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DAOLaunch 今山朔郎氏 インタビュー 第3部 – 分散型でどのように詐欺を防いでいくのか

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ブロックチェーンプロジェクトによる資金調達方法は、ICOのイノベーションから始まり、IEO, IDOなど様々な方法が試みられています。しかし、いずれの方法も透明性が高いわけではなく、ベンチャーキャピタルと一般投資家の間における不平等が存在しています。

DAOLaunchは、これらの課題にアプローチし、より多くのプロジェクトが分散型の仕組みを使ってクラウドファンディングができるローンチパッドを展開します。今回は、DAOLaunchのCo-Founder & CEOの今山朔郎(Sakuro Imayama)氏に、プロジェクトの立ち上げ経緯や、今後の展開について伺いました。

本インタビューは、全部で4部構成になっています。第3部では、誰でも資金調達ができるプラットフォームでどのように詐欺を防ぐのか?非ブロックチェーンプロジェクトで本当にトークンが活用できるのか?など、様々な疑問をぶつけていきます。第2部がまだの方は、先にそちらを読むことをお勧めします。

▼第2部「DAOLaunchはどのようなプロジェクトか」

DAOLaunch 今山朔郎氏 インタビュー 第2部 - DAOLaunchはどのようなプロジェクトか
ブロックチェーンプロジェクトによる資金調達方法は、ICOのイノベーションから始まり、IEO, IDOなど様々な方法が試みられています。しかし、いずれの方法も透明性が高いわけではなく、ベンチャーキャピタルと一般投資家の間における不平等が存在し...

第3部 – 分散型でどのように詐欺を防いでいくのか

詐欺対策は十分なのか?

加藤:分散型の環境でクラウドファンディングができるとなると、どうしても思い出してしまうのがICOになります。ICOは最初から詐欺のものや、プロジェクトがうまく行かずに破綻して結局詐欺のようになってしまったものが数多くあります。そもそも、ICOの多くがベンチャー投資なのでプロジェクトの死亡確率は高いわけですが、できるだけICOと同じことを繰り返さないように、DAOLaunchでなにか講じている対策はありますか?

今山:まず、DAOLaunchではイグジットをスマートコントラクトで担保しているので、流動性提供割合とロック期間は、スタートアップが後から変更することはできません。

私たちのプラットフォームでは、誰でもトークン作成機能を使ってトークンを作成し、トークンセール作成機能を利用してセールを作成することができます。しかし、デフォルトで非認証ユーザーは表示させない仕組みを導入しています。

また、そこから先ほども話した投資家による投票システムを利用して、もっとも投票されたプロジェクトをピックアップするという「分散型デューデリジェンス機能」を実装しています。すべてのローンチパッド、取引所ではプロジェクトのデューデリジェンスは中央集権的に行われていますが、DAOLaunchでは分散型ベンチャーキャピタル(以下、DVCと表記)による分散型デューデリジェンスを行います。

ただ、すべてが分散型になるのが良いとは限らないので、まずは基本的に運営がプロジェクトと面会、デューデリし、ピックアップする形にして詐欺対策を行います。また、分散型デューデリジェンスによってプロジェクトをピックアップした後に、詐欺ではないかどうかの最終的な判断を、運営を含めたアドバイザリーボードで行います。この仕組みがうまくいったら、アドバイザリーボードの機能を徐々に一般に解放していきます。

僕たちは、DAOLaunchが徐々に広がり、能力の高いDVCが多く誕生してきたら、分散型デューデリジェンスによって、よりよいスタートアップが集まることを期待しています。DVCの実績がオンチェーン上で可視化されるので、成果が高いDVCは他のプロジェクトに対しても有利な金額で投資できるようになり、これが彼らのインセンティブになります。

加藤:まだ分散型の資金調達手段においては、十分に詐欺を防ぐ手段が実現できていないので、これが実現できれば世界初になるでしょうね。

今山:そうですね。システムとしてしっかり分散型にできる構造を作っておいて、そこに持っていく準備はするのですが、初めからそれの筋を通すのかというと、そうではないと思います。そこに対する過程というのは、現実的に順序立ててやっていきます。

非ブロックチェーンプロジェクトがトークンのユーティリティ性を作れるのか?

加藤:DAOLaunchは、非ブロックチェーンのプロジェクトも資金調達ができるものとなっています。現実的に、ビジネスが優れているからといってトークン価格が上がるわけではありません。ユーティリティトークンは、やはりユーティリティ性が大事になってきます。

プロジェクトは、一般的にトークンの値上がりで投資家に還元するということを考えると、これは非ブロックチェーンプロジェクトには高いハードルだと思いますが、彼らが投資家に還元できる可能性はあるのでしょうか?

今山:はい、DAOLaunch上ではトークンユーティリティを誰でも設定できることを想定した上で、NFTの作成やファーミング機能を実装しています。これは、スタートアップが作成したNFTを自分たちのトークンで販売できるというものです。また、自分たちのトークンやLPトークンをステーキングすることでNFTをファーミングさせる、ファームプールを自由に作成することができます。

NFTファーミング機能

今山:現在、NFT界隈では、コレクタブルとしてのNFTが流行り、次にどのようなユーティリティを作れるのかが焦点となっています。

例えば、実商品とNFTを紐付けるプロジェクトが出てくるかもしれません。NFTを引き換えに商品を買えるようにした場合、そのNFTを買うためにプロジェクトが発行したトークンを使うということが起こると、そこでトークンユーティリティができると思っています。

加藤:面白いですね。DAOLaunchのプラットフォームを組み合わせることによって、クラウドファンディングでトークンを発行したプロジェクトの需要を作り出すことができるわけですね。

プロジェクトにとってのDAOLaunchを使うメリット

加藤:既に様々な資金調達プラットフォームがありますが、プロジェクトの視点でみた場合のDAOLaunchを使うメリットはどこにあるのでしょうか?

今山:プロジェクト目線のメリットとしては、まずはすべてをオンチェーンにすることで投資家に対してより誠実さをアピールできるようになります。

そして、DAOLaunchは金融作成プラットフォームとして非常に多機能です。現在、EthereumとBinance Smart Chainで自由にトークンを作成することができ、それを利用してトークノミクスをブロックチェーン上に設定、トークンセールを作成することができます。他のIDOプラットフォームのような粗いピッチ資料ではなく、ビデオと詳細な資料をアップロードできる設定があります。他にも、本人確認したアドレスだけを投資可能にするなど、ホワイトリストアドレス設定などを追加することができます。

また、先ほど話したようにNFT機能では自由にNFTを作成することができ、自社トークンを利用してNFTを販売、ファーミングさせることができ、投資家にトークンユーティリティの一つとして訴求することができます。

さらに、DAOLaunchではトークンセールを円滑にするため、DAOLaunch上でのエアドロップ(DAL Drop, DAL Launch Pool)をマーケティングの一環として提供しています。これは、Binanceのローンチプールと同じ概念で、NFTや上場するトークンをDAOLaunchのトークンホルダーにエアドロップすることで、DAOLaunchネットワークにアクセスすることができるようになるという機能です。

通常、エアドロップはマーケティングのために行い、プロジェクトはその対価として何も得るものはありませんが、DAOLaunchではDALトークンホルダーにエアドロップしたプロジェクトに対し、DALトークンを配布します。

それだとDALを供給しすぎなような気がするかもしれませんが、そうではありません。DALのトークンホルダーは、DAL及びDAL-LPをステーキングするとポイントが付与され、それを用いてDALを金利として受け取るか、またDAOLaunchが提供する特別なNFT、または他のプロジェクトが提供するDAL Drop NFTを選択できるようにしています。ですので、消費されたポイントに応じてDALを提供するので、プロジェクトにDALを過剰供給するわけではなく、基本的にはメリットしかありません。

この考えは、Polkadotのパラチェーンオファリングのように、応援するプロジェクトに対してステーキングすることを通して、彼らのトークン(DAOLaunchの場合はNFT)をインセンティブとして付与する仕組みに似ています。

さらに、DAOLaunchでは、ピックアップされたスタートアップに対してDAOLaunchから助成金という形で、DAOLaunchで発生した売上を利用して上場後に彼らのトークンを市場から買い戻します。これを、僕らはIBO(Initial Buy-Back Offering)と呼んでいます。買い戻しされたトークンは自動的にバーンされます。この考えは、DAOLaunch上のDVC(投資家)が、投資したプロジェクトから得るキャピタルゲインで利益をあげるのが理想的だという考えに基づいています。

第4部へのつなぎ

第3部では、DAOLaunchで詐欺を防いだり、非ブロックチェーンプロジェクトにおけるトークンのユーティリティ性創出について伺っていきました。

第4部では、最終的に実装されるDVC-NFTが実装されると、ベンチャーの資金調達の世界がどのように変わっていくのか、今山氏が描いている未来について取り上げていきます。

▼第4部はこちら

DAOLaunch 今山朔郎氏 インタビュー 第4部 - ベンチャーキャピタルをNFT化すると何が起こるのか
ブロックチェーンプロジェクトによる資金調達方法は、ICOのイノベーションから始まり、IEO, IDOなど様々な方法が試みられています。しかし、いずれの方法も透明性が高いわけではなく、ベンチャーキャピタルと一般投資家の間における不平等が存在し...

DAOLaunchについて

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この記事を書いた人

TOKEN ECONOMISTのDirector。「ブロックチェーンによる少し先の未来を魅せる」をポリシーに、注目しているプロジェクトの紹介やインタビューを行っています。

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