2019年7月30日に、テックビューロ主催「mijin活用セミナー特別編」にて、NEM財団の最新動向とCatapultが紹介されました。
他のブロックチェーンの影に隠れがちなNEMですが、実はかなりの発展を遂げています。今回はNEM財団のトップが来日してプレゼンテーションをしました。
後編では、NEMブロックチェーンのCatapultテクノロジーについてお伝えします。
前編がまだの方は「【前編】ーNEMブロックチェーンの今後の戦略」をご覧ください。
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Catapult(NEM v.2)の特長と他暗号通貨との違い
「Catapult(NEM v.2)の特長と他暗号通貨との違い」について語ったのは、NEM財団の理事会メンバーのJeff McDonald氏です。
Jeff McDonald氏は、Catapultはどのようにパワフルなのかを他のブロックチェーンと比較しながら説明しました。
ブロックチェーンのトリレンマ
ブロックチェーンでは両立しない3要素があります。それが「セキュリティ/分散性」「機能性」「スケーラビリティ」になり、これはブロックチェーンのトリレンマとして知られています。
ビットコインはセキュリティ/分散性に優れていますが、拡張性がないために、スケーラビリティを確保するためにライトニングネットワークを組み合わせたりと、様々な機能に対してアウトソースが必要になってきます。
また、イーサリアムは機能性に優れています。仮想マシンを搭載しており、分散型OSとして利用することができます。しかし、セキュリティを若干犠牲にして機能性を追求しているところがあるといいます。そしてビットコインと同様に、スケーラビリティは優れていません。この他、あまりコミュニティで語られていない点として、情報のプライバシーがあります。イーサリアムでは、そのソリューションとしてInfura(インフューラ)が利用されています。これはイーサリアムブロックチェーンの情報をプライベートな領域にし、情報を読み込めるようにするものです。イーサリアムにおけるAPIコールやデータの半分以上はInfuraが利用され、この部分に関しては中央集中的だといいます。
そして、現在のバージョンのNEM(NIS1)はセキュリティ/分散性に優れています。いかなるプロトコルバグが起きておらず、人々の資産を護れるという点については完全無欠なパフォーマンスだといいます。また機能性が良く、スマートアセットやネームドアセットがあります。NIS1はセキュリティ/分散性、機能性は両立していますが、まだスケーラビリティは高くないといいます。
現状のNIS1のPOIは、POWよりはスケーラブルではあるが、完璧ではないためまだまだ高みを目指せるといいます。その解決策がCatapultです。
Catapultでは、機能性が大幅強化されており、エイリアスやクロスチェーン、アカウントフィルタなどの機能を追加されています。コンセンサスアルゴリズムはPOIからPOS+に変更されます。さらにスケーラビリティを優れたものにするために、ティアを複数階層にすることでスケーラビリティを拡張します。また、データの効率的な入出力を実現するためにmongoDBを加えました。mongoDBにより、データの入出力を含めNEMが真の分散化されたブロックチェーンになります。
これらの説明を総括し、Jeff氏は「あらゆるものと比較した結果、自信をもってNEMが世の中に存在する最高のブロックチェーンになる」と力強く訴えました。
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CatapultはNEMをデータベースとしてのソリューションに押し上げる
NEMは、ブロックチェーンを真のデータベースソリューションに進化させます。プラグインを使うことで、様々な機能を付加することができます。
NEMの最初のプラグインはスマートアセットです。イーサリアムの場合ERC20のようなトークン規格になりますが、これは真なるネイティブアセットにはなり得ないものになります。NEMの場合は、NEM上で発行したアセットをネイティブアセットと同等のものとして動作するようになります。
NEMではクロスチェーン機能として、相互交換のトランザクションができます。CatapultからCatapultへの相互交換のほか、BTCとCatapult、ETHとCatapultもできます。この仕組はSDKの中に組み込まれているので、シンプルに実装できるといいます。Catapultは素晴らしいものであるものの、すべてがCatapultに集約されるわけではないので、他の台帳と接続する際にこの機能が役に立ちます。
Catapultにより、集約したトランザクションができるようになります。例えば、1つの取引において複数の当事者が関係してくる場合、従来であればそれぞれの当事者間での取引を個別処理する必要があったものの、NEMでは1つのトランザクションで全部の取引を完了することができます。
そして、新たにエイリアスが使えるようになります。似た機能として、NIS1にはネームスペースがありましたが、利用者にとってわかりやすいものとはいえませんでした。エイリアスがつかえることにより、JeffやAlexといった単純な宛先をつくることができ、メールを送るのと同じ感覚で送金できるようになります。
最後に、他のブロックチェーンにない点として、NEMでmongoDBを扱えるようになります。mongoDBはNEMのために特別に用意されたデータベースではなく、既に世界中で愛されているデータベースです。mongoDBをすることにより、ブロックチェーン上における情報の入出力をスムーズにすることにより、今まで以上にブロックチェーン上で情報を扱いやすくします。また、mongoDBのAPIは真に分散化されたものになります。
NEMは企業のニーズに応えるブロックチェーンである
NEMのCatapultにより、NEMブロックチェーンは企業のニーズに応えるブロックチェーンに進化します。プライベートチェーンやパブリックチェーン、それらを合わせたパブリックチェーンの構成ができるようになります。
また、マルチレベルのマルチシグネチャのアカウントを扱えるようになることにより、複数の当事者が関わる取引において、安全に取引を成立させることができるようになります。Catapultにより、一国の政府の複雑な手続きをスマートコントラクトに落とし込め、しかも動くレベルにできるといいます。
NEMに関する情報
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