Nitroの概要
Nitroは、Cosmosネットワーク上のLayer2です。Layer2としては初のSolana VM (SVM)のロールアップを展開します。開発者は、Solana向けに構築されたDAppsを変更することなく、Nitro上に展開することができ、IBC*1を通してCosmosエコシステムへの相互運用性を確保することができるようになります。これにより、NitroはSolanaとCosmosエコシステム間の資本や人材、イノベーションの橋渡することにより両エコシステムの活性化を目指しています。
Nitroは、SVMのスケーラビリティエンジンとして、任意のLayer1をデータ可用性 (Data Availability)と決済(Settlement)として利用できるようにすることを目指しています。対象となるLayer1は、最初はCosmosネットワーク上のチェーンではあるものの、任意のチェーンにも拡大されます。2022年11月現在、NitroはCosmosネットワークのLayer1チェーンとして、取引所特化型チェーンのSei Network(解説記事)への対応を表明しています。
また、NitroはArbitrumのように任意のアプリケーションを展開できる汎用型の他、dYdXのようにアプリケーション固有型としてもロールアップを展開できるようになります。
Nitroの技術ハイライト
Cosmosエコシステムとの相互運用性を確保
Nitro上に構築されたDAppsは、IBCの相互運用性を利用しつつ、Solanaの実行環境を活用することができます。そのため、開発者は既存のSlanaのスマートコントラクトを導入することができ、ユーザーはPhantomのような既存のSolanaウォレットを利用することができます。また、ICA (Interchain Accounts)にも対応するため、1つの Cosmos Hub アカウントを使い、IBC対応ブロックチェーンにおいて横断的なアカウント管理を行いやすくします。
Optimistic Rollupを採用
Nitroは、Solana VMをOptimistic Rollupとして実行できるように構築されます。Optimistic Rollupでは、基本的にすべてのトランザクションが有効であると仮定されるため、高速実行されるように
問題があった際にFraud Proofを用いてトランザクションが正当なものであることを確認するようになっています。
モジュール型のアーキテクチャ
Nitroはモジュール構造になっており、Nitro SVM Rollupは実行レイヤーを担い、その下位のLayer1は決済レイヤーを担います。コンポーネントを分割することにより、それぞれを個別最適化することができるようになっています。また、モジュール構造によりNitroを使ってアプリケーションに特化したLayer3を構築することで、決済やデータ可用性レイヤーを気にしなくても済む、高速な実行環境を作り上げることが可能となります。
Nitroでは、Sealevelと呼ばれる実行エンジンが搭載されており、SealevelそのものはSolana上でトランザクションを処理するエンジンのことを指します。パイプライン処理により、Sealevelがチェーン上で多数のトランザクションを並列処理することができるようになります。また、プール内の未確認トランザクションの数を減らすことができる利点があるため、ノードのメモリ負荷が軽減され、ブロック処理をより効率的にすることができます。
Nitroのトークン
2022年11月時点では、Nitroのトークンのシンボル及びトークノミクスは公開されていません。
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