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マルチチェーンのシード&ガスレスウォレット「Sleek Wallet」の解説

ウォレット
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Sleek Wallet の概要

Sleek Walletは、シードレスログインおよびガスレストランザクションに対応したマルチチェーン対応のウォレットです。

ERC-4337によるアカウントの抽象化(Account Abstraction: AA)のおかげで、EVM互換チェーンはコントラクトウォレットを利用することでシードレス、ガスレスなど、ユーザーエクスペリエンスを大きく改善できるようになりました。しかし、それらの恩恵は単一のチェーンのみで閉じており、マルチチェーンの資産を必ずしもスムーズに扱えるものではありません。例えば、Polygon PoSにおけるコントラクトウォレットでは、扱うことができる資産やアクセスできるDAppsは同チェーン上のものに限られてしまいます。一方で、ウォレットをマルチチェーンに対応させようとすると、AAの恩恵を受けられず、チェーン間における相互運用性は限定的になってしまいます。仮にチェーンをまたいだとしても、その度に追加の認証操作を求められるなど、ユーザー体験は決して良いものではありません。このように、AAによる恩恵とマルチチェーン対応はトレードオフの関係にあります。

Seek Walletは、ZetaChain解説記事)を使ったAA対応のコントラクトウォレットを実装することにより、前述の問題を解決しました。ZetaChainは、EVM互換であり、チェーン上に実装したオムニチェーンスマートコントラクトから、外部チェーン(Bitcoin, BNB SmartChainなど)の資産を直接扱うことができることができるようになっています。ZetaChainのAAとオムニチェーンコントラクトの恩恵により、Seek Walletではマルチチェーンに対応して、かつAAを使ったコントラクトウォレットのメリットを享受することができるようになります。

Seek Walletが採用しているZetaChainは、2023年10月23日時点でテストネットになります。ZetaChainの対応チェーンはいずれもテストネットであることから、くれぐれもメインネットの資産を入金しないようにしてください。

Seek Walletの特徴

ガスレス利用が可能

Web3を利用する最も煩わしい点の一つとして、ユーザーはガスのためにそれぞれのチェーンのネイティブトークンを用意する必要があります。Seek WalletではPaymastarを使用することで、あらゆるERC20トークンでガスを支払うことができるようにします。

Paymastarとは、ガスの代払いをするためのスマートコントラクトです。DAppsや第三者がガスをスポンサーすることにより、ユーザーがガスレスでアプリケーションを利用することができるようになる仕組みを提供します。

シードレスのログインを提供

Seek Walletでは、リカバリーフレーズを必要とせず、メールアドレスやGoogla、X(旧Twitter)アカウントを使用してウォレットを作成してログインできるようになります。この機能自体には、Magicのソリューションが用いられています。

また、ウォレットの復元においてもリカバリーフレーズを使用せず、前述のアカウントを使ったソーシャルリカバリを行うことになります。ソーシャルリカバリができるアカウントはガーディアンと呼ばれ、特定のガーディアンが認証できた場合にのみウォレットを復元することができます。例えば、3人のガーディアンを指定してウォレットの復元を行うことができます。

マルチチェーン・クロスチェーン対応

Sleek Walletは、アカウントの抽象化を利用しているウォレットでありながら、ネイティブでマルチチェーン・クロスチェーンに対応しています。これは、コントラクトウォレットのベースチェーンとしてZetaChainを使用しているためです。

ZetaChainは、EVM互換のチェーンで、外部チェーンの資産をあたかも自分のチェーンにある資産であるかのように、スマートコントラクトで扱うことができます(オムニチェーンスマートコントラクト)。そのため、Sleek Walletのユーザーは、ZetaChainで扱っているチェーンであれば何でもウォレットで扱うことができるようになります。

2023年10月23日時点の対応しているチェーン:Bitcoin, BNB SmartChain, Ethereum, Polygon ※いずれもテストネット

Sleek Wallet の操作例

ウォレットの作成

ウォレットの作成では初回画面で「Create a new wallet」をタップし、パスワード(PIN)を設定した後、$ZETAを請求してウォレットを作成することができます。

Sleek Walletの作成

ソーシャルリカバリ設定

ソーシャルリカバリ設定では、メールアドレスを追加することができます。認証するメールアドレス数のしきい値を設定します。

Sleek Walletのソーシャルリカバリ設定1

しきい値を設定後、ソーシャルリカバリに使うメールアドレスを入力していきます。メールアドレスを入力するたびに、PINによるアドレス存在の認証があります。最後に、ZataChainのトランザクションを実行します。

Sleek Walletのソーシャルリカバリ設定2

ウォレットの復元

ウォレットの作成では初回画面で「I already have awallet」をタップし、パスワード(PIN)を設定した後、ソーシャルリカバリに使うメールアドレスを1つ入力してPINによるアドレス存在の認証を通過します。その後、ウォレットに紐付けられている他のアドレスが表示されるので、それぞれ同様にメールに書かれているPINを入力して認証していきます。しきい値に設定したメールアドレス数の認証が終えたら「Submit」をタップします。その際にZetaChainのガスが消費されます。

Sleek Walletの復元

Seek Walletに関する情報

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この記事を書いた人

TOKEN ECONOMISTのDirector。「ブロックチェーンによる少し先の未来を魅せる」をポリシーに、注目しているプロジェクトの紹介やインタビューを行っています。

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