インタビュー

ビットポイント台湾 CEO郭雅寧氏 不正流出事件と訴訟の経緯についてインタビュー

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2019年7月12日に、日本の暗号資産取引所ビットポイントで約30億円相当の暗号資産が流出しました。これにより、各メディアでビットポイント台湾がビットポイントジャパンに対して損害賠償を求める訴訟を起こすことが報じられています。

当メディアでは、9月5日にビットポイント台湾CEOの郭雅寧(Patty Kuo)氏にインタビューする機会を得ました。なお、本内容はビットポイント台湾側の主張であり、ビットポイントジャパン側の見解と異なる可能性がある点にご留意ください。

ビットポイント台湾 CEO郭雅寧氏インタビュー

ビットポイント台湾CEOの郭雅寧(Patty Kuo)氏

ビットポイント台湾CEOの郭雅寧(Patty Kuo)氏

ビットポイント台湾とビットポイントジャパンとの関係

加藤:既存の報道では、ビットポイント台湾とビットポイントジャパンとの関係がわからないため、第三者からみて話の内容がわかりにくくなっています。まずは、ビットポイント台湾とビットポイントジャパンとの関係性を教えていただけますか。

郭:私の海外の会社でランドスターインベストメントがあります。ランドスターとビットポイントジャパンが、サモア独立国でビットポイントエーペックを作りました。最初は株式比率が60:40でしたが、その下に台湾にビットポイントエーペックの100%子会社としてビットポイント台湾を作りました。後に、ビットポイントジャパンの連結決算から外すために、ビットポイントジャパンが保有する株式をランドスターが無償で引き受ける形で株式比率を86:14にして、ビットポイントエーペックは完全に独立になりました。

加藤:では、ビットポイントジャパンとビットポイントエーペックは別会社であると。でも、少しだけビットポイントエーペックにはビットポイントジャパンの資本が入っているということですね?

郭:はい、その通りになります。

ビットポイントジャパンとビットポイント台湾の関係図

ビットポイントジャパンとビットポイント台湾の関係図(数字は保有株式の比率)

郭:ビットポイント台湾では、ビットポイントジャパンのシステムをホワイトラベルで使っています。別に他の会社のシステムを使うこともできたのですが、うちとしてはビットポイントジャパンが日本の金融庁のライセンスも持っているし、上場会社であるし(筆者注:厳密にはその親会社のリミックスポイントが上場しています)、日本のブランドだから台湾のお客様向けには信用性が高いということで、そのブランディングを使っていました。

ビットポイント台湾の業務内容

加藤:ビットポイント台湾は、台湾においてどのような業務をしているのですか?

郭:顧客に現物の売買のみを提供しています。FXは、法規制の理由から提供していません。ビットポイントはフロントデスク業務に徹しています。例えば、お客様のアクセスのページは台湾側で作っているのですが、ログイン画面から先はすべてビットポイントジャパン側のシステムになります。お客様の個人情報や仮想通貨、コールドウォレットやホットウォレットは、すべてビットポイントジャパン側のシステムになります。法定通貨は、台湾側で管理しています。

一方でビットポイント韓国は、うちと違ってビットポイントジャパンのシステムは使っていないので、今回不正流出の被害にはあっていません。ビットポイント香港は、ビットポイントジャパンのシステムを使っているので仮想通貨が流出しています。

加藤:では、台湾は純粋に対顧客の業務に集中しているのですね。

郭:その通りです。KYCやコンプライアンス、コールセンターやPR、財務関係の対応をしています。エンジニアはいないです。せいぜいWebサイトをつくるくらいです。

加藤:法定通貨の管理は台湾側とのことでしたが、台湾側の入金が自動検知すると、日本側のシステムでユーザへの入金が反映されるということなのでしょうか?

郭:そうです。そこは台湾の銀行とAPIを直接つないでいて、お客様が入金したらすぐ反映されます。ビットポイント台湾の口座を通して反映されるということではありません。KYCシステムも、銀行が使っているグレードのものを導入しています。

訴訟の内容について確認

加藤:ビットポイントジャパンへの訴訟について教えていただけますか?

郭:まずは不正流出した台湾顧客の資産を返して欲しいということです。また、日本のシステムに置いてある台湾顧客の資産を全額と、顧客のデータベースを返してほしいということです。

うちは韓国みたいに、ビットポイントジャパンのシステムを離れ、顧客データベースを回収して10月から自分たちで運営しようとしていました。

きっかけは、4月22日に台湾の顧客データが流出したことです。顧客データが流出して、日本円で300万円くらいのETHも流出しました。

日本からの報告では、台湾の顧客自身のIDパスワードの管理がずさんで、システムとはまったく関係ないと。でも、うちはシステムを握っておらず分析ができないので、それで代わりにうちが顧客に賠償することにしました。

そこから自社でやろうと方針転換をして、10月から新しいシステムに移行するはずでした。その矢先で起きたのが、今回のハッキングです。

加藤:事前に出回っている情報だと、ビットポイントジャパンに過剰に資金を請求されていたとありますが、実際のところはどうなのでしょうか?

郭:今回の訴訟の目的は、台湾の顧客に帰属する資産を返してほしいということです。

ビットポイント台湾におけるビットポイントジャパンとの資金のやり取りは、ビットポイントジャパンから土日以外に毎日送られてくるホワイトリスト清算表(以下、WL清算表)に基づいています。また、EUCと呼ばれる日本側にあるデータベースを引っ張ることができます。日本側にある窓口の方とやりとりして、我々でデータベースにコマンドを送って取引履歴を1つずつ取り出して照合をしていきました。

加藤:1つ1つコマンド打ってデータ取り出したのですね。聞いているだけで気の遠くなる作業だと感じます。

郭:ところがEUCの内容をみるとおかしい取引がありました。正常であれば、1つの約定IDに対して台湾ドルと仮想通貨の売りと買いがあります。でも、EUCで仮想通貨同士の買いと買いが存在している部分があります。ビットポイント台湾では、仮想通貨同士の売買は提供していないので、これはありえないです。

仮想通貨の売買は日本と共有されているので、台湾側の買いが多くなると、ビットポイント台湾からビットポイントジャパンに現金を多く支払うことになります。

加藤:普通の取引であれば買いと買いがあるのはおかしいということですね。かつ、そのような取引は仮想通貨同士の取引になっていると。

郭:そうです。そこが不思議で仕方がないです。本来であれば、WL精算表とEUCの情報は一致するはずですが、実際は一致していないのです。

加藤:そもそも、どうしてこのような不一致がわかったのでしょうか?流出事件がきっかけということでしょうか?

郭:そうです。今回の流出事件が起きたときに、システムはすぐに止まりました。しかし、うちは顧客への悪影響を減らすために、法定通貨の出金対応を継続していました。そこから約1週間後でしたが、明らかに現金が足りなくなりました。そこで出金対応を止めて、3週間かけて調べてようやくそのことが判りました。

そして、一番大きいのが水増し請求でです。ビットポイント台湾とビットポイントジャパンとの資金のやり取りは、WL精算表をもとにしていますが、後から見直してみると明らかにおかしい点がありました。当時の私たちもそこに気がつけば良かったのですが、ビットポイントジャパンからもその点に関して指摘が入るということはありませんでした。また、インボイスで億単位の送金をしているので、細かくはチェックできなかったという事情があります。

加藤:この件に関して、ビットポイントジャパンからはどのような説明を受けているのですか?

郭:説明は受けていません。

訴訟をした先に望むものとは?

加藤:今回ビットポイントジャパンへの訴訟に踏み切るわけですが、それをしたらビットポイント台湾としてどうしていきたいですか?事件の落とし所はどこなのでしょうか?

郭:まずは台湾の顧客の資産を返して、ビットポイントジャパンとの契約関連をいったん整理したいと思います。また、台湾の顧客は私たちの会社のお客様なので、データベースもきちんと返していただきたいです。そして、私たちから台湾のお客様に資産を返します。責任がありますから。

データベースはすべて日本にあるので、台湾のお客様には資産情報の画面コピーを取っておくようにお願いしています。実際に私たちも、コールセンター用のアカウントを使って顧客の資産情報の詳細を取得しています。顧客に見えている情報が、一番正しいでしょうから。

別にビットポイントジャパンを潰す気はないですし、ハッキングの前であればビットポイントの方ととても仲が良かったです。うちもお金を使ってビットポイントのブランディングをしていました。イメージキャラクターも作りましたし、LINEのスタンプもあるんですよ。ビットポイントのブランドをとても大事にしているのです。

ですので、今までの水増し請求が意図的であるとしたらとても悲しいですね。

加藤:ホワイトラベルを使っているならではの苦労を感じます。今回はありがとうございました。

注意事項

本内容は、ビットポイント台湾の主張を記事化したものであり、当メディアにてその真偽の確認までを行っていません。内容がビットポイントジャパン側の見解と異なる可能性がある点にご留意ください。



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Junya Kato

TOKEN ECONOMISTの管理人、ブロックチェーン専門誌「月刊仮想通貨」「CRYPTO CROWD」の執筆陣。ブロックチェーンプロジェクトでは、QURASのコミュニティマネージャー。 より多くの人にブロックチェーンの未来を感じてもらうべく、先進的なブロックチェーンプロジェクトやイベントのレポートをお伝えしています。 ブロックチェーンの素晴らしさを世に広げたい!!

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