IT技術が進化するにつれ様々なアプリケーションが増えています。その中でも、GPUを使う分野の発展が近年で顕著になっており、開発現場にとってGPUパワーの確保は大きな課題になっています。Render Networkは、GPUパワーをオープンにしていきます。
Render Network(RNDR)の概要
Render Networkは、オープンな分散型GPUレンダリングプラットフォームです。GPUを使いたいアーティストや事業者は、Render Networkを利用することにより、自分たちがGPUを保有していなくてもこれまでのクラウドより安い価格でGPUを利用することができるようになります。また、GPUが搭載されたコンピュータを保有している人であれば、自身のコンピューターのGPUパワーを提供することができるようになります。
Render Networkの動機の1つには、GPUの需要が急増していることがあります。GPUは、簡単な計算を大量に並列処理することが得意という特性があり、主に映像処理に適しています。映像コンテンツは高精細になればなるほどGPUパワーが必要になり、強い没入感を必要とするAR/VRがその必要性を強めました。さらに、AIの台頭がGPUの需要に拍車をかけました。AIは大量のデータをディープラーニングにより学習する必要があり、これには多くのGPUが必要になります。今は映像やAIに限らず、暗号資産のマイニング等、GPUが必要なシーンは増加の一途をたどっています。
このような背景から、コンテンツ制作者の間では集中型のGPUクラウドにおいてリソースの奪い合いが発生しており、これらは高い利用料金となって跳ね返ってくることになります。また、自前でGPUサーバーを揃えると多額のハードウェアが必要になる上に、コンテンツをレンダリングしない間はGPUがアイドル状態になるため、利用効率の観点では望ましい選択肢にならない場合があります。
Render Networkでは、GPUにより実現される複雑なコンテンツのレンダリングやストリーミングの処理をすべてのユーザーにとって簡単にします。また、アイドル状態のコンピューターを保有しているノードオペレーターは、自身のGPUをRender Networkに接続することで、$RNDRを獲得することができるようになります。
Render Network(RNDR)のハイライト
利用者とGPU提供者とのマッチング
Render Networkにおけるステークホルダーは、アプリケーションベンダー、クリエイター、ノードオペレーターで構成されます。クリエイターはRender NetworkにおけるGPUの利用者であり、ノードオペレーターはGPUの提供者です。
クリエイターによるタスクが実行され、成功すると、クリエイターとノードオペレーター双方の評価スコアが上がっていきます。クリエイターはスコアを上げることで、ネットワークに危害を加えない健全な利用者とみなされ、より多くのGPUを利用する事ができるようになります。同様に、ノードオペレーターはより多くのタスクを獲得することができるようになります。
クリエイターとノードオペレーターのマッチングは、複合的な要因に基づき決定します。要因は、選択されたティア(支払われた料金ランクによる)、ハードウェア要件、ネットワーク上の時間、ユーザー評価スコア、ノード評価スコア、OctaneBenchスコア(ノードの処理能力による)などがあります。
プライバシーによる保護
Render Networkはオープンなネットワークではあるものの、クリエイター自身やそのコンテンツのプライバシーは護られる必要があります。Render Networkでは、それぞれの処理において暗号化が施されます。
- データのアップロード:コンテンツは分割され、ネットワークにアップロードされる間にハッシュ化され、暗号化されます。
- 出力:レンダリングされた出力は、ネットワークを介して送信される前に暗号化されます。
- 記憶領域:メモリやディスクに保存されたコンテンツは常に暗号化されます。
また、コンテンツそのもののストレージへの保管は短期間であるため、これもプライバシー侵害の可能性を下げる要素になっています。
マルチレンダーに対応
Render Networkは、複数のレンダーに対応するべく開発が行われています。2023年11月時点でOTOY の OctaneRender が対応しており、ライセンス料が免除されています。さらにMaxon Redshift の対応が進行中であり、Blender Cycles や Arnold Render がそれに続く予定となっています。
AIアプリケーションに対しても対応が進行しており、Render Network SDKを通じて開発者は、NeRF (Neural Reflectance Field) およびLightFieldレンダリング処理から生成AIタスクに至るまで、AI計算タスクにネットワークの分散型GPUを活用できるようになります。
RNDRトークン
RNDRトークンのユーティリティ
Render Networkでは、ユーティリティトークンとして$RNDRを利用します。$RNDRの利用用途は以下の通りです。
- クリエイター:分散型GPUを利用するための料金
- ノードオペレーター:ジョブ完了時の報酬
- ネットワークのガバナンス
クリエイターは、OctaneBenchと呼ばれる作業単位にマッピングされます。クリエイターは、スピードやコスト、セキュリティやノード評価に基づいて、ティアを選択し、OctaneBench時間(OBh)に応じて$RNDRを支払うことになります。ティアは3段階あり、ティア1は最も高価である分、最も高速に作業を処理することができます。ティア2~3は、ティア1よりも低速であるものの、料金が安くなっています。$RNDRの流通状況は、Etherscanより確認することができます。
また、トークン払いができないクリエイターのためにRNDRクレジットが用意されています。RNDRクレジットは、$RNDRと等価であり、PayPalやStripeを使って購入することができます。
※$RNDRはEthereum上のERC20トークンですが、後にSolanaに移行する予定になっています。
RNDRトークンを売買できる取引所
日本の取引所:
海外の取引所:
Render Networkに関する情報
- Render Network Webページ
- Render Network X(旧Twitter)
- Render Network Medium
- Render Network Telegram
- Render Network Discord