ブロックチェーンプロジェクトによる資金調達方法は、ICOのイノベーションから始まり、IEO, IDOなど様々な方法が試みられています。しかし、いずれの方法も透明性が高いわけではなく、ベンチャーキャピタルと一般投資家の間における不平等が存在しています。
DAOLaunchは、これらの課題にアプローチし、より多くのプロジェクトが分散型の仕組みを使ってクラウドファンディングができるローンチパッドを展開します。今回は、DAOLaunchのCo-Founder & CEOの今山朔郎(Sakuro Imayama)氏に、プロジェクトの立ち上げ経緯や、今後の展開について伺いました。
本インタビューは、全部で4部構成になっています。第2部ではDAOLaunchで具体的にどのようなことができるのかを中心に伺っていきます。第1部がまだの方は、先にそちらを読むことをお勧めします。
▼第1部「VCの分散化という人類未踏の試みをする背景」
第2部 – DAOLaunchはどのようなプロジェクトか
DAOLaunchの紹介
加藤:DAOLaunchはどのようなプロジェクトでしょうか?世の中にはクラウドファンディングやIDOなど、様々な資金調達プラットフォームがありますが、それらとは何が違うのでしょうか?
今山:DAOLaunchは、オンチェーンで動く資金調達プラットフォームです。ブロックチェーンに限らず、僕らは一般的な資金調達プラットフォームと比べて、広い目線で見るべきだと思っています。
一般的な株式調達型のクラウドファンディングと異なるところは、イグジットがスマートコントラクトで担保されていることです。株式調達のファンディングプラットフォームだと、多くの場合は上場やイグジットができずに終わってしまいます。
しかし、ブロックチェーンであればAMM DEXによって大きなコストや手間をかけずに誰でもトークンを上場することができます。そのため、DAOLaunch上ではイグジットをスマートコントラクトで担保することができます。正確には、集めた資金の中からどのくらいの割合を流動性として追加し、流動性をどのくらいの期間ロックするか、どの価格で上場するのかなど、投資家は詳細なイグジット情報を投資する前から確認することができます。
加藤:具体的にはどのようになるのでしょうか?
今山:ここからは画面を出して説明していきます。例えば、DAOLaunchのファンディングサイトで以下のような画面があります。左上のように流動性へ40%、1年ロックなど、これらのすべてがスマートコントラクトに記載されて担保されています。
今山:プロジェクトの詳細はこのようになっていて、ホワイトペーパーやピッチ資料を載せられるようになっています。そして、右にトークンメトリクスが表示されます。これらもスマートコントラクトで内容が担保されています。例えば、トークン割当の20%がチームにあって、3ヶ月ロックと書かれていると、実際にスマートコントラクトでその通りにロックされています。ちなみに、トークンをDAOLaunch上で発行することができます。
今山:そして、トークンをどこの取引所に上場させるのかというのも選ぶことができます。これはモックアップの例ですが、実際にはつながっているネットワークに応じて、AMM DEXが自動選択されます。他にもホワイトリストなど、細かいパラメータを設定することができます。
今山:この他に、NFT機能にもこだわっていて、これは主にプロダクトでクラウドファンディングをするプロジェクトを想定したものになります。NFTで価値を作り、ユーティリティ性を求めるプロジェクトに向いています。プロジェクト側にとっては、NFTを自分たちが作成したトークンで買えるようにしたり、プロジェクトのトークンやLPトークンをステーキングしたりすることで、ユーザーにNFTを付与することができます。
今山:これらの機能は、既に僕たちがリリースしているベータ版アプリに実装されています。初めに言及した、投資実績に応じてオンチェーンで投資条件を交渉できるようになる機能は、また次のステップになります。まずは、すべての投資行動をオンチェーンに落とし込んでいきます。
加藤:率直に画面構成が美しいなと感じました。
今山:そうですね。DAOLaunchのデザイナーは、トークンプロジェクトの雰囲気が嫌いな人です。そして、僕らがPolkastartarと同じようなことをするわけにはいかないので、非ブロックチェーンのスタートアップを取り込んでいくことに考えたときに、まずはそういう人たちに訴求できるインターフェイスを作り込む必要があると思っています。
加藤:これは、誰でもトークンセールを作成する事ができるのでしょうか?
今山:できます。ただし、ユーザーに表示されるプロジェクトは審査済みの「Approved」と分類されたものがデフォルトで表示されるようになっています。何の審査もないプロジェクトは、デフォルトでは表示されないようになっています。このように、できるだけ変なプロジェクトをユーザーに表示させないようにします。
加藤:ちなみに、他のローンチパッドと違う点は何なのでしょうか?
今山:他のIDOプラットフォームと比べたDAOLaunchの大きな違いは、ネイティブトークン($DAL)のユーティリティを投資枠(アロケーション)の確保に設けていないことです。
通常、ローンチパッドのトークンユーティリティモデルは、インキュベートするプロジェクトのアロケーションの確保です。しかし、現在のIDOプロジェクトは、集客のためにリストするプロジェクトのROIを高めなければならず、一般的な資金調達プラットフォーム(Indiegogoなど)と比べて、プラットフォームとしての資金調達総額は少なくなります。資金調達総額を大きくしてしまうと、その分上場後のトークン供給が多くなり、価格が上がりづらくなるからです。
これはビジネスモデルの構造上において結構なデメリットをもたらしています。主なローンチパッドは、資金調達額の1から5%を手数料としてもらうことをビジネスモデルの軸にしていますが、資金調達合計額が少なくなればなるほど儲かりません。
また、僕は現在のIDOがもたらている革命はもっと大きな可能性を秘めていると思っていて、第三者組織の介在なしに流動性を提供し、価格がつくという技術はすべてのスタートアップ資金調達に対して大きな革命をもたらすものだと思っています。
そして、僕らがやろうとしていることは、VCビジネスをオンチェーン上に持ってきて、スタートアップの資金調達により強い自由競争を持ち込むことです。よって、トークンユーティリティを「有利な投資条件を交渉できるDVC-NFTを発行できる」というところに置いています。
DVC-NFTとは、分散型ベンチャーキャピタル(Decentralized Venture Capital)NFTの略で、これを自身の応援するプロジェクトに対して投票することでアロケーションを確保します。すべてのプロジェクトは、その進捗やマーケット評価によりDAOLaunch上でいくつかの評価でランク分けされます。そして、過去に投資したプロジェクトの評価実績が良ければ良いほど、オンチェーンで有利な投資条件を交渉できるようになります。
先ほどの繰り返しになりますが、現在のVCのビジネスモデルは、投資実績やポートフォリオをもとに自社をブランド化して、良い投資条件を確保することです。彼らは、スタートアップに対して提供できる価値(ネットワーク、マーケティング、人材など)を交渉材料に、良い条件で投資してそれによって投資実績をあげ続けています。
一般投資家が、VCのように投資家としてブランド化するためには、自身が投資したプロジェクトを応援することに対して、VCのような視点でのインセンティブを設けるようにしなければなりません。そこで、現在のVCのビジネスモデルと同じように、良い投資実績をあげた投資家に対して、より良い投資実績をオンチェーンで担保するような仕組みを構想しています。
DAOLaunchのアプリ(Main 1.0)のデモ動画は、こちらから見ることができます。
DAOLaunch Demo from DAOLaunch on Vimeo.
第3部へのつなぎ
第2部では、DAOLaunchで具体的にどのようなことができるのかを伺っていきました。
第3部では、誰でも資金調達ができるプラットフォームでどのように詐欺を防ぐのか?非ブロックチェーンプロジェクトで本当にトークンが活用できるのか?など、様々な疑問をぶつけていきます。
▼第3部はこちら