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オーダーブックDEXへの流動性供給プロトコル「Elixir(ELX)」の解説

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Elixir(ELX)の概要

Elixir(エリクサー)は、誰でも任意のオーダーブックDEXのマーケットメイカーになれるプロトコルです。

取引所の流動性を確保することは、取引所やプロジェクトにとって大きな負担になっています。最小限の流動性を確保するために、年間数百万ドルのコストを支払う必要があり、それらにアクセスできるのはトレーディング企業のみです。そしてプロジェクトは、流動性のためにトークン供給の2~5%を犠牲にしています。また、マーケットメイクは特定の企業がやることが一般的で、流動性がどのように提供されているかは取引所やユーザーにとってはブラックボックスのままです。加えて、一般ユーザーが分散型取引所 (DEX) に流動性を供給するのは難しく、流動性の増加は限定的です。そのため、より新しいマーケットメイクと流動性提供のアプローチが必要になります。

Elixirは、オーダーブックDEXのマーケットメイクと流動性供給を民主化するために、これらの機能に特化したDPoSのブロックチェーンを構築しました。プロトコルによって集中流動性の自動マーケットメイカー(AMM)のような板のマーケットメイクが行われ、ユーザーはElixirが用意するインターフェイスで様々なオーダーブックDEXに流動性を提供できるようになります。また、取引所はElixirをマーケットメイカーとしてネイティブに統合することができ、流動性の確保がこれまで以上に容易になります。

2024年2月21日現在、既にElixrでは、BluefinやVertex、RabbitXなどに対して流動性提供やマーケットメイクに参加できるようになっています。

Elixirのハイライト

Elixirは、オーダーブックを採用した分散型取引所 (DEX) のための次世代アーキテクチャです。従来のDEXの課題である流動性不足、大きなスリッページ、フロントランニングなどを解決することを目的としています。

DPoSネットワークによる取引の実行と検証

Elixirは独自ブロックチェーンによるDPoSコンセンサスを利用し、Validatorが取引の検証と承認を行います。各取引所からの注文は、Data Aggregatorによって注文提案フレームワークにグループ化され、Validatorに送信されます。また、Validatorに送信された注文提案フレームワークは、Relay Nodeによって集計され、Auditorによって注文提案の正しさが検証されます。検証の結果、注文提案が注文提案の計算結果と一致しない場合、Controllerと紛争解決を行います。

Elixirのアーキテクチャ

Elixirのアーキテクチャ(公式資料を筆者による日本語訳)

オーダーブックDEXとの統合

Elixirは、オーダーブックベースの取引所と簡単に統合でき、ユーザーがワンクリックでオーダーブックに対して流動性を提供し、利回りを獲得することができるようになります。DEXは、ユーザーに対して流動性提供の報酬を支払います。支払いは、取引所の独自トークンに加え、Elixirの長期インセンティブも含まれています。これにより、スプレッドを狭くし、ユーザーの資金効率を向上させます。

Uniswap v2と同等のオーダーブックを実行

Elixirは、Uniswap v2で考案された x*y=k とほぼ同等の、カスタマイズされたオーダーブックを実行します。オーダーブックの実行は、バリデーターのCPUにおける隔離領域上で行われ、将来の値が計算されないようになっています。また、注文はランダムに決定された間隔で取引所に渡されるため、知識のあるマーケットテイカーが取引所でネットワークの注文を操作しようとするのを防ぎます。

Elixirによる流動性の提供

Elixirでは、アプリケーションのページ(2024年2月21日現在テストネット)から流動性提供を行うことができます。流動性提供者は、オーダーブックのリストから資産ペアとDEXの組み合わせを選択します。

Elixirの流動性提供1

流動性提供画面では、これまでのDEXと同様にドル換算で同様の額になるように資産を提供します。

Elixirの流動性提供2

ELXトークン

Elixirは、ネイティブトークンとして$ELXを発行します。

2024年2月21日現在、Elixirのメインネットはローンチされておらず、$ELXはステーキングやガバナンスで利用されることが発表されているものの、その他詳しいことについては公表されていません。

Elixirに関する情報

 

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この記事を書いた人

TOKEN ECONOMISTのDirector。「ブロックチェーンによる少し先の未来を魅せる」をポリシーに、注目しているプロジェクトの紹介やインタビューを行っています。

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