インタビュー

【インタビュー】グローバルウェイ/TimeCoinプロトコル 代表 各務正人 氏 – 第2部:TimeCoinを使った最初のサービスの戦略

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今まで暗号資産を使ったプロジェクトはベンチャー企業が主でしたが、規制の整備進行に伴い、徐々に上場企業が参入するケースが増えてきました。今回は、東証マザーズ上場企業の株式会社グローバルウェイの取締役会長 各務正人(かかむ まさと)氏らが取り組む、TimeCoinプロトコルについて伺いました。

本記事は4部構成になっており、第2部では、TimeCoinのシステム面と優位性、そしてTimeCoinプロトコルに載る最初のアプリケーションeSportStars(略して、いぽすた)、そしてそのプロジェクトについてを伺っていきます。

第1部がまだの方は、以下のリンクを先にご覧ください。

【インタビュー】グローバルウェイ/TimeCoinプロトコル 代表 各務正人 氏 - 第1部:上場企業が暗号資産プロジェクトを手掛ける背景とは
今まで暗号資産を使ったプロジェクトはベンチャー企業が主でしたが、規制の整備進行に伴い、徐々に上場企業が参入するケースが増えてきました。今回は、東証マザーズ上場企業の株式会社グローバルウェイの取締役会長 各務正人(かかむ まさと)氏らが取り組...

第2部:TimeCoinを使った最初のサービス戦略

TimeCoinをイーサリアム上に構築しても大丈夫なのか?

加藤:TimeCoinプロトコルはイーサリアム上に構築されています。現状だと、ETHやGAS価格が非常に高騰していますが、利用者側にとってはTimeCoinの利用コストが高くて使いにくくはならないのでしょうか?

各務:そこはチェーン上で全部を処理するか否かというアプローチがあり、クロスチェーンやオフチェーンの技術を使う選択肢があります。僕は、そういうのを使えば良いのではないかと思っています。

例えばレイヤー2のような仲裁する仕組みを提供しているプロジェクトがあります。そもそも、それらは低価格で自動運営できる仕組みを実現しようと思って作られたものなので、それを利用するのが望ましいです。

加藤:そうすると、イーサリアムのGASコスト問題については楽観的に考えているわけですね。

各務:そうですね。どのチェーンが優れているからこれでいこうという議論はあるわけですが、やはりある程度ユーザー数がいて技術がそこそこ使われていて、課題はあるけれども、敢えてイーサリアムを使うのは悪くない選択だと思っています。もちろん、PolkadotやAvalancheのような新しいものは気になるし、面白そうですけどね。

結局その手の問題は、オフチェーン技術を使うか、クロスチェーンでやるか、どうヘッジングするかということを通して、遅くて高いを解決していくわけですね。ただ、それでも最近は特に遅いなと感じます。

加藤:確かに遅いですよね。私は、処理完了の遅さに随分とイライラさせられた記憶があります。

各務:でも、これらの問題は、オフチェーンの技術やクロスチェーンが発展していけば、解決されると思っています。皆コンセンサスをどうするかだとか、ブロックチェーンが自律的に回るという良いところを守りながらやろうとしているわけです。

なので、僕は古いからダメだとか、最近高騰しているからダメだとは思っていなくて、むしろ盛り上がっているからいいじゃないかと。たくさん取引されているからこそ、技術が進むと思っています。新しいやつがいくら優れていたとしても、それにアダプテーションがないと廃れると思います。

TimeCoinと競合との違い

加藤:TimeCoinのようなシェアリングエコノミーのブロックチェーンプロジェクトは、複数存在しています。TimeCoinが他のプロジェクトと異なっている点、優位性とは何でしょうか?

各務:ブロックチェーンのシェアリングエコノミーは、ほぼOriginしかうまくいっていないですね。なので、Originが競合に近い立ち位置になります。

ただ、彼らは何でもかんでも載せれば良いという発想でやっています。基盤を作ってしまって、マーケット面では何でも載せるという方針をとっているので、僕はそのやり方はうまくいかないと思っています。きちんとセグメントを切って、特色あるアプリを出せるようにするべきです。

現実的に、既存のユーザーと親和性がない層を連れてきても活性化しないので、特定のユーザー層を持ってきて「うちはこのタイプのユーザー層がいますよ、だからやりませんか?」というのを啓蒙しないと取引が成立しないはずです。売りたい人はいると思いますが、結局お客さん呼べないのと同じことに陥ると思っています。

なので、Originの問題は「課題は解決できたか?」ということだと思っています。基盤の技術はすごいと思いますが、マーケット視点でみたビジネス課題が解決できていないのではないか、アプローチができていないのではないかと感じずにはいられません。

加藤:なかなか厳しいことを言いますね・・・

各務:僕らは実ビジネスをやってきて、シェアリングエコノミーの事業をやっているので、実情がどのようなものかはわかっているつもりです。

僕らだけではく、他のプレイヤーや新規で参入する人たちも絶対同じように直面する課題というのが先程話したことです(第1部:シェアリングエコノミーが普及しない理由参照)。それを解決しない限り、そもそもブロックチェーンとか関係なしに、良いことをしているのに上手くいかないという現実があるのだから、そこを解決してあげないと意味がないですね。

だから、eSportStarsが流行ったとしたら、まずはeSportStarsに相乗効果があるようなプレイヤーを呼びます。それぞれのサービスに相乗効果があるプレイヤーを呼ばないと広がっていかないと思います。

各務:なので「こういうユーザー層を分けてあげるから、一緒にやりませんか?こういう仕組みを一緒に作ったら、後の人たちも自動化でどんどん増えるわけだし、あなたの収益があがる見込みがありあす。そこに賛同しませんか?」となったら、ちゃんとプレイヤーが入ってくるはずです。

加藤:確かに最近は何でもある時代ですから、特化していないのはユーザーにとって分かりづらいだけだと、私も思います。

各務:そうなんです。ユーザーは自分の興味関心があるところに余分な情報があると嫌なものです。それって、サービスプロバイダーからみたら基礎中の基礎だと思います。色々なものをまとめて提供するのは、場が成立しないと思います。

Originの場合は、ユーザーをシェアするということには焦点が当たっておらず、技術者目線だと思います。現実的に集客に一番お金がかかるのに、そこにメスが入っていないですね。なので、彼らは課題解決として中途半端だと思います。

eSportStarsの紹介

加藤:Time Coin Protocol を使った最初のサービスは、eスポーツのeSportStars(いぽすた)になりますが、これはどのようなサービスなのでしょうか?これから、eSportStarsをどのようにして盛り上げていきますか?

各務:eSportStarsは、名前の通りeスポーツのスターを作ることを目指すサービスで、ユーザーコミュニティが主体になります。既存事業のタイムチケットとすごく通じるところがあって、個人がゲームを職業としてやっていきたいという夢を叶えることができるかもしれません。

ゲームでお金が稼げるのかと疑問に思う人も多いでしょうけれども、僕は素晴らしいと思います。参加者の一部はスターを目指すわけですが、プロのプレイヤーだけではなく、ファンも交流できることが重要になってきます。プロだけの場ではなく、ファンもプロも一緒に盛り上げていける場にするということです。

構図としては、大きい大会があります。そこには、もちろんゲーム会社のプロモーションが入っています。大会は既存のタイトルを使ってやるので、ゲーム会社はそれをスポンサーすることによって、認知度が上がりゲームが売れるようになることが見込まれます。

なので、僕らはファンと選手が交流できて、モノやサービスを売買できる場を提供していきます。また、ユーザーが参加してゲームをプレイして、対戦できる場も提供します。

eSportStarsのサービスイメージ

eSportStarsのサービスイメージ

加藤:最近はYouTubeで対戦を中継することがよくありますが、eSportStarsを使ってイベントを開催・対戦するのと、YouTubeを単独で使うのとでは何が異なってくるのでしょうか?

各務:YouTubeというのは見る場ですよね。僕らには、対戦する場とモノが売買できる場があります。そこでは、人と人とが結びつくことができます。例えば、ゲームを教える、ゲームを習う、一対一で対戦する、グループで対戦するということができます。

動画の投稿部分については、僕らもYouTubeを使っています。ユーザーの母数がちゃんと取れて、YouTubeで実証できたら、YouTubeから抜けてeSportStars独自でやろうと思っています。

なぜ抜けるのかというと、YouTubeがとにかくぼったくっているからです。これは何十パーセントどころの世界ではないです。プレイヤーは1視聴で0.1円しかもらえないですから。でも、企業は1視聴で10円かそれ以上払っているわけです。プレイヤーは10分の1ももらえない。なのでYouTubeは鬼のように儲かっているわけです。

そういうのがまかり通っている中で、もっとプレイヤーに還元できるのであれば、YouTubeじゃなくてeSportStarsを使えば良いということになります。実況者や投稿者をもっと儲かる仕組みにします。

eSportStarsでは、実況を中心にやっていきます。プロだったら、ゲームを練習しながら解説したり、観ているファンに対してこういう練習をしましょうとアドバイスしたりすることができます。もちろん、対戦もあります。eSportStarsはだいたいこの2パターンです。そこが主軸なので、YouTubeからeSportStarsに変えていくというのはできると思っています。

ただ、最初はスポンサーがつかないと、皆を呼んでも来るわけがありません。ですが、僕らはお金払って視聴者数が多い人をYouTubeから剥がして持ってくることはしません。それは、多分うまく行かないやり方です。なので、ちゃんと母数をYouTubeで作って、僕らが潤沢にスポンサーをeSportStarsで取れるようになって、こっちに行ったほうが断然良いという状況を作ります。スポンサーがお金を払ってくれてYouTubeよりもっと還元できるので、こっち側でやろう思ってくれるようにしていこうと考えています。人を呼ぶにも順番があるということです。

加藤:まずは、eSportStartsにスポンサーを呼び込めるところを目指すわけですね。

各務:そうですね。まずは契約をたくさんしていきます。eSportStarsでチャンネルを開いて、トーナメントで実況する人を増やしていきます。

eSportStarsは、トーナメントや対戦がどんどんアップロードされていく場なので、対戦相手を見つけられるわけです。そこはクローズドなところでやらずに、どんどん実況してもらいます。実況したい人はいっぱいいるわけですよ。

なので、YouTube上で僕らのサブチャンネル上で自由に実況してもらって、そこでどんどん人をつなげていって、全体の視聴者数を伸ばすということをやっていきます。

加藤:実況するゲームに制限はあるのでしょうか?

各務:何でも良いです。最終的に世界の全部のゲームに対応させようと思っています。既にそのための準備をしています。できるだけ早くリリースするために、息を巻いてやっていますよ。

加藤:eSportStarsのWebページにトーナメントに参加できるゲーム一覧がありますが、これはごく一部なのですね。

eSportStarsの初期対応タイトル(2020年11月8日時点)

eSportStarsの初期対応タイトル(2020年11月8日時点)

各務:今は僕らが主催しているゲームしかアップロードできないですが、ユーザーが自由にトーナメントを開催できるようになると、その対象ゲームが100以上、世界中のものになります。eSportStarsのサービスは、あと15言語対応させます。これは、さらに増やしていきます。また、世界中のどこにいてもトーナメントを開催できるようにします。

加藤:それだとだいぶユーザーを巻き込めそうですね。

各務:そうですね。どうしてみんなトーナメントをやるのかということなのですが、チームや選手はファンが欲しいんですよ。ファンが居て視聴者が伸びないと、スポンサーがつかないわけです。今は、YouTubeにすごい数の登録者いるということを売りにして、企業にスポンサーになってもらうことをやっているわけです。そして、スポンサーのロゴを付けたり、YouTubeでたまにスポンサーを紹介する感じでやっています。

僕たちのサービスでは、そのあたりを変えていきます。トーナメントをやるとなったらすぐにユーザーが集まるようになります。僕らは母数を持っていますから。自分ひとりでSNSを使って告知しても集客には限界があります。これはYouTubeでやっても同じです。僕らのところでは、ガッとユーザーが集まって、すぐに有名になれるというのを目指しています。

加藤:子供の頃にやった「鬼ごっこする人、この指止まれ」みたいなことを大規模でできる場を作るわけですね。

各務:そうです。トーナメント開催に手をあげた瞬間「多すぎて、もういいから!」というくらい集まるのを目指しています。

加藤:このようなサービスはあるようでないですね。

各務:スポンサーから見てみると、常に特定の層が集まって、観ているというのは大切になってきます。その層に対して訴求することが、僕らのところでできるようになります。

なので、僕らは選手やチームにもスポンサーを付けるし、理想的にはYouTubeで実況するのではなくて、うちのところでやるようにしたら利益還元がさらにできるようにします。

加藤:ゲーム会社から見ると、自分たちが支援したいプレイヤーが探しやすくなり、支援もしやすくなると。トータルで盛り上げていくという感じなのですね。

各務:すごく面白いのが、僕らはゲーム会社ではないわけですよ。なので、許諾を得ることが必要になってきます。そして何が一番ダメなのかと言うと、YouTubeで実況すること自体がダメなんですよ。

加藤: YouTubeがゲームの宣伝を兼ねるので、実況を禁止するとゲーム会社にとってマイナスな気がするのですが、なんとも不思議なものです。

各務:そうですよね。ですが、世界の潮流がどうなっているのかというと、ほとんどのゲーム会社が盛り上げてくれるんだったら良いじゃんということで、黙認しています。むしろやって欲しいというのがあるんですよ。

自社タイトルのゲームで大会をやることに対して、消極的な会社、そもそもやるなという会社と積極的な会社があります。それ自体は別に著作権侵害ではないのですが、保守的なゲーム会社だと「勝手に何をやっているの?」という話になってきます。

現実的には、あるゲームタイトルでチームを組んでやろうとしているところが、ゲーム会社に喧嘩売れないないわけですよ(笑)例えば、スマッシュブラザーズをやろうとしていたら、任天堂さんに喧嘩を売れないじゃないですか。ゲーム会社と対立するサービスは成立しづらいので、そういうのはやりたくありません。

でも、僕らは法律違反をしているわけではないですし、ユーザーに場を作ってあげます。ゲーム会社は、最初は僕らのことが気に食わないかもしれないです。YouTubeのことも気に食わなかったかもしれないです。だけど、マーケットが変わったらうちもそろそろ認めないとみんなに嫌われてしまうよね、という流れにしたいと思っています。だから勝手にやるんです!勝手にやる!!

もちろん許諾は取りに行きます。だけど、ゲーム会社がダメといっても勝手にやります。厳密に言うと、ユーザーが勝手にやるのですけれども。

僕らは場を提供しているだけなので、それはユーザーのためにやるということです。それは最終的にはゲーム会社のメリットになると、僕は確信しています。ゲームタイトルの盛り上がりが広がっていきますから。

コントロールしてブランディングしていくという考えはもう保守的だと思います。今の時代は、そのようにやっていくと負けてしまうと思いますけどね。

加藤:私もそう思います。

各務:なので、僕らは許諾を取りに行くんですけれども、返事がなかったり、許諾を取れなかったりしても、勝手にやりますよ(笑)

加藤:それ、記事に書いてしまっても差し支えありませんか?

各務:もちろん、書いていいですよ。どうせやりますから。ですが、問い合わせがきたら協議はしますが、著作権侵害ではないから止めないです。

だって、僕らが既に運営しているキャリコネがそうでした。キャリコネ自体は、企業から頼まれてやっているわけではないです。個人が投稿したものを、ガイドラインに基づいて、変なコメントでなければ載せています。

それを気に食わない企業から、今まで数多くの内容証明郵便が送られてきました。でもそういう企業が結局どうなったかというと、電通や和民の事件を見るように、悪いことをしているとすぐにSNSで広まってしまいます。

加藤:確かに、会社内部の不都合なことがSNSに書かれているのを見かけるのは珍しくないですね。

各務:事実無言だとなれば、僕らは対応してきましたし、個人の誹謗中傷はそもそも載せていません。eSportStarsも、ガイドラインをきちんと定義をすれば良いと思っています。

大切なのは、誰のためにやるのかということです。ユーザーのためにやるわけです。だけども、結局ゲーム会社のメリットにもなるわけなので、喧嘩するつもりでやっているわけではありません。結局キャリコネは企業改善の後押しになりました。それと同じことがeSportStarsでも起こると思っています。

第3部の予告

第2部では、TimeCoinの優位性やeSportStarsのアイデアを中心に伺っていきました。

eSportStarsは、取材時点でプレ運用を行い、ゲーム会社やユーザーへのアプローチを開始しています。

そこで、第3部では実際に彼らの反応がどのようなものであったかを訊いていきます。そして、BitForexで実施するIEOについても焦点を当てていきます。

【インタビュー】グローバルウェイ/TimeCoinプロトコル 代表 各務正人 氏 - 第3部:eSportStarsの界隈の反応とIEO
今まで暗号資産を使ったプロジェクトはベンチャー企業が主でしたが、規制の整備進行に伴い、徐々に上場企業が参入するケースが増えてきました。今回は、東証マザーズ上場企業の株式会社グローバルウェイの取締役会長 各務正人(かかむ まさと)氏らが取り組...

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この記事を書いた人

TOKEN ECONOMISTのDirector。「ブロックチェーンによる少し先の未来を魅せる」をポリシーに、注目しているプロジェクトの紹介やインタビューを行っています。

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