大企業の摩擦を減らすために、まずやっていることの1つがコワーキングスペースの提供になります。コワーキングスペースはユニリーバの本社にあり、入居者はユニリーバの上層部にアクセスすることができます。

ユニリーバ社内のコワーキングスペース

ユニリーバ社内のコワーキングスペース

ユニリーバでは、データ&AI、食品&農業技術、持続可能な技術成長、物流&デジタルコマース、マーケティング&広告技術を重要視しており、これらに属するスタートアップの場合は、ユニリーバと一緒にビジネスをやっていく確率が30-40%になります。

ユニリーバでは世界の大企業とも提供をしており、これらの企業を巻き込んで行くことで、エンタープライズ主導の素早いビジネスの立ち上げを行うことができるようになります。

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Ocean Protocolの紹介

Daryl Arnold氏は、前述のデータ&AI分野のプロジェクトとしてOcean Protocolを創業しました。

データエコノミーは増加の一途で、2030年までに3.8兆円になるとされています。現状はGAFAのような一部の企業がデータから収益を上げることができており、この市場規模の形成に必要なのは中小企業の参加になります。

データを処理するために必要なものは、データ、コンピュータ、アルゴリズム、ストレージです。現状は大企業のみがこのすべてを保有しています。Ocean Protocolでは、これらをすべての企業や個人に提供していきます。

データの実情として、95%のデータが本来移動することが難しいものになります。プライバシー性が強すぎたり、サイズが大きいという理由で移動ができません。そこで、Ocean Protocolではアルゴリズムと計算能力を提供して、オーナー自身がデータを移動せずに処理できる状況を作り出します。

Ocean Protocolではデータオーナーの元でデータ処理を行う

Ocean Protocolではデータオーナーの元でデータ処理を行う

ここで、Ocean Protocolの有効性を示す例として、パーキンソン病が取り上げられました。現在のパーキンソン病の医師の情報共有手段は、紙とペンになります。これには信頼性も透明性もありません。

そこで、Ocean ProtocolではApple Watchから得られたデータを活用しました。

ドイツやシンガポール、トルコから受けたデータをマシンラーニングやディープラーニングに入れ、パーキンソン患者のデータをラベリング、症状のクラス分類を行いました。

パーキンソン病のユースケース

パーキンソン病のユースケース

その結果、93%の確率で診断の正確性を確保できました。これは、医師による正確性の60%と比べると遥かに高いものになります。このように、IoTとデータサイエンスを活用することで、より良い医療サービスを提供することができるようになります。

現状のヘルスケア業界は、イノベーターはアルゴリズムを持っていてテータがなく、データを持っている人たちはアルゴリズムを持っていないという状況になっています。ここで問題になるのが、データがある人達がデータを渡す先が本当に信頼できるかという問題です。そこで活用できるのがブロックチェーンになります。

ヘルスケア業界の問題

ヘルスケア業界の問題

Ocean Protocolでは、多数の分散型とつながることができるOceanネットワークを用意し、異なる言語を使うことができ、スマートコントラクトでそれらの管理を行っています。

これらはもちろん分散型システムです。利用するためには、トークンを使いブロックチェーン上に記録を残すということをやります。また、生産したデータを分散型マーケットプレイスで売買することもできます。

Ocean ProtocolはデータとAIをつなげるためにブロックチェーンを使う

Ocean ProtocolはデータとAIをつなげるためにブロックチェーンを使う

Ocean Protocolにより、1つの企業がデータを専有することがなくなります。データを共有することにより、新しいビジネスやサービスが生まれることが期待されます。

これらを実現するソフトウェアは、すべてオープンソースで誰でも利用することができます。また、シンガポール政府や大企業、データサイエンティストやAIリサーチャーとも協業も行っています。

イベント主催者について

イベント主催者のBINARYSTAR(バイナリースター)は、日本最大級のブロックチェーン専用のコワーキングスペースです。既存の技術特化型のブロックチェーン専用のコワーキングスペースとは異なり、ブロックチェーンを社会実装することをミッションに、ブロックチェーン企業と一般企業が同居できる環境を提供します。

BINARYSTARでは、今後も積極的にブロックチェーンに関するイベントを主催していきます。是非、Peatixの「【バイナリースター】イベント事務局」をフォローして最新のイベント情報を入手してください。

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この記事を書いた人

TOKEN ECONOMISTのDirector。「ブロックチェーンによる少し先の未来を魅せる」をポリシーに、注目しているプロジェクトの紹介やインタビューを行っています。

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