インタビュー

【インタビュー】グローバルウェイ/TimeCoinプロトコル 代表 各務正人 氏 – 第4部:上場企業が暗号資産の発行で苦労したこと

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今まで暗号資産を使ったプロジェクトはベンチャー企業が主でしたが、規制の整備進行に伴い、徐々に上場企業が参入するケースが増えてきました。今回は、東証マザーズ上場企業の株式会社グローバルウェイの取締役会長 各務正人(かかむ まさと)氏らが取り組む、TimeCoinプロトコルについて伺いました。

本記事は4部構成になっており、第4部では、上場企業が暗号資産を発行する上で苦労したことを中心について訊いていきます。

第3部がまだの方は、以下のリンクを先にご覧ください。

【インタビュー】グローバルウェイ/TimeCoinプロトコル 代表 各務正人 氏 - 第3部:eSportStarsの界隈の反応とIEO
今まで暗号資産を使ったプロジェクトはベンチャー企業が主でしたが、規制の整備進行に伴い、徐々に上場企業が参入するケースが増えてきました。今回は、東証マザーズ上場企業の株式会社グローバルウェイの取締役会長 各務正人(かかむ まさと)氏らが取り組...

第4部:上場企業が暗号資産の発行で苦労したこと

上場企業が暗号資産を発行するということ

加藤:グローバルウェイは日本の上場企業ですが、上場企業としては数少ない暗号資産の発行企業になります。厳密には、スイスにあるグループ会社からの発行にはなりますが。

現在日本では、上場企業による暗号資産の発行は、ほとんど行われていません。実際に自分たちでやってみて、どのようなところにハードルを感じましたか?

各務:ハードルの塊でしかなかったですね。まず、社内でCFOとかなり揉めました。「こんなことを上場企業がやるなんてありえない!僕は責任がとれないから、プロジェクトをやめてくれ」と言われました。結局、その後もずっと意見が合わなくて、CFOが会社を辞めてしまいました。

加藤:会社を辞めることに発展するまで揉めたんですか!?

各務:そうですね。実は、CFOは外部に行って、暗号資産に関して理解をして戻ってきて、今はタイムチケットのCFOをしています。彼は楽天に行ったのですが、楽天が暗号資産をやろうとしていて、そこで理解をしてきたのかもしれません(笑)

ハードルとしては、もちろん法律面があります。僕らは金融庁に相談しに行きました。弁護士と相談して、金融庁のモニタリング室に相談に行って、何度も会ってやり方を模索しました。

そして、一番ハードルが高かったのは会計事務所です。そこがものすごいハードルで、うちは大手会計事務所でした。どんなに頑張っても、会計事務所だけが通らなかったのです。なので、会計事務所ごと変えました。

加藤:プロジェクトのためにそこまでしたんですか!?

各務:当時、引き受けてくれる会計事務所がなくて、自分で何社も当たってプロジェクトの説明をして、理解をしてくれるところを絞りました。結局、その中の1社を選びました。

だから、「グローバルウェイは会計事務所を変えたけど大丈夫か?」と思われることが多いのですが、会社の経営がやばいわけではなく、これをやるために変えたというのが本当の理由です。

実際のところ、暗号資産の簿記のロジックというのはその頃からあって、どのように簿記をするのかというのは皆わかっているわけです。でも、公認会計士協会というのがあって、そこでまだ暗号資産の取り扱い方針が決まっていませんでした。なので、みんな自分が最初に手を上げるのを嫌がるのです。

僕は、大手の会計事務所と喧々諤々(けんけんがくがく)とやり取りしていたのですが、最終的に「どうなれば認めてくれるんだ!?」と問いただしたら、仮に協会が認めたとしても、僕らが認めなければダメだと。そもそも協会が認めてないし、僕らも認めてないので・・・という問答になり、要はリスクを取りたくないという話になってしまったわけです。

暗号資産の評価方法なんて、資産にするか利益にするかで決まってるんですよ。別に難しいことではないので、自分が先駆者になれば良いだけだと僕は思ったのですが、それは認められませんでした。なので決裂しました。

加藤:それは厳しいですね。

各務:次にスイスのハードルです。前提として、金融庁からは、日本で暗号資産が発行できないと言われました。「各務さん、法整備が十分じゃないので無理だよ」と。

仕方がないから暗号資産の発行をスイスでやることにしました。でも、スイスでも現地の金融庁の許可を得なければいけなくて、スイスの金融庁に手続きをしてお墨付きをもらいました。それに9ヶ月かかりました。

そして、スイスで銀行を探すのにとても苦労しました。今度は、スイスの銀行が受けてくれなくて、何回も面接してダメと言われて、やっと引き受けてくれる銀行を見つけました。

さらに、取引所を探すのにすごい苦労しました。いくつか候補があったのですが、どこも価格をふっかけてきますね。

加藤:私も業界にいる人間なので、相場感を知っていますが、彼らはとにかくふっかけてきますね。

各務:まったくです。結局その中で一番バランスが良かったBitForexが良いなとなり、暗号資産の上場先をBitForexにした経緯があります。

加藤:これだけ聞いても、大変なところがたくさんあったのがよく伝わってきます。

各務:あとは、プロジェクトが価値を生むところ、なぜブロックチェーンなのかを突き詰めるところに苦労しました。

そして、僕が一番苦労した、今でも苦労している点は、お金を集めた後にどのように成功させていくかということです。ここが一番大事なので、集まったらそれで良いということは考えていないです。うまくいかせるにはどうしたら良いかということが、とても大切ですね。

理想論でこういう技術を使ってやっていくぞというのはあるのですが、現実的に回るようにしていかなければならないので、何をいつ実装してどのようにマーケットインするかというのは非常に重視しています。そうしないと、トークンが価値を生まないですから。

加藤:こうしてみると、ハードルしかないですね。

各務:本当にハードルしかなかったです。あとアドバイザー、マーケティング、ホワイトペーパーのレビューやコミュニティマネジメントなどがあります。外部と関わると、だいたい騙されたりするようです。うちは今のところは騙されてはいないですが。

加藤:ブロックチェーン業界は、未だに詐欺的な人や会社が多いですね。私自身の経験からもよく分かります。

各務:面白いのが、海外のインフルエンサーだと思われる人にLinkedInから連絡をとって実際に話してみたら、プロフィール写真の人からだと絶対に出てこないような発音が聞こえてくるんですよ。プロフィールは白人なのに、声を聞くとアフリカ系で、明らかに本人じゃないんですよ。そういうのが結構ありましたね。

加藤:こういうの、珍しい話ではないですね。話を戻しますが、これらのハードルを片付けるのはどれくらいかかりましたか?

各務:コインチェックの事件があった6ヶ月前からプロジェクトを始めているので、3年ほどになります。僕が1人でホワイトペーパーの9割以上を書きました。調査のために100個はホワイトペーパーを読みました。当時の週末と夜はほとんどこれに費やしました。それが一番辛かったですね。

今のプロジェクトの構想を形に落とすまでが孤独でした。誰もサポートしてくれませんでしたから。

加藤:当時は、ブロックチェーンに対する人々の理解が今よりないでしょうから、余計に辛かったのだとお察しします。

各務:個人的にIPOより重たかったです。IPOの時も大変でしたが、みんなが助けてくれました。今回の最初は、社長の孤独の戦いでしたからね。

あと誰もヘルプできないという現実もありました。言語のハードルや知識のハードルです。なので、僕が一番理解して率先してホワイトペーパーを書くしかなかったです。本当に難産でした。

うまく行かなかったら相当凹みますね。うまくいくと思いますが!

加藤:その心の叫びはきちんと記事にします。もう1つだけお訊かせください。これから近い将来、他の上場企業も暗号資産の発行をしていくと思います。そうなったときに、先に発行を経験した先駆者として、彼らにアドバイスできることはありますか?

各務:1個しかありません。きちんとうまくいくことをやってくださいということです。ブロックチェーンをどこに利用するかはあまり問題ではないと思っています。きちんとプロジェクトの価値を作ってくださいということです。

これは僕自身にも言い聞かせていることです。お金集めのためにプロジェクトをやってはいけないよということですね。

加藤:全体的に心の叫びが聞けるトピックでしたね。

各務:本当に辛かったです。僕の座右の銘は「孤高創造者たれ」なのです。これは自分の言葉なのですが、初期のグローバルウェイの経営理念でした。孤独感が半端ないねというので、変わってしまいました(笑)これを常に自分に言い聞かせています。

「孤高創造者たれ」は、自分だけでやるというわけではなくて、高みを目指した人は常に孤高なんだということなのです。もしこれを感じなかったら、俺はチャレンジが足りてねーなと思うようにしています。「各務さんはドMなんですね」とよく言われますけどね(笑)

雑談:他にTimeCoinで実現してみたいこと

加藤:ここまで色々話してきましたが、TimeCoinで他にやろうとしていることはありますか?

各務:本当は、ステーキングをつけて金利みたいなことをやりたかったのですが、スイスがダメと言うんですね。なので、IEOしたあとは子会社の拠点をスイスからどこかに移転しようと思います。そうすると、途中でステーキングをつけると思います。

加藤:サービス機能のために、子会社を引っ越しさせようと考えるのは、随分と柔軟な発想ですね!

各務:スイスは、暗号資産に関しては進んでいますが、ステーキングをするには証券のライセンスが必要になってしまいます。僕が最初に考えたトークン設計では、本当はDeFiみたいなものをつけたかったのですが、それだとスイスの証券法に引っかかってしまいます。スイスでライセンスを取るのはめちゃくちゃハードルが高く、現実的ではありませんでした。

僕は、ステーキングは単純で良いと思っていて、TimeCoinを保有し続けるためのインセンティブをつけたいと考えています。ただ、それはスイスから引っ越してからの話です。

加藤:ユーザーにとったら、余分に貰えて悪い気はしないですからね。

各務:僕らは法令を遵守してやってきたので、逆にそれが足かせになっていて、設計を見直さなければいけなくなりました。もともとは、TimeCoinを使って、各務コインみたいなパーソナルコインを発行できるものを作りたいと思っていましたが、それもスイスの法律でダメになりました。だから、ホワイトペーパーを50回くらい書き直しました。

加藤:ものすごい苦労されましたね。

各務:それでも、やっと形になってきたし、社員の支持も得られるようになりましたね。

TimeCoinの今後

加藤:TimeCoinは、今後どのように展開していきますか?プロダクト開発やサービス展開について教えていただけますか?

各務:だいぶ話してしまいましたが、まずeSportStarsを中心にコミュニティ開発をしていきます。それができたら、ある程度ユーザー層が増えてきます。世界レベルでユーザーを確保できたら、ゲームやeスポーツ業界と親和性が高いエンタメ系のサービスを最初に呼び込もうと考えています。

その後、ブロックチェーンベースのタイムチケットを世界展開していきます。こちらは、特定の国をある程度選んで、その国でコミュニティを獲得することを考えています。日本のタイムチケットをブロックチェーンベースに変える予定はありませんが、日本で作っているサービスを良くした段階で、DAppsとしてのタイムチケットを出していきます。

まずは、eSportStarsの拡大と、サードパーティを入れるところから始めていきます。

今後の意気込み

加藤:最後に読者の皆様へメッセージをお願いします。

各務:僕ら、TimeCoinをビジネスで応用されたブロックチェーンの代表事例になるようにしていきたいと考えています。個人的にSteemがすごく面白いと思っているのですが、それでも苦戦している感じはします。

僕たちは、ここのブロックチェーンプロジェクトはうまくいっていると言われる立場になりたいですね。日本からではなく、世界からです。そこが大事だと思います。

TimCoinプロトコルの情報

この記事を書いた人

TOKEN ECONOMISTオーナー。「ブロックチェーンによる少し先の未来を魅せる」をポリシーに、注目しているプロジェクトの紹介やインタビューを行っています。

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TOKEN ECONOMIST(トークンエコノミスト)
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