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KOINDEXの取引マイニングは本当に儲かるのか?

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巷で話題になっている、CROSSプロジェクトのトルコの取引所KOINDEXは「儲かる可能性がある」という謳い文句のもと、コミュニティによるマーケティングが進んでいます。

果たしてKOINDEXのマイングは儲かるのでしょうか?それは、過去に取引マイニングを採用した取引所の経験から、ある程度考察することができます。

KOINDEXについてあまりご存知ない方は、まずは以下の記事をご覧ください。

404 NOT FOUND | TOKEN ECONOMIST(トークンエコノミスト)
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取引マイニングとは何か?

KOINDEXの取引マイニングが儲かるかというテーマを考えるためには、まずは取引マイニングの仕組みを理解しておかなければなりません。

取引マイニングの概要

取引マイニングとは、取引をしてくれた人にボーナスとして独自トークンを配る仕組みです。通常は、支払った手数料に相当する額の独自トークンが配られるようになっています。独自トークンには配当を受け取る権利がついており、これを持ち続けることで、取引所収益の一部を受け取ることができるようになっています。

CROSS Exchangeの取引マイニングの仕組み

取引マイニングの仕組み(CROSS exchangeの場合)

取引マイニングでは、利用者が取引をするたびに独自トークンが新規で発行されていきます。それがマイニングになぞらえることから、取引マイニングと呼ばれています。英語ではTransaction MiningもしくはTransaction Fee Miningと呼ばれています。

そして、取引マイニングは集客ツールとしても使われます。独自トークンを持っている人は、取引所収益の30-80%(割合は取引所の方針による)が配当されるため、数字からくるインパクトが大きく、集客がしやすいというメリットがあります。

取引マイニングの背景

取引マイニングの存在は、取引所が単体で流動性を確保することが困難であることが背景にあります。

仮想通貨を取引する人口は、世界的に見てもまだ多くありません。そのため、既に1,000以上の取引所が乱立している現状では、個々の取引所で十分な流動性を確保することは不可能になっています。

現実問題として、利用者にとって、十分な流動性がない取引所を使うメリットはまったくありません。すぐに注文が成立せず、売りと買いの価格差が大きい(スプレッドが広い)ため、常に不利な価格で取引せざるを得なくなるからです。

本来、流動性は利用者がたくさん取引をすることでしか生まれません。そのため、取引マイニングでは、取引行為そのものにメリットをもたせ、利用者に必要以上に取引をさせることで流動性を生み出すようになっています。

取引マイニングの歴史

取引マイニングを採用した世界初の取引所は、Fcoin(現在は閉鎖)になります。

Fcoinは、2018年5月にオープンし、取引マイニングの斬新さとマーケティングの大胆さから大きな話題を呼びました。界隈ではFcoinを詐欺呼ばわりする声が少なくなかったものの、取引マイニングにより、オープンから1ヶ月でBinanceを下して取引高世界1位を獲得しました。

しかし、Fcoinの取引マイニングは大変未熟なものでした。独自トークン「FT」のロックアップがなく、FTの価格があっという間に高騰し、その後暴落するなど、需給が非常に不安定で保有メリットが乏しいものでした。そのため、コミュニティの投票によりわずか2ヶ月で取引マイニングが停止となりました。

その後、Fcoinの取引マイニングを改良した形の取引マイニングを導入したのが、CROSS exchangeになります。CROSS exchangeでは、独自トークン「XEX」をロックアップする仕組みを取り入れ、XEXのロックアップ期間が長ければ長くなるほど、取引所の収益配分率を上げるようにしました。しかし、Fcoinと同様に、最終的にはXEXの価格が大幅に下落しています。

CROSS exchangeに続いて、新たな取引マイニングを用意したのは再びFcoinでした。Fcoinでは、初期の反省点を活かし、取引マイニングを新たに持続可能な取引マイニングとしてリリースしました。持続可能な取引マイニングでは、単に取引をする以外に、板に自分の注文を並べるだけでもFTがもらえる仕組みになっていました。このマイニングは、FTが1年間ロックアップされるようになっており、比較的長く価格が維持されていたものの、結局は今までと変わらずにFTの価格が大きく下落して終わりました。

このようにFcoinやCROSS exchangeは取引マイニングで発行された独自トークンの価格維持をすることができませんでした。この2つに限らず、実際のところは取引マイニングで発行された独自トークンの価格維持に成功した例は、世界に1つたりとも存在していません。

なぜCROSS exchangeのXEXは価格が保てなかったのか?

XEXは仕組み上どこかでクラッシュする

Fcoinの取引マイニングを改良したCROSS exchangeでしたが、多くの方がご存知の通り、最終的には独自トークンのXEXの価格が保てずに終わっています。

このことについて、インターネット上では「キャンペーンをしなくなったからだ」「急騰したからその分大きく下がった」という声がありました。しかし、それらの指摘はあくまでも表面的ななものです。根本は取引マイニングの仕組みそのものにあります。

なぜなら、取引マイニングはアクセルを踏みながら、ブレーキも踏む仕組みだからです。相反することをしていると、いずれどこかで必ずクラッシュするものです。

ここで、改めて取引マイニングの仕組みを見ていきます。

  1. 取引マイニングとは、手数料相当分が還元される形で独自トークンが新たに発行される。
  2. 独自トークンを持っていると、取引所収益の一部をもらうことができる。

取引マイニングでは、利用者が取引をしている限り、独自トークンが発行上限に達するまで発行されていきます。

問題は、発行スピードが速すぎることです。

仮に、あなたが1万トークンを持っているとして、取引所の日々の収益配当枠が1億円、収益配分率が80%だとします。

全体で100万トークンが発行済みになった状態で、あなたが受け取る収益配分は、80万円になります。さらに、全体のトークンのマイニングが進んで1000万トークンが発行済みになった場合の収益配分は8万円になります。マイニングが進んだことが原因で、1万トークンを持っていても得られる収益配分が10分の1になってしまいます。

もし、収益配分額を最初と同じになるようにするには、取引所の日々の収益が10倍になっている必要があります。このようになる可能性はゼロではありませんが、現実的なことではありません。短期間でビジネスを10倍規模に持っていくというのは非常に難易度が高いことだからです。

上記の理由で、取引マイニングではどうしても「取引所のビジネス規模の成長の速度<独自トークンの発行速度」という関係になります。そのため、独自トークンがマイニングされればされるほど、1トークンあたりの収益配分率が下がるため、トークンがもつ価値は下がっていきます。故にトークン価格も下がりやすくなります。

さらに悪いことに、トークン価格が下がると、それを手放す人が増えていき、人々はその取引所を見限り取引しなくなっていきます。そうなると、取引所収益が減るので、ますますトークン価値が下がっていくという悪循環に陥っていきます。このようにして、トークン価格が加速度的に下がっていきます。

この悪循環こそが、過去に取引マイニングを採用したすべての取引所において起きたことであり、CROSS exchangeにも例外なく当てはまったことになります。

上記の仕組みから言えるのは、CROSS exchangeのXEXの価格が今に至っているのは、ある意味必然だったということです。

CROSS exchangeの教訓から学べる重要なポイント

ここまで読んだ方であれば、取引マイニングがどのようなものかはほぼ見えてきているはずです。

まずは、取引マイニングが仕組み上、独自トークンの価格維持はほぼ無理ということです。

そして、最も重要なのが取引マイニングの独自トークンの価値が最も高いのは、取引マイニングが始まったばかりであるという点です。なぜならば、発行されているトークンの数が少なければ少ないほど、自分が得られる収益配分額は多くなるからです。

KOINDEXの取引マイニング

ここでやっとKOINDEXの話に移ります。KOINDEXでは、CROSS exchangeの教訓を活かし、取引マイニングが刷新されました。

筆者は、日頃から色々な取引所のトークン価格モデルを調べている限りでは、KOINDEXのトークンは非常に考えられている仕組みだなと感じています。

KOINDEXのマイニングの仕組み

KOINトークン価格は独自インデックスに連動する

KOINDEXでは、取引マイニングをするとKOINトークンを獲得することができます。

KOINDEXの取引マイニングが、CROSS exchangeと最も異なっている点は、KOINトークン価格が独自インデックスに連動しているということです。

独自インデックスは、ビットコイン、ゴールド、米ドルを組み合わせた独自構成になっています。構成比率は、毎月1日に自動で再計算されます。インデックスの開始時は、それぞれ2:4:4の比率で構成されるようになっています。ビットコイン以外の原資産の価格変動幅は大きくないため、KOINトークンの価格は安定するものと見られます。

KOINトークン価格は、インデックスに基づき毎週月曜日に値洗いが行われるため、リセットされます。そのため仮に価格が上下に行き過ぎたとしても、長期的に大きくブレることはありません。

上記の内容を総合すると、KOINトークンはXEXと異なり、価格そのものは大きく変動しないものと予想されます。しかしながら、ビットコインとゴールドは長期的に上昇傾向にあるため、KOINトークンもこれらと似たような動きになる可能性があります。

KOINトークンをロックアップすると取引所収益が得られる

KOINDEXでも、KOINトークンをロックアップするとその長さにより収益割合が異なります。一番長いのは90日間になり、トークンは毎日分割して返却されるようになります。また、いつでもロックアップを解除できるプランも存在しています。

コース名 配当枠に対する収益配分 比率 預け入れ期間
Pledge Plan 90 100% 90日分割返却
Pledge Plan 30 40% 30日分割返却
Staking Plan 30% いつでも解除可
Standard 20% N/A

また、自動マイニングプランも用意されています。ロックアップ期間を長くすると、還元されるKOINトークンが割増しになるようになっています。参考までに、2020年6月時点でトルコ中銀政策金利は8.25%になります。

プラン名称 KOIN還元率 ※年率 保有期間
Pledge Plan 90 トルコ中銀政策金利 + 10% 90日
Pledge Plan 30 トルコ中銀政策金利 + 2% 30日
Staking Plan トルコ中銀政策金利 + 1% いつでも解除可能
Standard KOINの還元なし N/A

以下を総合すると、Standardで得られる収益配分額を100とした場合、同一期間で得られる収益配分額は以下の通りとなります。トルコ中銀政策金利は2020年6月現在の8.25%で計算しています。

プラン名称 収益配分額(Standardを100とした場合)
Pledge Plan 90 591.250
Pledge Plan 30 220.500
Staking Plan 163.875
Standard 100.000

計算上は、5.9倍の収益分配額の開きがあります。KOINトークンのロックアップ期間が長くなる制約がある分、Pledge Plan 90が最も良いパフォーマンスを得られるということになります。

KOINトークン価格はファンドによってコントロールしやすいようになっている

KOINDEXのKOINトークンは、総発行数が100億KOINになります。ユーザーが1KOINをマイニングすると、同時に解凍メカニズムにより1.5KOINが発行され、下表のように配分されます。このようなトークンアロケーションがあるのは、取引マイニングが実質的に取引所のトークンセール担っているためです。

KOINDEXにも、CROSS exchangeと同様にファンドが存在しています。ファンドの役割は、CROSS exchangeと同様に市場からKOINトークンを買い上げることに利用されます。

構成 数量(KOIN) 比率
取引ボーナス 40億 40%
解凍メカニズム KOINファンド 30億 30%
R&D費用 10億 10%
セキュリティ開発 10億 10%
マーケティング 7億 7%
パートナー 3億 3%

ここからわかるのは、ファンドが簡単にKOINトークンの市場価格をコントロールしやすい構造になっているということです。

上記の表より、利用者全体が獲得する収益配分が4だとしたら、ファンド単体が獲得する収益配分は3になります。実際は利用者が一丸となって、KOINトークンを売る・買うということはないので、ファンドが資金を動かせばKOINトークンの市場価格を簡単にコントロールできるということになります。

しかし、KOINトークンの価格はインデックスに連動するようになっているので、価格維持のためのトークン買い上げの意味は薄いと思われます。

結局のところKOINDEXの取引マイニングは儲かるのか?

KOINDEXでは、CROSS exchangeで採用した取引マイニングの反省点を踏まえ、KOINトークン価格をインデックス連動させる方法を採用しました。

もし、KOINトークン価格がインデックス通りにきちんと推移する場合、インデックスの性格上は価格の上昇幅が小さくなるので、ビットコインのような仮想通貨で得られる大きなキャピタルゲインは期待することができなくなります。逆に言えば、CROSS exchangeのXEXトークンであったような大幅な下落のリスクが回避できるということです。

そのため、KOINDEXの取引マイニングの金銭的なメリットは、取引所から得られる収益配分に尽きるということができます。

前述の説明でもある通り、KOINトークンの価値が最も高いのは、取引マイニングは始まったばかりのときになります。なぜならば、まだKOINトークンの発行数が少ないため、自分への収益配分が相対的に多くなるからです。

以下より、次のような条件が満たせると、KOINDEXの取引マイニングでは良い投資パフォーマンスを確保することができることでしょう。

  • できる限り早く取引マイニングに参加する。
  • ただし、KOINトークンがインデックス通りの価格で安定して推移する場合に限る。

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この記事を書いた人

TOKEN ECONOMISTのDirector。「ブロックチェーンによる少し先の未来を魅せる」をポリシーに、注目しているプロジェクトの紹介やインタビューを行っています。

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