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参加者に有利な環境を提供するDEX「DODO」の解説

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Uniswapによって発明されたAMMは、ドルベースで等価な取引ペアを流動性に追加することで、柔軟な価格調整を実現し、これまでの分散型取引所において実現不可能だった大きな流動性を作ることに成功しました。しかし、AMMにはトレーダーと流動性提供者に不利な点があり、DODOではPMMと呼ばれる仕組みを導入して彼らに有利な環境を提供しています。

DODOの概要

DODOのトレード画面

DODOは、2020年9月に設立された分散型取引所(DEX)を中心とするサービスを展開するDeFiプロジェクトです。DODOのDEXはマルチチェーンに対応し、PMMと呼ばれる流動性プールのリバランスの仕組みを利用することにより、AMMと比べてトレーダーと流動性提供者に価格面や資本効率面において有利な条件を提示します。

PMMは、Chainlinkの価格オラクルと連携することにより、AMMと比べて大きなロットを取引した際の価格変動が小さくなるように設計されています。これは、トレーダーにとって、資本効率が上がるということを意味します。また、流動性提供者にとっては、AMMのようなトークンペアでなく単一トークンで流動性提供することができきます。これは、インパーマネントロスを抑えられるメリットにも貢献します。

2021年9月3日時点、DODOはPMM DEXの他、プロジェクトが資金調達しやすくするIDOやクラウドプーリングを提供しています。また、NFTをステーキングしてERC20トークンを発行し、それらを取引することができるNFT流動化サービスを提供する「DODO NFT」も展開しています。

PMMの仕組み

PMM (Proactive Market Maker) は、Uniswapなどに見られるAMM (Automated Market Maker) と比べてトレーダーのスリッページを抑え、流動性提供者のインパーマネントロスを抑えることができる、流動性プールのリバランスの仕組みです。ここではPMMの概要のみに触れるため、詳しく知りたい方は「PMMコアコンセプト」をご覧ください。

PMMの優位性を理解するには、まずAMMの仕組みを理解する必要があります。AMMでは、流動性提供者が流動性プールにETH-USDTのようなトークンペアを提供します。そして、トレーダーがプールと相対して売買を行うことで、プール内にあるトークンの数量バランスが変化し、それに伴いトークン価格も変化します。仕組み上、AMMでは流動性プールへのトークンペア提供が必須であり、価格更新には売買の発生が必須になります。

一方で、PMMはChainlinkの価格オラクルを利用するため、売買が発生しなくてもトークン価格の更新が行われます。価格の更新がトークンペアに依存しないことから、DODOではトークンペアのうちの片方だけ(例えばETH-USDTペアの場合、ETHだけ)を流動性提供することができます。これにより、トークンをペアで流動性提供するよりもインパーマントロスの影響範囲を片方だけに限定することができます。また、トークン価格の変化で必ずしも流動性プールのバランスが変わるわけではない点も、インパーマネントロスの抑制につながります。

また、PMMではトークンの現在価格として、価格オラクルの値をそのまま採用するわけではなく、流動性プール内にあるトークン数量のバランス変化に応じて重み付けされた値が採用されます。より詳しく書くと、トークン価格(ETH-USDTペアの場合、ETHの価格)の上昇局面では、トレーダーにオラクル価格より少しだけ高い価格が提示されます。反対に、下落局面ではオラクル価格より少しだけ低い価格が提示されます。PMMでは、オラクル価格と提示価格の乖離が発生することで、トレーダーの裁定取引の機会を与えます。裁定取引を奨励することにより、PMMはAMMと比べて急激な価格変化を抑えるようになっています。これは、トレーダーにとっては大きなロットを売買する際のスリッページを減らすことに繋がります。

PMMの価格曲線

上記を総合し、AMMとPMMの違いは以下の通りになります:

AMM
(Automated Market Maker)
PMM
(Proactive Market Maker)
採用DEX Uniswap, PancakeSwap, MDEX など DODO
流動性提供の対象 トークンペア トークンペア、トークン単一
トークン価格の決定方法 流動性プールのトークン数量バランスの変化 流動性プールのトークン数量バランスの変化+価格オラクル
価格の更新タイミング 取引発生時 オラクル価格更新時
スリッページ 大きい 小さい
インパーマネントロス 大きい 小さい

用語解説

価格オラクル:オラクルとは、ブロックチェーン外の情報をブロックチェーンの世界に取り込む仕組み、もしくは情報そのものを指します。価格オラクルは、トークンなどの資産価格に関するオラクルになります。

インパーマネントロス:インパーマネントロスとは、そのままトークンを保有したときと比べ、流動性提供したトークンを回収した際に発生する差損のことを指します。AMMでもPMMでも、インパーマネントロスは避けることができず、流動性提供時点からトークン価格が大きく変化するとインパーマネントロスが大きくなっていきます。流動性提供によって得られた手数料がインパーマネントロスを上回る場合、流動性提供者の利益になります。

DODOの特徴

マルチチェーンに対応

DODOは、EVM互換のチェーン及びLayer2に対応しています。2021年9月17日時点で、DODOは以下のプラットフォームで取引することができます:

  • Ethereum
  • Binance Smart Chain (BSC)
  • Huobi Eco Chain (HECO)
  • Polygon
  • Arbitrum*1
  • OKChain

*1 Arbitrumは、Optimistic Rollupを採用したEthereumのLayer2スケーリングソリューションです。ノードが中央集権的でセキュリティが低いとされているBSCやHECO, Polygonのようなサイドチェーンと比べ、Ethereumの強固なセキュリティを継承しつつ高速取引を行うことができます。Arbitrumを利用するには、ブリッジを利用して資産をEthereum (Layer1)からArbitrum (Layer 2)に移動させる必要があります。また、GASにはETHを利用します。

インパーマネントロスがAMMより小さい

DODOでは、以下のPMMの特性により、AMMと比べてインパーマネントロスを抑制することができます。

  • 流動性供給するトークンをトークンペアの片方のみに限定できる(例えば、ETH-USDTペアのETHのみを流動性供給)。
  • トレーダーに提示するトークン価格の更新が価格オラクルを通して行われるため、流動性プールにおけるトークンの数量バランスがAMMほど頻繁に変化しない。

ポジションを売買する際のスリッページが小さい

DODOのPMMでは、流動性が大きい板取引の取引所のように、現在価格に取引資金を集中させる仕組みになっています。これは、価格オラクルを利用して他のマーケットとDODO上のトークン価格を”少しずらす”ことによって、裁定取引を活発化させて、結果的にAMMのような価格変動を抑え込むという考えに基づいています。

このような仕組みにより、DODOでは大きなポジションを売買する時のスリッページをAMMより少なくすることができます。

PMMの価格曲線

ステーブルコインの運用APYが高い

DODOのPMMでは、トークンペアの片方のみを流動性提供できることから、実質的にレンディングプラットフォームの貸し手と同様のことができます。特に、ステーブルコイン同士のトークンペアは、インパーマネントロスが極めて低いため、安定した運用が可能になっています。

DODO 流動性の提供画面

主要レンディングプラットフォームの預入APYと、DODOの流動性提供のAPYの違いは以下の通りです(2021年9月3日時点)。

いずれのプラットフォームでも需給でAPYが変化する点、そしてレンディングプラットフォームと異なり、ステーキングした資産を担保にして借りられるわけではない点にご注意ください。

USDTの預入/流動性提供APY:

プラットフォーム 対象チェーン 預入/流動性提供 APY
DODO
(USDT-USDCのうち USDT)
Ethereum 16.56%
DODO
(BUSD-USDTのうち USDT)
BSC 9.46%
Compound Ethereum 6.64%
Aave (v2 Market) Ethereum 3.31%
Aave (Polygon Market) Polygon 3.47%

USDTの預入/流動性提供APY:

プラットフォーム 対象チェーン 預入/流動性提供 APY
DODO
(USDT-USDCのうち USDC)
Ethereum 13.42%
Compound Ethereum 4.32%
Aave (v2 Market) Ethereum 7.85%
Aave (Polygon Market) Polygon 3.20%

BUSDの預入/流動性提供APY:

プラットフォーム 対象チェーン 預入/流動性提供 APY
DODO
(BUSD-USDTのうちのBUSD)
BSC 9.78%
Aave (v2 Market) Ethereum 11.36%

DODOトークンとvDODOトークン

DODOでは、DODOトークンを発行しています。2021年9月3日現在、DODOnomics V2に基づいてトークンの用途が定められています。

DODOトークンの役割:

  • ガバナンスの権利:1 DODO = 1票
  • クラウドプーリング*1とIDOの参加権利
  • 取引手数料の割引

また、DODOはロイヤリティプログラムのメンバーシップvDODOを提供しています。vDODOでは、100 DODOをステーキングするごとに、vDODOトークンを保有することができます。

vDODOトークンの役割:

  • ガバナンスの権利:1 vDODO = 100票
  • クラウドプーリング*1とIDOの参加権利
  • 取引手数料の割引
  • プラットフォームから発生した手数料の一部を受け取ることができる権利
  • ブロックごとに発行されるDODOトークンを受け取ることができる権利*2
  • 招待者が作成したvDODOトークンの10%を追加報酬として受け取ることができる権利(紹介リンクを利用)

*1 クラウドプーリング:クラウドファンディングと流動性プールを組み合わせた造語。コールオークションの仕組みを取り入れた、プロジェクトがトークンの流動性を確保しつつ資金調達できるDODO独自のサービスです。

*2 チェーンのブロックが生成されるたびに6 DODOがリリースされ、vDODOトークン所有者の持ち高に応じて比例配分されます。

DODOに関する情報

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この記事を書いた人

TOKEN ECONOMISTのDirector。「ブロックチェーンによる少し先の未来を魅せる」をポリシーに、注目しているプロジェクトの紹介やインタビューを行っています。

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