Shardeum(SHM)の概要
Shardeum(シャーディウム)は、シャーディングにより高いスケーラビリティと分散性、セキュリティを達成するEVM互換のレイヤー1のパブリックブロックチェーンです。ネイティブトークンとして$SHMが発行されます。
現在、スケーラビリティの高いブロックチェーンの多くは、バリデーターを少数精鋭にすることにより速度を確保しています。これらのブロックチェーンがさらなるスケーラビリティを得るには、垂直スケーリングが必要になります。垂直スケーリングは、CPUやRAM、ネットワークリソースをより高くすることにより、チェーンの処理容量を確保するというアプローチです。このアプローチの欠点は、性能が低いハードウェアのバリデーターによってTPSが決まってしまうということです。つまり、このアプローチはバリデーターのハードウェア要件が高くなり、それによってバリデーターの参入障壁が高まり、分散化しにくくなるということを意味します。
一方で、Shardeumでは水平スケーリングのアプローチをとっています。バリデーターのノードを追加することにより、比例的にネットワークのスケーラビリティを確保できるようになります。Shardeumでは、1,000ノードで5,000TPSの処理容量を確保できるとしています(トークン送信のトランザクションによる算出)。また、ネットワークの負荷状況によりシャードの数を増減させるこよにより、システムのパフォーマンスとリソース割り当てを最適化し、効率を高めることができます。さらに、アトミックコンポーザビリティにより、シャーディングが発生している環境下でもスマートコントラクトを連鎖動作させることができるようになっています。
Shardeumは、2023年11月時点でSphinxテストネット段階であり、2024年第1四半期にメインネットの公開が予定されています。
Shardeumの技術ハイライト
シャーディングによるネットワーク容量の拡張
Shardeumは、その名前にもあるようにシャーディングを強みとするチェーンです。シャーディングでは、ノードをそれぞれ処理のグループ単位(=シャード)に分割し、シャードごとに並行処理することによってネットワーク全体の処理容量を高めます。シャーディングには、シャードのアドレス空間を事前に決定しておくスタティックシャーディングと、アドレス空間が可変なダイナミックシャーディングがあり、Shardeumは後者を採用しています。
ダイナミックシャーディングでは、ネットワークが混雑してくるとシャードを分割してシャードの数を増やしていき、ネットワークが空いてくるとシャードを結合してシャードの数を減らしていきます。これにより、システムの負荷とリソースの間の最適なバランスが維持され、ネットワークが効率的かつ安全に動作することが保証されます。
また、Sharedumではバリデーターのノードを増やすことにより、スケーラビリティを拡張することができます。ノードを増やすことで、シャードをより多く増やすことができるようになるため、ネットワーク容量が増加します。
アトミックコンポーザビリティによるコンポーザビリティ確保
Sharedumでは、アトミックコンポーザビリティを実現します。
ブロックチェーンの大きな強みとして、スマートコントラクトを連鎖起動できることがあげられます。例えば、レンディングサービスでフラッシュローンを行い、そこで借りられた資金をDEXでアービトラージするといった具合にです。シャーディングを実装すると、このような動作が難しくなります。なぜならば、連鎖動作させるスマートコントラクトが同じシャードで実行される必要があるからです。
Sharedumでは、アトミックコンポーザビリティにより、各トランザクションを独立に処理するために形成された仮想トランザクショングループによって、すべてのバリデーターが同じシャード内にあるスマートコントラクトを起動することを保証しています。これにより、シャーディング実行下においてもスマートコントラクトの連鎖起動を実現することができます、
シャード乗っ取り攻撃への高い耐性
シビル抑止メカニズムPoSが採用されているチェーンで、”素朴に設計された”シャーディングが採用されている場合、シャードの乗っ取りはチェーン全体を乗っ取るよりも遥かに簡単になります。攻撃者は、各シャードに分割されて割り当てられたトークン数量の66%以上を確保すれば攻撃が成立できるからです。
Shardeumでは、バリデーターがどのシャードに参加するかを選択できないようにすることで、単一シャードへの乗っ取り攻撃を防ぎます。しがたって、Shardeumではあるシャードの66%を乗っ取るようにするためには、バリデーターノード全体の66%の乗っ取る必要があります。これは現実的に不可能です。
公平なトランザクションを実現するコンセンサスメカニズム
Shardeumでは、コンセンサスメカニズムとしてProof of Quorum (PoQ)を採用し、シビル抑止メカニズムとして Proof of Stake (PoS)を採用しています。
PoQは、リーダーレス型のアルゴリズムを採用します。この型では、ブロックを生成するノードがどのトランザクションをブロックに入れるかの決定権を持たず、トランザクションが到着した順に処理されていきます。そのため、MEV体制があり、公平性を確保数することができるようになっています。
SHMトークン
Shardeumでは、ネイティブトークンとして$SHMを発行します。
SHMトークンの用途
- ステーキング
- ガバナンス(ただし、1 SHM = 1投票権 にはらない)
- 報酬(エアドロップ、エコシステム報酬など)
- ネットワーク手数料
Shardeumでは、ネットワーク手数料として消費された$SHMは、全量がバーンされるようになっています。
SHMトークンの配布
$SHMは、最大供給量が5億800万枚になり、以下の割合に基づいて割り当てられます。ノード報酬は予め割り当てられた部分から排出されます。
- 51%:バリデーターとアーカイブノードへの報酬
- 18%:投資家への配分(3ヶ月クリフ、その後2年間の日次リニアべスティング)
- 15%:チームへの配分(3ヶ月クリフ、その後2年間の日次リニアべスティング)
- 11%:財団(TGEで全量がロック解除)
- 5%:エコシステム助成&エアドロップ(TGEで全量がロック解除)
投資家への配分に関しては、販売価格が公表されており、$SHMあたり0.8ドル、1.0ドルでの販売が行われました。
$SHMの数量と時系列の関係性は以下の通りになります。
SHMトークンを売買できる取引所
2023年11月12日時点、Sharedumはメインネットがローンチされておらず、$SHMを売買できる取引所は存在していません。