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Titan Network (TNT) の解説 ~リソース提供が簡単な分散型クラウド

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Titan Network (TNT) の概要

Titan Network(タイタンネットワーク)は、ブロックチェーン技術とDePINの概念を用いて世界中のコンピューターの遊休リソースを統合する新しいインセンティブ型ネットワークです。個人が所有するパソコンやスマートフォンなどの未使用の計算能力やストレージ、帯域といったデバイスリソースをネットワークに提供することで、クラウドサービスの需要に応える分散型プラットフォームを構築しています。この仕組みにより、誰でも専用アプリをインストールしてノードとして参加し、自身のデバイスのリソースを提供することで報酬を得ることが可能です。一方で企業や開発者のようなサービス利用者はTitan Networkの提供するAPIやSDKを通じてこの分散型リソースプールにアクセスし、低コストかつ高性能なクラウド基盤として活用できます。

実際に2025年現在、Titan Networkは100カ国以上に広がる数十万台規模のノードによって構成されており、既に21カ国のエンタープライズによって利用されています。その利用者には、TikTok、iQIYI、Volcengine、Baidu、NetEase、Bilibili、Tencentなど、中国を中心とする大手テック企業が含まれています。これらの企業の中では、主要市場においてクラウド配信コストを最大75%削減することに成功した例も報告されています。

Titan Networkの特徴

手軽なノードへの参入が可能

Titan Networkは遊休資産のPCやスマートフォン (Androidのみ) にアプリケーションをインストールして実行するだけで、CPUやGPUなど、マシンの余ったデバイスリソースを提供することができます。

エッジノードのソフトウェアは誰でも簡単に導入して実行できるように作られており、GUIのインストーラで単に指示に従いインストールし、ノードに自分のアカウントを紐づけた後に「Start Earning」のボタンを押すだけで済むようになっています。また、トークンのステーキング要件がないため、リソース提供が他の分散型クラウドと比べても簡単になっています。

エッジノードの画面

遊休リソース活用による低コスト・高効率

Titan Network最大の特徴の一つは、既存の遊休リソースを有効活用することで大幅なコスト削減と効率化を実現している点です。各ノード提供者の未使用アップリンク帯域やストレージ容量、CPU時間といったリソースをコンテンツ配信や計算処理に充てることで、従来は活かされていなかったデバイスを再利用し運用コストを抑制しています。

このようなモデルにより、新たに高価なデータセンター設備を設置する必要がなく、結果としてサービス利用者にとっても従来クラウドより安価なサービス提供が可能になります。

エッジネットワークによる高速で低遅延なサービス

Titan Networkのノードは世界中に点在しており、利用者に地理的に近いノードからコンテンツやサービスを提供できるエッジコンピューティング型のネットワークを形成しています。これにより、コンテンツへのアクセス時の伝送速度や遅延が大幅に改善されます。

また集中管理ポイントが存在しないためトラフィックのボトルネックが発生しにくく、リアルタイム性が要求されるアプリケーションにおいても安定した低遅延サービスが可能となります。このようなグローバル規模のエッジノード配置を実現することで、Titan Networkはどこにいても高速かつ信頼性の高いクラウド機能を提供します。

高い可用性

Titan Networkはブロックチェーン技術を活用して中央管理者不在の自律分散型ネットワークを構築しており、これは高い信頼性と可用性につながっています。

単一のデータセンターやサービスプロバイダーに依存しないため、システム全体として単一障害点が排除できるのはもちろんのこと、多数の独立した参加者によって運営されることから体験越製にも優れます。また、自己修復機能により、一部のノードが故障や離脱をした場合に、他のノードが自動的に不足分を検知して役割を引き継ぐようになっています。

データの完全性とアクセス性を確保

Titan Networkは分散型ストレージモデルを採用しており、各ファイルは複数の断片に分割されて、ネットワーク上のノードに分散保管されます。これにより、一部ノードがダウンしてもデータを他から復元できるようになります。

また、長期的に保管が必要なデータは、データの複製・バックアップのためのコールドストレージとしてFilecoinのスマートコントラクトであるFVM(Filecoin Virtual Machine)と連携します。これにより、Titan Networkはデータの破壊が困難な仕組みを実現します。

エコシステムとユースケース

Titan Networkは、すでに実際のユースケースとエコシステム構築が進んでいます。現在、Titanはエンタープライズグレードの分散型インフラとして商用利用も始まっており、アジアを中心とした21か国以上で実利用が確認されています。

例えば、以下はTitan Networkを利用する代表的な企業です(ソース)。

  • TilTok:ショート動画プラットフォーム
  • iQIYI:動画配信プラットフォーム
  • Volcengine:生成AI
  • Baidu:検索サービス
  • NetEase:オンラインゲームサービス
  • Bilibili:動画配信サービス
  • Tencent:ソーシャルネットワーク

上記は中国の代表的なIT企業ですが、これらの企業は、Titan のピアツーピア型CDN(PCDN)と分散型エッジインフラを活用することで、クラウドと配信のコストを最大75%削減しました。

TNTトークン

Titan Networkでは、ネットワーク内で流通するネイティブトークンとして$TNTが導入されます。2025年5月時点で、$TNTの詳細は発表されていません。

Titan Networkに関する情報

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この記事を書いた人

TOKEN ECONOMISTのDirector。「ブロックチェーンによる少し先の未来を魅せる」をポリシーに、注目しているプロジェクトの紹介やインタビューを行っています。

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