2019年9月12日に「BAT/Brave meetup in Tokyo」が行われました。BATは、Webブラウザ「Brave」で使われる暗号資産になります。Braveのプロジェクト自体が世界的な注目度が高いため、今回ミートアップに参加してきました。
イベントページ:BAT/Brave meetup in Tokyo
BAT/Brave meetup in Tokyo イベントレポート
Braveが目指す新しいWebのあり方
BraveのChief Security Officer、Yan Zhu氏が新しいWebのあり方について語りました。
話は「Webが壊れている」という切り出しで始まりました。現在のWebは広告が入り乱れていて記事が見つかりにくくなっています。これは、Webの収入源が広告になっていることによるもので、個人情報を抜かれることによるプライバシー侵害につながっています。
このような状況は、ユーザーに様々なものを払わせるといいます。モバイルページでは1ページにつき5秒の浪費が生まれ、ニュースメディアでは124のトラッカーが仕掛けられています。また、ダウンロードやトラッカーのダウンロードに毎月23ドルを消費し、マルウェアやランサムウェアは2017年の1年だけで3倍に増えました。
これらの状況の改善をBraveは目指します。Braveが目指す新しいWebのあり方は、ブラウザの閲覧履歴をローカルで学んでユーザーに適切な広告を表示し、現代的な暗号手段を用い、ユーザー中心のアプローチをし、ブロックチェーン技術を用いることです。
そのようなアプローチを目指すBraveは、プライバシーにフォーカスしたプラウザで、ユーザーを最優先にしつつコンテンツ制作者にお金を支払います。Braveはプライバシーファーストで、デフォルトで広告をブロックします。さらにサードパーティのクッキーもブロックし、個人情報を抜き取るGoogleともつながっていません。
それでは、Webがどのように収益を得るのか?その手段がBATトークンになります。広告主はBATで広告を購入し、広告を閲覧するユーザーはBATを獲得します。ユーザーは自分が応援したいコンテンツ制作者に応援としてBATを提供することができます。
Braveでは、広告は画面の隅に通知されるようになります。ユーザーはその広告をクリックするまでは自分の個人情報が漏れることはありません。
これらを実現するコア技術が、Brave Ads ProtocolとBrave Auto-Contribute Protocolです。前者は、ユーザーが自分たちの見ているページをもとに、広告のカタログをダウンロードするイメージに相当する仕組みを実装されます。また、後者はユーザーの閲覧度合いが高いWebサイトに対して自動的にBATを渡す実装になります。
これらの実装により、Braveではユーザーのプライバシーを守りつつコンテンツ制作者の収益も守り、壊れたWebを健全化していきます。
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プライバシーとWeb上でのトラッキングの現状
つづいて、プライバシーリサーチャーのPeter Snyder氏から紹介されたのが、プライバシーとWeb上でのトラッキングの現状です。
現状のWebでは、私たちが想像を絶する程のトラッキングが行われています。プライバシーが侵害されればされるほど、オンラインで自分が閲覧する情報が信頼できなくなっていきます。ニュースサイトでは、他の広告がでてくることにより、自分が読みたいニュースが読めなくなるという弊害が発生します。
このような状況が積み重なると、データベースも入り乱れて管理者側もコントロール不可になり、ひいては自分たちの生活に影響が出るものだろうといわれています。
プライバシーの侵害はWebだけではなく、様々なもので行われています。カードを使うと購入履歴がたまり、地図アプリを使うと位置情報が取得されると行った具合に、様々な個人情報が収集されます。
では、Webにおいてどのように個人情報が収集されるのか?主に3つの方法があります。それがクッキーによるトラッキング、ストレージメカニズムによるトラッキング、フィンガープリンティングです。
クッキーによるトラッキングには2つの形態があります。ファーストパーティ、サードパーティによるものです。ファーストパーティは、自分が訪問したWebサイトそのものです。つまり「私は何をしたか」ということを知られてしまいます。そしてサードパーティは「私がどこに行ったか」をクッキーを使うことで把握します。
このようなトラッキングはほとんどのニュースサイトで行われています。また、トラッキングをしている事業者(トラッカー)はGoogleが圧倒的な割合を占めます。Google以外でも、そのほとんどがアドネットワークになります。
そして、前述のトラッキングをサードパーティのクッキーをブロックして対策するプラウザが増えてきたため、トラッカーも新たな手段を導入しています。ストレージメカニズムはそのような対策を迂回するものです。トラッキング情報をクッキー以外の別の場所に置くことで、ユーザーのトラッキングを実現します。
フィンガープリンティングでは、個人情報を使わずにWebアクセスに使われる端末の特徴から個人を推定します。例えば、多くのユーザーはWebページを移動するたびに毎回ブラウザのサイズを変更するわけではないため「このWebブラウザのサイズであればこのユーザー」といった形でユーザーを識別します。その精度は、100万人の中から1人を特定できるものだといいます。
それらに対抗するためBraveでは、サイトを超えたトラッカーをブロックしたり、トラッキングをするWebサイトをリストを利用しブロックしたり、フィンガープリントベクターを削減したりすることで、ユーザーのトラッキングによる被害を最低限まで減らしていきます。
もちろん、この他にも開発や調査中の技術があり、引き続きBraveが最前線でWebのプライバシーを保護する取り組みをしていきます。
Braveに関する情報
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