暗号資産をただ持っておくよりも効率的な運用方法として、ステーキングという手段があります。ステーキングは、専門知識がない人だと実行するのが難しいため、最近ではそれを簡単できるようにするためのステーキングプールが提供されています。
今回は、日本人にとって使い勝手優れ、安全性が高いステーキングプールのMoonstake(ムーンステーク)が本格稼働したので紹介します。Moonstakeは、ADAやCENNZ(将来的に)など、日本人にとって人気が高い暗号資産をステーキングすることができます。
ステーキングとステーキングプールとは
Moonstakeの紹介に入る前に、まずステーキングとステーキングプールについて見ていきます。
近年では、ブロックチェーン上の取引の承認方式にPoS(Proof of Stake)を採用したブロックチェーンが増えています。ビットコインのマイニングに代表されるPoW(Proof of Work)は、莫大な電力コストがかかることによる環境負荷への懸念やハッシュパワーの確保の難しさなどから、最近は敬遠される傾向にあります。そのため、PoSがブロックチェーンの承認方式への主流になりつつあります。
PoSを採用したブロックチェーンの承認作業に参加するためにはステーキングが必要になります。承認作業のためのノードを立て、ブロックチェーンの暗号資産をステーキングすることで、報酬として新たに発行される暗号資産を獲得できるようになります。ステーキングは、一定数量のコインをロックアップしたり、単に保有するだけで実施の承認作業を他者に委任するなど、様々な方法があります。
ステーキングを自前でやるには、マイニングのような大規模な設備こそ必要ないものの、ノードを立てるための専門知識が必要で、一般利用者が気軽に参加できるものではありません。一般利用者がステーキングをしたい場合、ステーキングプールを利用することになります。
ステーキングプールでは、プール業者がノードを立て、利用者がプール業者にステーキングを任せることで、新たに発行される暗号資産を獲得できるようになります。もちろん、利用者は業者に任せる分、手数料を支払うことになります。
ちなみに、PoSのブロックチェーンの時価総額は、2020年8月24日時点で409.7億ドル程度になりますが、今後イーサリアムがPoS移行をした際に時価総額がさらに大きく膨らむと見込まれています。そのため、ステーキングに関する市場には大きなビジネスチャンスがあると見られています。
Moonstakeの概要
Moonstakeは、ステーキングプール企業の1つになります。日本国内において業界初期から活動しているブロックチェーンアドバイザリー企業CTIAを立ち上げた、手塚満氏らによって設立運営されています。勝手にステーキングしたり利益のみを考えるのではなく、良いプロジェクトと提携することにより、ステーキング産業を盛り上げていこうという考えのもとに活動しています。
また、アドバイザーにはシンガポールの元規制当局を経験するNizam Ismail氏を招き入れ、著名なブロックチェーンプロジェクトからは、Harmonyのマーケティング統括のGarlam Won氏や、CentralityのCEO Aaron McDonald氏、Liskらが参加しています。
さらに、Moonstakeは、シンガポールの上場企業であるDLF Holdings Limited(SGX: KUX)と戦略的ビジネスアライアンスを締結し、マーケティングやソフトウェア販売の協力を通して、アジア最大規模のステーキングプールを目指していきます。
Moonstakeでは、Tezos(XTZ)やCosmos(ATOM)、Cardano(ADA)のようなステーキングプールの定番ブロックチェーンから、日本人に人気が高いQURAS(XQC)にも対応しています。
また、将来的にCentrality(CENNZ)や、Plasm Network(PLM)対応する予定になっています。特に、ADAのステーキングでは、2020年8月24日時点で既に世界で11-12位のステーク量を誇っています(ADApools.orgより確認可能)。
なお、当サイトでは過去にMoonstakeのCOO Alex Hui氏にインタビューを行っています。併せてご覧ください。

Moonstakeの特徴
資産の持ち逃げリスクがない
暗号資産の保管リスクは、サービスを使う上で最も気にするべきものの1つになります。
現在、多くの海外取引所でもステーキングプールのサービスが提供されています。しかし、多くは利用者が取引所に資産を預けるカストディアル型になります。資産の管理主体が取引所になるため、ハッキングによる資産の流出リスクは常に存在します。
一方で、Moonstakeは利用者自身が資産を管理するノン・カストディアル型のステーキングプールを採用しています。利用者が秘密鍵を管理することになるため、Moonstakeが利用者の資産を不正に取得するということはなくなります。現実的に、他者に資産を預けずに暗号資産の利息を得る手段は多くありません。そのため、極めて安全な方法で利息を得る手段がMoonstakeで実現することができます。
また、万が一Moonstakeのサービスが停止してしまったとしても、利用者はMoonstakeでステーキングした資産を失うことがありません。Moonstakeのウォレット作成時に取得したリカバリーフレーズを他のウォレットに適用することにより、自分の資産へのアクセスを回復することができます。リカバリーフレーズの規格は原則、BIP-44になり、ADAのみBIP-43に準拠しています。
ウォレット感覚で使える
Moonstakeでは、非常にユーザーインターフェイス(UI)が優れたステーキングプールを提供しており、ステーキングプールだからといって新たな操作を覚える必要はほとんどありません。
利用者にとっては、Moonstakeのサービスは単なる暗号資産ウォレットであり、ウォレットにステーキング機能がプラスされているように見えるからです。そのため、利用者は暗号資産ウォレットの使い方さえ知っていれば良く、またガイドが整備されているため、ステーキングをするにあたり特に操作に迷うことはありません。
また、ウォレットのアクセスを失ったとしてもMoonstakeのWebアカウントを作っておけば、わざわざリカバリーフレーズを使わなくても、ウォレットへのアクセスを復旧させることができるようになっています。Webアカウントがあると、PCとモバイル環境で横断的にサービスが利用できるようになります。
日本人好みのコインを扱っている
2021年1月20日時点で、Moonstakeでは以下のブロックチェーンのステーキングに対応しています。
- Cardano(ADA)
- Tezos(XTZ)
- Cosmos(ATOM)
- Ontology(ONT)
- Irisnet(IRIS)
- Harmony(ONE)
- Qtum(QTUM)
- Polkadot (DOT)
- Quras(XQC)
また、発表されている範囲で、以下のステーキングに対応する予定になっています。
- Lisk(LSK)
- Centrality(CENNZ)
特にCentralityとQurasは、日本人に人気が高いブロックチェーンプロジェクトとして知られています。Cenralityは現状で対応している取引所が少ないため、最終的なステーキングの選択肢がMoonstakeに限られる可能性があります。
英語に苦手意識がある人でも安心して使える
多くの場合、ブロックチェーンサービスは海外から提供されているものが多いため、日本語表示に対応していたとしても日本語訳が中途半端であったり、日本語による十分なサポートを受けることができないことが良くあります。
Moonstakeでは、日本語ネイティブのスタッフを配置しているため、日本語のサポートを直接受けることができます。また、サービス内の文章そのものがきちんとした日本語であるため、英語に苦手意識を持つ方でも安心して利用することができます。
また、この手のサービスのKYCはパスポートのみの場合が多いですが、Moonstakeでは運転免許証にも対応しています。KYCをすることで、バリデーター報酬の割引を受けられたり、KYCをして会員費を払うことでさらなる割引を受け、アフィリエイトURLの発行ができるようになります。
実際に使ってみる – ADAステーキングの例
実際にADAををステーキングした例を紹介します。やり方はかなり簡単で、ADAをウォレットに入れて、ステーキング申請をするだけです。
ステーキングをする方は、最低限KYCレベル1(シルバー会員)までのKYCを済ませておくことを強く推奨します。シルバー会員になることで、バリデーター報酬が1%割引になります。
2020年9月3日時点で、ADAのステーキングはWebウォレット上からのみ実行できます。例の画面は、PCからWebウォレットにアクセスした場合になります。
まず、残高があるADAのウォレット(Shelley)をクリックします。
ステーキングの説明を読み、「ステーキング」をクリックします。
ステーキングプールを選択します。推定利率や手数料に応じて、Moonstakeでは幾つかのプールが用意されています。
最後に確認画面で送金パスワードを入力し「ステーキング」をクリックします。この後、2段階認証パスワードの入力が求められます(設定している場合)。
2 ADAのデポジットとGasが引かれた後、残りの残高でステーキングが始まります。
ステーキング中でもADAを自由に送受信することはでき、途中でバリデーター(ステーキングプール)を変更することができます。
今回は、ADAのステーキングの例になり、ブロックチェーンごとにステーキングの手順は異なります。しかし、説明が親切になっているため、分からなくて困るということはまずない作りになっています。