日本の仮想通貨取引所でも扱われているNEMは、Catapult(カタパルト)と呼ばれていた新しいブロックチェーンの正式名称をSymbol(シンボル)に決定し、いよいよメインネットに入ろうとしています。
2020年1月20日に、NEM財団後援のもと「NEM SEMINAR 2020 – Road to SYMBOL -」が開催されました。NEMの最新動向をまとめてチェックできる良い機会だったので、取材してきました。
イベントページ:NEM SEMINAR 2020 – Road to SYMBOL –
なお、このセミナーはCoinPostよりYouTubeで内容が公開されています。
Part.2をまだご覧になっていない方は、そちらも併せてご覧ください。
▼Part.3
NEM SEMINAR 2020 – Road to SYMBOL – イベントレポート
“スマートコントラクトがなくても知恵と工夫でなんでもできる”
by 高崎 悠介氏
高崎氏は、NEMを使った実験的な作品を作っているプログラマーです。
高崎氏は2017年9月に「ブロックチェーン上に天国を作る(プロトタイプ)」を作り、会う人からヤバいと言われ好評を博しています。このブロックチェーン上に天国をつくるでは、椅子にアドレスを紐付けし、椅子の間でモザイクの移動を行います。
まず、高崎氏は最初にNEMの特徴を改めて確認となり、NEMではスマートコントラクトがないものの、標準機能が豊富で、スマートコントラクトがないと複雑なことができないかといわれるとそうでもないということを述べました。
ここから、今まで作られた実験的な作品が紹介されていきました。
【SNEMS】SNEMSでは、あるアドレスに送金して書き込むスレッド式掲示板になります。送金をするとメッセージが保持されるようになっており、送金はスレッド主に届くようになります。また、総金額が大きいと表示が優遇されるようになっています。非中央集権メディアができそうとのことで作ってみたものの、書き込みには送金が必要であるため、物好きしか使わない結果となりました。
【閉鎖国家ピユピル】閉鎖国家ピユピルは、NEMブロックチェーン上にNFT(Non-Fungible Token)を実装するピクセルアートの試みです。ピクセルアートそのものをブロックチェーン上に保存し、NFTで所有権を移転することで、自分が持っているデバイス上にアートを表示できるようになります。アートを表示するためのデバイスに制御用ボードが組み込まれており、デバイスに秘密鍵を格納します。
そして、高崎氏はNEMの署名済みトランザクションが面白いと語ります。NEMでは、トランザクションの使用期限を設定できるため、署名済みでもトランザクションをリリースすることができます。署名済みトランザクションを使うことで、サブスクリプションや、無断キャンセル時のペナルティ、トークンのレンタルと自動返却などの新しいことができるのではないかとしています。
“ノンプログラマーの秘密兵器となりうるNEM(NIS1)”
by ねむぐま氏
ねむぐま氏は、プログラミングを全くさわったことがありません。それでも、ねむぐま氏は自身のNEMアプリ「F1000」をリリースしました。
F1000では、アプリ上にチップしていくと、絵がどんどん完成していきます。通常、絵は完成品に対してお金を払うものの、F1000では未完成品に対してお金を払う点が斬新だといいます。
ねむぐま氏は、NEMのアプリケーションの挑戦したのは、巷で簡単と言われているNEMの開発の容易さが本当にそうか確かめたかったと語ります。実際にF1000の開発期間は4ヶ月かかり、最難関と思われたNEMを扱う部分が1週間程度で完成したといいます。
ねむぐま氏は、自作アプリのトレンドを予想し、これからは自分の仲間内にアプリを提供する時代になるだろうとしています。30人程度のSNSのフォロワーに対してリリースし、アプリのストーリーと共にフォロワーとその体験を共有できるようになるのではないかと語ります。しかし、このトレンドの問題がノンプログラマーがつくるアプリケーションは大したことがないので、他の既製アプリに負けてしまうことになります。またマネタイズができないのも問題点です。
ねむぐま氏は、これらの問題に解決できるのがNEMであると語ります。NEMのXEMは、Symbolがリリースされると、おそらく手放されてしまうため、その過程で何かに使おうとする人が出てくるのではないかといいます。そのため、ノンプログラマーからのコンテンツ提供にとって、NEM(NIS1)は秘密兵器になるとみています。
実際にNEMは実装が簡単で、NIS1につなげるのはコードが1行だけ、情報をブロックチェーン上から引っ張る場合でも、さらに1-2行追加する程度になります。