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Facebook Developer Circles 主催 リブラ ミートアップ #1 イベントレポート(前編)

投稿日:2019/9/6 金曜日 更新日:

2019年9月5日に、Facebook Developer Circlesの主催でLibaraのミートアップが開催されました。ミートアップは日本最大のブロッチェーンビジネスハブのBINARYSTARで開催され、来場者は200名を超え、関心の高さが伺えました。

今回のミートアップは、盛りだくさんであったため、前編と後編に分けてその模様をお送りします。本記事は、前編になります。

イベントページ:Facebook Developer Circles 主催 リブラ ミートアップ 【#1リブラのビジネス、産業、国家への意味合い】

リブラ ミートアップ #1 イベントレポート(前編)

はじめに:リブラのビジネス、産業、国家への意味合い

赤羽氏

最初に解説されたのがLibraの既存世界への影響についてです。解説は、マッキンゼー・アンド・カンパニー出身で3年前からブロッチェーンの事業化に取り組んでいる赤羽氏になります。赤羽氏は、現在BINARYSTARアドバイザー・インキュベーションマネジャーを務めています。

Libraは、世界に17億人いる銀行口座を持っていない成人に対し、金融システムを提供することを目指しています。Libra自体はFacebookから独立したLibra協会により運営管理されます。先進国の通貨や資産のバスケットに価値が連動するステーブルコインとなり、特定の法定通貨に連動するわけではありません。

Libraは話が錯綜しているため、ここでは最終的な形態である「究極のLibra」について取り上げられました。究極のLibra(以下、単にLibraと表記しています)では、世界的に大きなインパクトを与えるとされています。

既存の金融機関を通さなくても金融ビジネスが載せられるようになり、消費者にとってはローコストな決済ができるようになります。また、今までは利害関係者の問題により大変であったお金の国際送金が容易になります。さらに、現金以上に取引が可視化をされるため、世界で最もマネーロンダリングに使われている既存の高額紙幣よりも、Libraのほうがアンチマネーロンダリングに対応できるとしています。

Libraの特徴

Libraの特徴

究極のLibraにより、多くの金融ビジネスが駆逐されると見込まれています。対象には民間の銀行や証券会社、証券取引所などの民間企業のほか、国の中央銀行も該当してきます。特にLibraについてのネガティブ意見はこのセクターが多く、Libraに対する批判が自分たちの利権を脅かされるために出てきているものなのか、そうじゃないのかはきちんと見極める必要があると、赤羽氏は語りました。

Libraに駆逐されそうな金融ビジネス

Libraに駆逐されそうな金融ビジネス

続いて、各国の懸念が紹介されました。多くが国のガバナンスを壊すという理由でネガティブな意見を表明する一方、英国ではポジティブな見方をしています。

Libraに対する英国のポジティブ意見

Libraに対する英国のポジティブ意見

このように、Libraにはあらゆる分野に対して大きな影響があると見られてます。ビジネスではLibraを活用した企業がアーリーアダプターとして有利な立場になると予想されます。また、産業にとっては、1つの産業がバッサリとなくなる可能性があり、産業を守っていた国境の壁が簡単に超えられてしまう可能性が出てきます。さらには、国家が通貨主権を失うことにより、金融政策が難しくなることが懸念があります。

Libraの各分野への意味合い

Libraの各分野への意味合い

ビジネス:Libra / Caribraのビジネスモデル

大森氏

LibraとCaribraのビジネスモデルについて、Facebook Developer Circlesの大森氏が解説しました。大森氏は、海外のスタートアップエコシステムのリサーチを自身のビジネスとして展開しています。

Libraを一言で表すと「Stable Global Cryptocurrency(グローバルなステーブルコイン)」になります。Libraの運営は、スイスのジュネーブを本拠地とするLibra協会により行われています。大森氏は協会にベンチャーキャピタルが加盟していることに言及し、Libraを使ってスタートアップに投資をする可能性があるのではないかと予想しています。

Libraは、新しいプログラミング言語のMove(ムーブ)で開発することができ、既にバグバウンティを利用したバグ修正がスタートしています。公式では2020年の前半にLibraブロッチェーンがローンチする予定で、2020年に開催されるF8(Facebook主催の開発者や起業家のカンファレンス)がキーポイントになると見込まれています。

Libraはオープンソースで提供

Libraはオープンソースで提供

Calibraは、Libraのためのウォレットであり、ウォレットの開発企業の名前で、代表にDavid Marcus氏が就いています。CalibraはFacebook傘下の企業になり、FacebookとしてのCalibraの話は彼から発信されるため、今後のDavid氏の発言には要注目だといいます。

大森氏によると、Libraへのユーザ取り込みは既に始まっているといいます。それがFacebookのメッセンジャーに搭載された送金機能(日本で未リリース)です。また、Facebook傘下のWhatAppでは、インドでWhatsAppメッセンジャーに送金機能の実装を予定しています。インドは、Facebookのサービスが利用できる国では最大の人口を誇っています。

WhatsAppメッセンジャーへの送金機能の実装

WhatsAppメッセンジャーへの送金機能の実装

このように、Facebookでは自社のサービスに送金機能を組み込むことで、Libraに移行したときにユーザが違和感を覚えずにスムーズな以降ができる戦略を取っているのではないかと考えられています。また、インドはLibraがターゲットとする銀行口座を持たない成人の人口が多いため、WhatAppを通してインド市場を押さえることは合理的だといいます。

現状の問題とLibraの展望

現状の問題とLibraの展望

Libraの登場により、Facebook Developer Circlesはどのようになるのか?Developer Circlesは、Facebookの最新API等を利用することができる立場にあります。そのため、大森氏はDeveloper Circlesを中心としてLibraが広がるようになり、グローバルトレンドがDeveloper Circlesに集中するようになるのではと予想しています。

法律:リブラで学ぶ、ブロックチェーン送金ビジネスの法規制

井垣氏

法律面からは、ブロッチェーンの法規制に詳しい井垣氏が解説しました。井垣氏は、現在BINARYSTARインキュベーションマネジャーを務めています。

井垣氏は、Libraの法規制を考えるポイントは「為替取引に該当するか」「仮想通貨に該当するか」「前払式支払手段に該当するか」の3つに集約されるとしました。

為替取引は、顧客からの資金移動の依頼を受けて、何かしらのシステムを使いお金を移動することになります。現在、仮想通貨はモノであるため、資金という定義から外れ為替取引には該当しなくなります。

そして仮想通貨に該当するかの判断は、通貨建資産に当てはまるかどうかが重要になってきます。通貨建て資産とは、法定通貨でで債務の履行や払い戻しが行われる者になります。例えば、預貯金や電子マネーは通貨建資産に該当します。

また、カストディ業務規制にも注目する必要があります。しかしながら、そもそも対象が法律上の仮想通貨の定義に当てはまらなければ、この点を考慮する必要がなくなります。

以上より、Libraの法規制の論点は、Libraが通貨建資産になるか?仮想通貨になるか?そして、Calibraが為替取引にあたるか?暗号資産カストディにあたるか?の4要素になるだろうと、井垣氏は考えています。

Libraの法規制の論点

Libraの法規制の論点

もし日本国内でLibraを扱う場合、通貨建資産の規制が整っていないため、井垣氏は設計で仮想通貨に寄せ、日本の仮想通貨交換業のライセンスで対応するのが現実的ではないかとしています。

また、Calibraに関する法規制は、ブロッチェーンでは顧客依頼を受けて送金するわけではないためそもそも為替取引の定義には該当しないだろうといいます。

Calibraは為替取引に該当しない

Calibraは為替取引に該当しない

このようにLibraを見ていくと、LibraによるP2Pの資金移動はこれまでの法律やビジネスの前提を壊すものであるといいます。資金決済法や銀行法は事業者に対するものであるため、Libraでは該当しなくなってしまいます。またLibraでは、銀行や資金移動業者がなくても決済ができるため、銀行の存在意義が大幅に低下するようになります。

P2P決済のプラットフォームは法律とビジネスの前提を覆す

P2P決済のプラットフォームは法律とビジネスの前提を覆す

最後に、井垣氏はLibraは日本企業に危機を感じさせるのに良い例だと語りました。Libraのパートナー企業の売上は合計11兆円あり、中には日用品を販売する企業も含まれています。このような会社がLibraで攻めたときに、本当に日本企業は勝てるのだろうかと疑問を投げかけました。

後編

Facebook Developer Circles 主催 リブラ ミートアップ #1 イベントレポート(後編)

Libraに関する情報

Libra公式情報サイト

Calibra公式情報サイト

Facebook Developer Circlesによる情報サイト



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Junya Kato

TOKEN ECONOMISTの管理人、ブロックチェーン専門誌「月刊仮想通貨」「CRYPTO CROWD」の執筆陣。ブロックチェーンプロジェクトでは、QURASのコミュニティマネージャー。 より多くの人にブロックチェーンの未来を感じてもらうべく、先進的なブロックチェーンプロジェクトやイベントのレポートをお伝えしています。 ブロックチェーンの素晴らしさを世に広げたい!!

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