インタビュー

[Web3×人材] インタビュー – WAVEE 早川裕太氏: Web3で仕事のマッチングはどう変わるのか?

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各社がWeb3の採用を模索する中、Web3人材の採用は大きなテーマになっており、人材サービス各社はWeb3人材特化型のマッチングサービスを提供しています。とりわけエッグフォワード株式会社が提供するWAVEE(ウェイビー)では、サービスそのものにWeb3の仕組みを取り入れ、今までにはない人材や案件に関するWeb3の仕事マッチングサービスを提供しています。

インタビューでは、WAVEEの責任者である早川裕太氏より、サービスにWeb3を組み込んだ経緯やそこからもたらされる革新的な部分について訊きました。

Web3で仕事のマッチングはどう変わるのか?

自己紹介と会社紹介

加藤:最初に早川さんの簡単な自己紹介とエッグフォワード株式会社について紹介をお願いします。

早川氏:はい。早川裕太と申しまして、現在はエッグフォワードという企業でChief Growth Officerを担当しています。

エッグフォワードは、HR系の企業で、大企業向けのイノベーションを促進するための戦略コンサルティング等を行っています。事業を生み出すには、組織の確立とそのための人材が必要になります。エッグフォワードは、人材や組織の開発やコンサルティングに強みを持っており、コンサルティングを通じて見出された企業の課題を元にプロダクト開発するというユニークな取組みも行っています。

私の経歴は、十数年前に自然言語処理、画像認識、データマイニング、機械学習などのAI分野を専門に研究していました。その後、楽天の技術研究所で研究を行い、楽天の新サービス開発部でサービス開発を常時6、7サービス行っていました。楽天の後、TECHFUND(テックファンド)でCTOとして、スタートアップや大企業の新規事業開発を支援しました。TECHFUNDのWeb3関連プロジェクトでは、トークンプロジェクトの支援やウォレット、NFTマーケットプレイス等の開発を受託したり、2018年には自社でBlockchain as a Service(BaaS)も提供しました。これは、非ブロックチェーンエンジニアでもブロックチェーンのアプリケーションを作成できるように、インフラからアプリケーションレイヤーまでをカバーするものでした。

加藤:BaaSは最近よく見かけるサービスですが、それを5年前に作っていたというのはかなり早いですね。

早川氏:さらに、TECHFUNDのCTOを務めながら、フィンテック系の会社famitra(ファミトラ)を創業し、高齢者向けのサービス提供に力を注いでいました。こちらではCTOとCSOに就任し、シリーズAまでで合計17億円の調達をさせていただきました。

ちなみに、今回のトピックである「Web3 x 人材」のWAVEE(ウェイビー)は、実は2017年9月にTECHFUNDにいるときに発案したものです。WAVEEはこのコンセプトにもとづいて動いていますが、当時はまだ早すぎたのか、あまり理解されずに終わりました。しかし、最近では一般にWeb3の理解が広がっているため、今がそのタイミングだと感じてスタートしました。

仕事マッチングをWeb3サービスとして展開する背景

加藤:既にエッグフォワードでは人材マッチングサービスを持っているようですが、なぜ別にWeb3の仕事マッチングサービスを作ったのでしょうか?その背景を教えていただけますか?また、サービス内容やその特徴について教えてください。

早川氏:当社ではエージェント関係のサービスも提供していますが、課題として、自社の持つ候補者と案件のマッチングに限定され、局所的なマッチングになってしまうため、候補者に最適な仕事を提供できるかが不確かでした。

我々は、候補者に最適な仕事を提供するためには、極論を言うと世の中の”あらゆる”人と案件を繋ぐ必要があると考えています。

そうした時、これまでの人材マッチングのビジネスモデルは情報をクローズドにして利益を上げることが主流でしたが、情報をオープンにすることで利益を生み出せれば良いのではと考えました。この目的を達成するために、ブロックチェーンの活用を検討しました。

この仕組みとして、今回のWAVEEでは、人材紹介エージェントや個人が知る候補者を私たちのサービスに招待することで、招待した側には候補者に関するNFTが付与されます。プラットフォーム上で候補者と企業がマッチングすると、NFTの保有者にマッチング報酬の一定割合が還元されます。また、候補者側にも同様に本人を示すNFTとマッチング報酬の一定割合が還元されるようになっています。

将来的には、トークンを使った支払いで完全にオンチェーン化し、自動的に分配するシステムにしたいと考えていますが、現在は日本の法律や税制の観点から、求人企業側がトークンを保有するなどが難しいため、法定通貨で支払って分配しています。

さらに面白いのは、招待された人が1回目の転職だけでなく、2回、3回、4回と何度も転職するたびに、NFTの保有者(招待した側・された側共に)が報酬を得られる点です。この報酬は、転職だけでなく、副業やフリーランス、法人としての案件受託といったマッチングでも適用されます。つまり、NFTを保有することで、報酬を継続的に受け取る権利を得ることができます!

加藤:これはなかなか攻めている仕事マッチングサービスですね。

早川氏:はい、なかなかないと思います。WAVEEでは、さらにネットワーク効果を高めるために、2次の招待者(招待した人が招待した人)がマッチングした場合の報酬も得られるようにしています。これで、経営者など転職するつもりがない方でもWAVEEに招待・登録しておくメリットが大きくなります。その先にコネクションが多いためですね。

加藤:ちなみに、このNFTは有価証券に該当しないのでしょうか?

早川氏:重要なポイントで、結論は該当しません。今回のNFTは法律上は債権として整理されており、有価証券ではないため、WAVEE側の一定の対応の下、譲渡や売却もできるようになっています。

招待制であることの意義

加藤:WAVEEは招待制ですが、これだとサービスが拡がるかということについて疑問が残ります。なぜ招待制を取り入れたのでしょうか?またどのような人にこのサービスに招待で入ってきてほしいと考えていますか?

早川氏:当社が招待制を採用したのは、初期に入ってくる人材のレベルを高めることを目的としています。マッチングがうまくいかないと、サービスが成り立たなくなるからです。初期の人材が優れている場合、その後のマッチングがスムーズに進み、荒らしのような問題も防止できます。まずは信頼できるサービスというブランドを確立することが最優先です。

また、現在登録している方の中には、既に多くの人を招待している方もいます。招待制であっても、必ずしも広がらなかったりするわけではありません。普段から信頼している人からの招待や紹介は専門家やインフルエンサーの紹介以上に最も重視する統計もあり、登録に至る確率が高くなるため、招待制で拡げていくポテンシャルがあると思っています。また、招待制によって、よりきちんとした方々が参加するため、信頼性が高まります。

加藤:人材レベルを重視しているということですが、新卒のようなエントリーレベルの方も大丈夫なのでしょうか?

早川氏:もちろん企業のニーズによって選考が決まってしまいますが、新卒の方でも応募可能です。また、正社員でなくフリーランスや副業も歓迎です。Web3業界に興味がある方なら、どなたでも問題ありません。

また、友人や知人を大切にする方にも参加してもらいたいと思っています。先ほど言及したように、招待された方にもマッチング報酬の一部が支払われるようになっています。そのため、他のエージェントやプラットフォームで仕事を見つけるよりも、WAVEEを利用する方がお得になります。

事業者にとってのメリット

加藤:今までは仕事を受ける側の話がメインでしたが、WAVEEを使うことによる事業者のメリットはどのようになるのでしょうか?

早川氏:我々が企業のコンサルティングをしていく上でも、人材採用に関するいくつかの課題を感じていました。まず、リファラル制度を設けても紹介が進まないことです。従業員の直接の繋がりだと転職意向者がすぐ分からず、母集団が小さいからです。それを補うためにエージェントを利用する方法があります。しかし、これだと35%という高い紹介料がかかってしまいます。エージェントが高いとなると、求人媒体を使うことになりますが、採用が発生しなくても月額課金されるため、複数媒体で展開するのは難しくなります。さらに、知人から紹介してもらおうにも、本気で動いてもらいづらいものです。WAVEEは、これらの課題をすべて解決することができます。

早川氏:WAVEEによって企業は、低コストで、組織にフィットする人材のプールを、指数関数的に拡大させられます。具体的には、まず企業は従業員や採用したい人を招待して、彼らが知人を招待することで、採用プールがその先2次、3次と一気に拡大していきます。従業員らは、企業にフィットしている人材といえるので、「類は友を呼ぶ」で、組織にフィットしやすい人材が集まってくることを期待できます。また、採用したい人を招待することで、彼らに転職意向が出たときにそれを検知して、呼び込むこともできるようになります。そして、このプール内の人材の採用時は採用コストを低減させています。

加藤:従来のリファラルを大きくアップデートさせたモデルですね。他にも何かメリットはありますか?

早川氏:あります。WAVEEでは募集タイトルを1行入力するだけで、AIを使って募集要項ドラフトが自動生成されるようになっています。募集要項を作るというのは慣れていないと大変なので、この機能により採用担当者や業務発注者の負担を減らすことができます。また、募集をいくつ出しても追加料金はなく、かつ一般的な人材紹介サービスよりも報酬体系が安くなっています。

今後のサービス展開

加藤:WAVEEはこれから本格展開というフェーズになりますが、どのような案件が載るようになり、これからどのようにサービスを進化させていきますか?

早川氏:後々グローバルで全領域に拡大する想定で、現状は、Web3領域の案件に限定し、日本国内でマッチング頻度を高めるようにしています。また、正社員だけでなく、フリーランスや副業の募集も行っていきます。今後は、法人としての仕事の受注もWAVEE上で可能にする予定です。例えば、開発会社のマッチングなどが想定されます。実際に、企業経営者が法人の実績を登録しているケースも既にあるため、そのような背景を踏まえて法人とのマッチングも行えるようにしていく予定です。

また、将来的には分散型ID(DID)やWeb3ソーシャルの企業と協力して、サービスを拡大しようと考えており、既にこの分野の企業から話を頂いていたりもします。あとは、私は人材トークンの流通プラットフォーム構想と呼んでいるのですが・・・

加藤:それはどのような構想でしょうか?

早川氏:WAVEEのNFTは、招待報酬を永続的に獲得することができる権利になります。つまり、NFTの保有者が有益な活動を行うと、NFTの価値が上がっていくと言えます。このNFTを求めて、中長期的なリターンを目指す投資家が参入するかもしれません。また、マッチングが高頻度で成立するわけではないため、それが待てないNFT保有者は早期に手放したくなることも考えられます。この2つの需要を繋ぐため、人材NFTの流通を促進するプラットフォームを提供することも検討しています。

加藤:それは興味深いです!最後に、WAVEEに興味を持った方にコメントをお願いします。

早川氏:我々は、人々が最適な仕事を得られるようなサービスを提供すること、将来的には全世界の人々と仕事をつなげることを目指しています。WAVEEに共感していただける方にはぜひ登録・招待いただきたいと思っているので、よろしくお願いします。登録は、TwitterやFacebookアカウントがあれば誰でも簡単にできるようになっています(ユーザー登録はこちら)。また、企業の登録もお待ちしています。興味がある担当者の方は法人向け登録フォームよりお問い合わせ願います。

※フォームはエッグフォワードのみが閲覧でき、当サイト運営者が個人情報を閲覧できないようになっています。

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この記事を書いた人

TOKEN ECONOMISTのDirector。「ブロックチェーンによる少し先の未来を魅せる」をポリシーに、注目しているプロジェクトの紹介やインタビューを行っています。

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