Immutable X (IMX) の概要
Immutableは、ゲームやNFTに特化した一連のソリューションを提供するプロジェクトです。そして、Immutable XはそのうちのゲームおよびNFTに特化したイーサリアムのスケーリングソリューションです。Layer2を利用することにより、イーサリアムのセキュリティを継承し、極めて高い改ざん耐性を獲得します。スケーリング技術にはzkRollupを採用し、次世代のゲームやNFTのニーズを満たすための独自設計が加えられています。これにより、イーサリアムの600倍以上高速な取引を行うことができます。
Immutable Xでは、単にゲームやNFTの取引を高速化するだけではなく、これらの扱いを便利にする仕組みが設けられています。ガス不要の仕組みでは、イーサリアムのような高額なガス代が不要になります。その代わり、プラットフォームを維持するために、NFTが取引されると料金の一部を手数料として課すモデルを採用します。また、NFTマーケットプレイスが乱立して取引が成立しにくくなっている問題を解決するために、Immutable Xでは流動性を集約する仕組みを提供し、別々のNFTマーケットプレイス同士の取引が成立しやすくします。
2023年3月21日時点、Immutable Xは独自のマーケットプレイスを展開しています。また、GameStopやTokenTroveをはじめとするマーケットプレイスがImmutabel Xを採用しています。その他詳しくは Marketplaces のページから確認することができます。
Immutable Xの特徴
高セキュリティ環境で高速取引ができる
Immutable Xは、イーサリアムのスケーリングソリューションであるzkRollupを用い、Layer2プラットフォームとして提供されます。サポートされるトークン規格は、ファンジブルトークンがERC20、NFTがERC721になり、9,000 TPS以上の取引速度を確保することができます。
イーサリアムのスケーリングソリューションには、サイドチェーンとLayer2があります。BNB Smart ChainやPolygonのようなサイドチェーンは、イーサリアムよりネットワークが中央集権的であるため、改ざん等の不正に対するセキュリティはイーサリアムより低くなります。一方でLayer2は、既に大規模に分散化しているイーサリアムのセキュリティを継承できるため、不正に対して極めて強い耐性を持っています。Immutable Xは後者を採用するため、多くのNFTに特化したスケーリングソリューションより高セキュリティになります。
ガス不要・手数料モデル採用
Immutableでは、ガスが不要になり、NFTの送受信や発行コストがゼロになります。
しかし、インセンティブがゼロでは、Immutable Xのネットワークを維持することができなくなります。そこで、Immutable Xは、すべてのプライマリアセットの販売、すべてのNFT取引(購入通貨建て)に対して2%の手数料を課します。
ただし、2%という数字はあくまでもImmutable Xのプロトコルを利用するための手数料になり、それを利用するマーケットプレイスが独自の手数料を上乗せすることができます。また、NFT作成者もロイヤリティを上乗せすることができるものの、一度ロイヤリティを設定してしまうと以後はレートを変更することができなくなる注意点があります。
NFT取引の流動性を確保する
Immutable Xでは、他のNFTスケーリングソリューションと異なり、プロトコルの流動性を供給するためのグローバルオーダーブックを提供します。これにより、あるマーケットプレイスで作成された注文を別のマーケットプレイスで処理することができるようになります。結果として、マーケットプレイスは自社プラットフォームの取引をより活発化させることができます。
NFTサービスを速やかに実装できる
現在、NFTアプリケーションを提供するには、開発者は開発期間の大部分をコンポーネントの構築や構成に費やす必要があります。これは、ユーザーのエクスペリエンス向上にかける時間を削ることに繋がるというマイナス面があります。
Immutable Xは、NFT発行から取引、転送まで、あらゆる対話をRESTAPIを使って呼び出すことができます。実装においてスマートコントラクトと直接やり取りする必要がなくなるため、今までであれば数週間かかる複雑な処理を回避し、数時間程度でNFTプロジェクトを構築することができるようになります。
Immutable zEVMとの違い
Immutableは、2023年3月20日にImmutable zEVMを発表しました。ImmutableXとImmutable zkEVMは、イーサリアム上のzkRollupという点で共通していますが、それぞれの特徴が異なっています。
Immutable Xはゲームの特定部分に対して最適化されているものの、スマーコントラクトが利用できないことから、できることは限られています。一方で、Immutable zkEVMはEVM互換のスマートコントラクトに対応しており、高度なトークノミクス機能も利用することができるようになっています。
Immutable Xは、先発プロダクトでありながらも、Immutable zkEVMと比べて有利な点もあります。それはガス代がゼロになる点です。Immutable zkEVMでは、トランザクションごとの少額のガス代(IMX払い)が発生するため、ユーザーのUX悪化に繋がります。
このように、Immutable XとImmutable zkEVMには得意・不得意があり、それぞれが棲み分けされるようになっています。
IMXトークン
Immutable Xでは、IMXトークンを利用します。
IMXトークンの利用用途
IMXトークンの利用用途は、以下の通りになります。
- 手数料
- ステーキング
- ガバナンス
手数料
Immutable Xでは、取引や流動性供給、アプリケーションの構築などでプロトコル手数料を支払う必要があります。そして、手数料のうち20%をIMXにする必要があります。この手数料は直接IMXで支払うか、マーケットプレイスの支払いに使われた購入通貨が自動的にIMXに交換される形で支払われます。
ステーキング
ユーザーが支払った手数料は、ステーキング報酬プールに送信されます。このプールでは、ユーザーがIMXトークンを”アクティブに”ステーキングしている量に比例して、毎月定期的にプールから報酬が配分されます。ユーザーがアクティブにステーキングしているとみなされる条件は、以下の通りになります。
- Layer1側(イーサリアム)またはLayer2側(Immutable X)でIMXを保有している
- 過去30日以内にガバナンス提案の投票に参加し、
- Immutable X上でNFTを保有している または、
- 過去30日以内に取引を行った
例えば、全体で10,000IMXがステーキングされていて、自分が100IMXをステーキングしている場合、自分が受け取るのはプールの1%分である100IMXになります。ステーキング報酬はLayer2側に配布されます。
ガバナンス
IMXトークンの保有者は、Immutable Xのエコシステムに関するガバナンスに参加することができます。ガバナンスには、提案と投票があり、提案するためのトークン保有数にはしきい値があります。ガバナンスは、Layer1で実行され、有効とみなされるウォレットの残高はLayer1側とLayer2側の両方が該当します。
IMXトークンのトークン配布
IMXトークンは、 2,000,000,000 IMXが発行され、以下の割合に基づいて配布されます。
- 51.74%:エコシステム開発
- 25.00%:プロジェクト開発
- 14.26%:プライベートセール
- 5.00%:パブリックセール
- 4.00%:財団予約分
IMXトークンは、当初からすべてがリリースされるわけではなく、以下のように4年かけてリリースされるようになっています。
※画像はトークン数量変更前のものです。
IMXトークンが売買できる取引所
Immutable Xに関する情報