CESSの概要
CESS(Cumulus Encrypted Storage System)は、ブロックチェーンを使った分散型ストレージの及びコンテンツ配信ネットワーク(CDN)のプラットフォームです。今までであれば長期のアーカイブストレージとして利用されてきた分散型ストレージを、動的データに対応させることで柔軟に利用できるようにし、商用に耐えるソリューションの提供を目指しています。
CESSは、既存の分散型ストレージにおける主に3つの課題に対して対処します。
- データ損失の可能性:ストレージを提供するマイナーは、マイニングを止め、ストレージの提供を停止することができます。また、通常デフォルトで作成されるデータのコピーは1つだけであるため、ユーザーのデータが損失する可能性があります。
- ストレージ容量の利用が非効率:既存の分散型ストレージでは、スペースプーリングやスペース管理がサポートされていないことがあります。また、データは1つのノードのみに保存され、大きなデータセットは小さなディスクやノードに保存できなくなることから、全体のストレージが有効に活用されません。
- データ取得の遅さ:インデックス作成がないことから、データの取得には時間を要します。また、ストレージ容量の利用の非効率さゆえに、大きなデータセットが容量が大きいマイナーに集中することで、データの取得が遅くなります。
ユーザーがCESSにデータを保存すると、そのデータは小さな断片に分割、暗号化され、ネットワーク内のさまざまなノードに分散されます。そして、データにアクセスするためには、自分自身を認証して暗号化された断片をネットワークから取り出す必要があります。断片はユーザーのデバイス上でローカルに結合・復号化されるため、取得プロセス中にデータがまるごと公開されることはありません。この仕組みにより、分散型ストレージの利用で高いセキュリティが確保されます。
また、CESSではデータを小さな断片にすることとにより容量が小さなディスクやノードにデータを保存することが可能になるため、ストレージ容量を有効に利用することができるようになります。加えて、ディスクステータスの定期的なチェックや、使用可能および使用済み容量の計算、無効なデータの消去を行う仕組みによりストレージ容量の利用効率化が行われます。
CESSでは、データの高速取得を可能にするために、キャッシュノード(Cache Node)と検索ノード(Retrieval Node)を導入することで、データのインデックス化を可能にし、ユーザーが数秒以内でデータを取得できるようにします。
2024年1月2日時点、CESSはストレージマイナーが952存在しており、認証済みのストレージ容量が1.628TiB、実際に利用できる容量が5,675TiBになります。
CESSの動作ハイライト
CESSは、機能別に4つの層:ブロックチェーン層、分散ストレージリソース層、分散コンテンツ配信層、 アプリケーション層から成り立っています。
ブロックチェーン層:CESSネットワークの管理を行うブロックチェーンです。ストレージや計算リソース提供者にインセンティブを与え、データストレージやデータの権利確認、その他のサービスをアプリケーション層に提供する役割を担います。
分散ストレージリソース層:ストレージマイナーとコンセンサスマイナーで構成され、トレージリソースの統合とプーリングを実現します。
分散コンテンツ配信層:キャッシュマイナーと検索マイナーで構成され、データの低遅延配信を実現するためのキャッシュ機能を提供します。
アプリケーション層:アプリケーションに必要なデータストレージサービス、ブロックチェーンサービス、ネットワークドライブサービスなどにアクセスするためのAPI/SDKツールを提供します。
CESSの特徴
データの復旧を保証
CESSでは、データの復旧を保証します。これは、PoDR2(The Proof of Data Reduplication and Recovery)プロトコルによるもので、システムが常にユーザーデータファイルの複数のコピーを保持するようにします。PoDR2により、システムは定期的にストレージノードのチェックを行い、データの有効性と可用性を証明するためにストレージノードに継続的にチャレンジします。データの損失が発見された場合は、リカバリ機能によりデータの復元を行います。また、他にも複数のデータ保管証明プロトコルが使われます。
クロスチェーン利用の容易化
CESSでは、分散型ストレージをクロスチェーンで利用できるようにするための仕組みを提供します。この仕組みでは、クロスチェーンリレーを用意し、2つのブロックチェーン間で相互承認を行い、データの変換を行った後、異なるブロックチェーン間で相互に情報を交換することで安全なクロスチェーン利用を実現します。
プライバシーを確保したデータ共有
CESSでは、データ内容を公開することなく許可されたユーザーのみにファイルを共有することができます。
CESSのストレージにデータをアップロードする場合、ユーザーはプライベートまたはパブリックのどちらかを選択することができます。プライベートを選択すると、ファイルは暗号化されてストレージノードに保存されます。データファイルの所有者が他のユーザーへの転送を許可した場合、CESSはプロキシ再暗号化メカニズムを使ってノードに保存されたデータの断片を再暗号化し、許可されたユーザーのみが秘密鍵を使用してデータを取得できるようにします。
データ所有権の追跡
CESSでは、MDRC(Multi-format Data Rights Confirmation)によりデータの所有権を明確化し、それを追跡することができるようになります。MDRCは、データの指紋に相当するものを抽出し、それをブロックチェーン上に記録することで追跡を実現します。これは、データマーケットプレイスにて、本来のデータ作成者にインセンティブを与えるなどのユースケースにつながります。
EVMとWASMの互換性
CESSはEVMやWASMと互換性があり、開発フレームワークのSubstrateにより、チェーンをまたいだエコシステムやアプリケーションでCESSを利用することができるようになります。
CESSトークン
CESSでは、チェーンのネイティブトークンとして$CESSを発行します。
CESSトークンの用途
- オンチェーン取引のガス料金
- 各ノードへのインセンティブ
- ストレージサービスの利用料
- ガバナンスの投票
CESSトークンの配布
$CESSは、100億トークンが発行され、以下の比率により割り当てられます
- 15%:初初期貢献者(6年間のべスティング)
- 55%:マイナー(べスティング、4年ごとの半減期あり)
- 10%:コミュニティ、DAO(DAOによる管理)
- 5%:協力パートナー(DAOによる管理)
- 5%:準備金(DAOによる管理)
- 10%:トークンセール用(1~48ヶ月でべスティング)
CESSトークンを売買できる取引所
2024年1月2日現在、$CESSを売買できる取引所はありません。