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Bitcoin Vault(ビットコイン ボルト)の価格はなぜ上がり続けるのか?

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仮想通貨業界は相変わらず新たな投資案件が登場しては消えていきます。

そのような中で、直近半年はマルチレベルマーケティングで報酬を出すクラウドマイニングの「マイニングシティ」が目立っています。

マイニングシティでは、ビットコインベースで開発されたBitcoin Vault / BTCV(ビットコイン ボルト)をマイニングすることができ、その価格は初期から比べて100倍以上になっています。

本記事では、なぜBTCVがそのような価格を達成できたのかを、Bitcoin Vaultそのものの仕組みから考察していきます。

この記事の前提として、あくまでも筆者はマイニングシティには否定的な立場であり、Bitcoin Vaultの設計に注目しているという点をご理解ください。また、記事内では通貨としてのBitcoin Vaultを表現する場合はBTCV、プロジェクトやブロックチェーンを表現する場合はBitcoin Vault と表記しています。

このテーマを書こうと思ったきっかけ

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筆者は、ビットコインのクラウドマイニングに対しては否定的な立場をとる人間です。それは、ハッシュレートの軍拡競争とも言えるマイニングにおいて、継続して優位性を保つことができるのは非常に困難であるからです。

これはさらに、マルチレベルマーケティングになると顕著になります。最終的に薄利になるクラウドマイニングにおいて、紹介報酬が含まれていると自分の取り分は少なくなるからです。また、筆者が無知な時代にビットクラブネットワークに手を出して失敗したという自己の経験も含まれています。

そのような理由から、筆者はマイニングシティに関してまったく好意的に見ていなかったため、BTCVの存在は「ビットコインが掘りにくいことによる、投資家に提供された代替手段」くらいにしか見ていませんでした。

しかし、事実として価格上昇のパフォーマンスがズバ抜けてよく、単なる価格操作では説明がつきにくいなとも感じていました。

以下は、BTCVの上場先であるCoinealのBTCV/BTCの日足チャートになります。価格の上昇が凄まじく、出来高が自然な感じで推移しています。取引所のボットによる価格操作が入っている場合は、出来高はより一定になる傾向があるためです。

BTCV/BTCの日足チャート(2020年6月22日時点)

BTCV/BTCの日足チャート(2020年6月22日時点)

筆者はブロックチェーン業界人であるため、たまたまBTCVを扱っている取引所に知り合いがおり、BTCVについて質問をしたことがあります。このようなやり取りです。

【私】BTCVって、詐欺くさく見えるけど、何かあからさまな価格操作してるの?

【友人】いやいや、あれは本当にコミュニティが買ってるんだよ!

【私】それ嘘でしょ!?

【友人】本当。

価格操作自体は、業界的にはよくあることであり、結果としてある程度の流動性を確保することができる点から、必ずしも悪いことではありません。

このやりとりで、筆者の価格操作に関する疑念が完全に払拭されたものではないものの、この会話をきっかけとして、Bitcoin Vaultについて調べることにしました。

Bitcoin Vault / BTCV とは?

ここでは、Bitcoin Vaultについて軽くご紹介します。

Bitcoin Vaultは、マイニングホスティング大手のMINEBEST社が開発したビットコインベースのブロックチェーンです。ビットコインの名前がつくものの、ビットコインのハードフォークではありません。BTCVは、既存のビットコイン用のASICでマイニングすることができるように設計されています。

名前にVault(=貯蔵庫)とつくように、Bitcoin Vaultでは通貨としての有用性を敢えて破棄し、価値の貯蔵に重きを置くように設計されています。代表的な仕組みとして、不正送金を取り消しできるようにするために、通常送金でブロックにトランザクションが追加されてから送金が24時間保留され、その間に本来の所有者が送金を取り消すことができるようになっています。

Bitcoin Vault についてのその他詳しくは、以下の記事をご覧ください。

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Bitcoin Vault / BTCVの価格が上がる理由

仮想通貨の価格が上昇する条件

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BTCVの価格が上がるのかを考える前に、まずはなぜ仮想通貨の価格が上がる仕組みを考えてみます。

仮想通貨の価格が上がる理由は、単に需要が供給を上回るからです。そこには、一般的にいわれるビジネスの強さは関係ありません。仮にビジネスの強さで価格が決まるとしたら、現在のビットコインの価格はまったく説明がつかなくなります。

事実として、価格が上がる傾向にある仮想通貨は、価格が上がりやすい流通デザインになっています。

より具体的に書くと、以下の条件に当てはまるものの価格が上がるようになっています。この条件はユーティリティトークンの論理価格で有名な「貨幣数量説を応用したユーティリティトークンの理論価格算出」をもとに、導いたものになります。

  1. 一回の決済額が大きい
  2. 多くのシーンで使われる
  3. 流通速度が遅い(保有インセンティブがある)

詳しくは、グノシーの「ブロックチェーンブログ」に解説があるため、そちらに譲ります。

ビットコイン、イーサリアムのようなプラットフォーム通貨、バイナンスコインのような取引所トークンは、これらの条件に当てはまることになります。

そして3つの条件のうち、プロジェクト側が最もコントロール可能なのが流通速度になります。

流通速度とは、人から人に仮想通貨が渡る速度になります。これが遅ければ遅いほど、価格は上がりやすくなります。受給で見ると、供給が減るということを意味するからです。

流通速度を遅くする代表的な例が、ステーキングのような保有インセンティブ、ロックアップによる自由に手放せない仕組みになります。

トークンの流通速度に関しては、メディアの「新しい経済」が秀逸な記事を掲載しているので、そちらをご覧ください。

なぜトークンの価値を高めるために流通速度が重要なのか(Understanding Token Velocity / by Kyle Saman) | あたらしい経済
はじめに 通貨(トークン)の価値を上げるために重要なことは、通貨の保有者数を増やすことだけではありません。それよりも重要なことは、どれだけ長い間その通貨(トークン)を保有してもらえるかです。以下のMulticoin Capitalの記事内でも説明されますが、Velocity(ベロシティ)とは通貨の流通速度のことを示しま...

なぜここで流通速度について書いたのかというと、筆者は、BTCVの流通速度を遅くするための設計は、他の仮想通貨より上手だなと感じているからです。

Bitcoin Vaultの価格が上がる推測要因

ここからは、筆者の考察が中心になります。筆者は、BTCVの価格が上がったのは、以下の要因があるのではないかと考えています。

マイニング通貨である

マイニング通貨は、その仕組みから価格形成しやすい仮想通貨といえます。なぜならば、マイニング通貨の価格は、マイニング設備を保有するマイナーの損益分岐点で、ある程度成り立っているからです。マイナーの収益があがらないと、マイニングをするブロックチェーンのエコシステムは維持できなくなってしまいます。

BTCVは、マイニング通貨であり、マイニングにはビットコインのASICが必要になります。GPUマイニングと比べ、ASICマシンは割高であるため、GPUのマイニング通貨と比べて損益分岐点は上になります。そのため、Bitcoin Vault のブロックチェーンでは、BTCVが高めの価格にならないと、エコシステムそのものが成り立ちにくいようになっています。

また、BTCVはマイナーからのみ供給されるため、短時間で多くの人に行き渡るわけではなく、仕組み上は遅い流通速度になります。

最初から通貨としての用途を放棄している

BTCVがビットコインベースの通貨として最もユニークなのが、最初から通貨としての用途を放棄している点になります。

通常送金をする場合、トランザクションがブロックに追加されてから24時間を経過しないと送金が確定しないため、そもそも流通すること自体が極端に遅くなるようになっています。

しかし、これだと純粋にBTCVを送金したい場合は使い物にならないため、2つの秘密鍵で署名できた場合に限り、10分で送金が確定するようになっています。

報酬の減少期が短い

ビットコインにマイナー報酬の半減期があるように、Bitcoin Vaultにもマイナー報酬が減る仕組みが用意されています。しかし、ビットコインのように半減はしません。本文では、報酬が減る周期を減少期と表現します。

減少期は、一般的に仮想通貨の価格が上がる材料として見られています。その要因は、マイナー報酬が減ることにより、通貨のインフレが抑制され、マイナーの売り圧力が減るからだといわれています。

Bitcoin Vaultでは、新規にマイニングされるBTCVの減少期が半年で設定されています。これは、ビットコインの4年に一度と比べると、極端に短いものになります。筆者は、この半年という設定は秀逸だと考えています。

マイニング通貨では、減少期が到来してから価格がすぐに上昇することはなく、これには例外はありません。実際に調べてみると判ることですが、いずれも3-6ヶ月程度のタイムラグが生じています。タイムラグが生じる要因としては、仮想通貨の最大のサプライヤーであるマイナーの売り圧力の解消には、ある程度期間を要するからだと推測されます。

この経験則に当てはめると、BTCVは、減少期後のマイナーの売り圧力が解消される頃には次の減少期が控えているという構造になるため、BTCV保有者にとっては、結果的に手放すタイミングを逸してしまうと考えられます。これも、流通速度を遅くすることに寄与します。

マイニングシティだから

仮想通貨の価格が上がるためには、ある程度人々に認知されている必要があります。それがないと、人々から買われる絶対量が少なく、価格が上がる要因にはなりません。

筆者は、世界で初めてBTCVをマイニングできたのが、マイニングシティだからこそBTCVの価格が成功しているのではないかと考えています。

マイニングシティは、投資案件として宣伝がなされており、ブロックチェーン業界やブロックチェーンに熱心な人であれば、一度は名前を聴いたことがあるくらいに知られています。そして、投資案件であることから、平均投資額は、単に仮想通貨を買うより格段に高くなっていると容易に想像がつきます。

一回あたりの投資額が高いからこそ「BTCVに対する投資家の執念」は強く、良くも悪くもBitcoin Vaultを成功して欲しいと意識が働いていると思われます。彼らの執念の強さ故に、BTCVを手放さないのだとしたら、これも流通速度を遅くすることに寄与すると考えることができます。

まとめ

この記事では、BTCVの価格が高くなっている要因を、Bitcoin Vaultの仕組みそのものから見ていきました。

論理的に考えると、BTCVは流通速度が遅くなりやすいようにできており、その結果価格が上がりやすくなっていると推測されます。

免責事項:当記事の内容を参考に投資をして損失を得た場合でも、当メディアはいかなる責任を追いません。価格が上がりやすい仮想通貨でも、必ず価格が下る局面は存在します。投資をする際は、自身で十分にプロジェクトを調査した上で投資を行ってください。

Bitcoin Vault に関する情報

BTCVが取り扱われている取引所

公式情報

当メディアの情報

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この記事を書いた人

TOKEN ECONOMISTのDirector。「ブロックチェーンによる少し先の未来を魅せる」をポリシーに、注目しているプロジェクトの紹介やインタビューを行っています。

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