Particle Network (PARTI) の概要
Particle Network(パーティクル・ネットワーク)は、ブロックチェーンの「チェーン抽象化」を実現するためのプロジェクトです。独自のレイヤー1であるParti Chainを軸にし、チェーンの抽象化の複数サービスを展開しています。
これまでのブロックチェーンでは、ユーザーはブロックチェーンの存在を意識せざるを得ず、手数料で使うネイティブトークンの用意や、ブリッジなどを強いられてきました。これは上級者ですら面倒であり、ましてや初心者には受け入れ難い劣悪なユーザー体験をもたらしていました。
Particle Networkでは、ユーザーはブロックチェーンの違いを意識せずにアプリケーションを利用でき、チェーン間のブリッジや複数ウォレットの管理といった煩雑さから解放されます。そのビジョンは「1つのアカウントであらゆるチェーンの資産を統合する」というコンセプトに集約されており、Web2並みにシンプルなユーザー体験をブロックチェーンにもたらすことを目指しています。
Particle Networkは、複数のプロダクトを有しています。
Universal Accounts(ユニバーサルアカウント)は、各ユーザーに対し単一のブロックチェーンアドレスと残高を提供し、全てのチェーンで共通に機能するアカウントを実現します。ユーザーは一つのウォレットで複数チェーン上の資産を統合管理でき、チェーンごとに異なるウォレットやガス代通貨を用意する必要がなくなります。
また、Particle NetworkはUniversalX(ユニバーサルエックス)というチェーン抽象化対応の取引プラットフォームを提供しています。UniversalXはチェーンに依存しないDEXで、ユーザーはあらゆるチェーン上のあらゆるトークンをブリッジ操作なしに直接取引できます。例えば、Ethereum上の$ETHやPolygon上の$USDC、Solana上のSPLトークンなどを単一のインターフェースで売買でき、Buyボタンを押すだけで裏側のクロスチェーン処理が自動で行われます。UniversalXは、2025年7月11日現在で13のEVM互換チェーンとSolanaに対応しており、ユーザーはこれら複数チェーンの資産を統合された残高として扱いながら取引することができます。さらに、任意のトークンでガス代を支払える機能や、高速な取引実行、MEV保護、クレジットカードやApple Payでの法定通貨オンボーディングなど、従来からの中央集権型取引所に匹敵する利便性をオンチェーンで実現しています。
さらに、開発者向けにはUniversal SDK(ユニバーサルSDK)が提供されます。これは自社のアプリケーションに簡単にUniversal Accounts機能を組み込むための開発キットで、自前のアプリにチェーン抽象化を組み込むことができます。開発者はアプリを好みのブロックチェーン上にデプロイしつつ、Particle NetworkのSDKを統合することで他チェーンのユーザーも取り込めるようになります。つまり、特定チェーンへの再デプロイや複雑なマルチチェーン対応を個別に行わずとも、ユーザーと流動性の断絶を解消することができます。
Particle Networkの特徴
Particle Networkはチェーン抽象化を通じて、ユーザー体験と開発者体験の両方を飛躍的に向上できるいくつかの特徴を備えています。
マルチチェーン統合とユニバーサルアカウント
ユニバーサルアカウントによるマルチチェーン統合は、Particle Networkの根幹となる特徴です。ユーザーは一つのアカウント(ウォレット)で複数チェーン上の資産やアプリケーションにシームレスにアクセスできます。通常であれば、あるチェーン上のトークンを別チェーンで利用するにはブリッジ操作や複数ウォレットの切替が必要でした。しかしParticle Networkでは「1つのアドレス・1つの残高」ですべてのチェーンを横断でき、ブリッジやチェーンごとの資産管理が不要になります。
このユニバーサルアカウントは、裏で各対応チェーンにスマートコントラクトアカウントをデプロイし、それらをParticle Chain上で同期・制御することで実現しています。結果として、ユーザーはチェーンの違いを意識せずに任意のブロックチェーン上のアプリを利用できるようになります。これはWeb3におけるユーザーや流動性の断片化の問題を直接的に解決するものです。
現在、Particle Networkは複数のチェーン間でアカウント状態と残高を同期させる高度な仕組みを備えています。それにより、ユニバーサルアカウントを用いるユーザーは、各チェーンに分散して保有するトークンをあたかも単一の残高として使用できます。あるチェーン上でNFTを購入する際に他チェーン上の資産を不足分に充当したり、他チェーン上の友人にトークンを送信するといった操作も、一つのインターフェースで完結します。チェーンの存在を意識せず、アプリや取引そのものに集中できる体験を提供する点が、大きな差別化要因です。
ユニバーサル流動性:シームレスなクロスチェーン取引の実現
Particle Networkのユニバーサル流動性(Universal Liquidity)機能は、ユーザーの資産残高をあらゆるチェーン間で統合的に扱うことでクロスチェーン取引を自動化・最適化する仕組みです。
例えば、ユーザーがPolygon上に1 ETH相当の$POLを持っており、Optimism上で1 ETH が必要な取引を実行しようとする場合、Particle Networkはその署名に基づきPolygonからOptimismへのクロスチェーントランザクションを裏で自動的に実行します。これにより、ユーザーから見れば自分の全資産が一つにまとまっているかのように振る舞い、必要な時に必要なチェーンへ瞬時に資金移動されて取引が成立します。
ユニバーサル流動性は、各チェーンのDEXや流動性プロバイダと連携動作します。また、分散型ハンドラーノードにより、例えば、複数チェーンの$USDTや$USDCをプールして目標チェーンで$ETHを購入するといった一連の流れを1回の署名で完結することができます。また、取引時はアトミック性があるため、結果は成功か失敗のみであり、途中で一部だけ実行されて資産の不整合が生じることがありません。
このようにParticle Networkはブロックチェーン間の流動性を統合し、ユーザーに見かけ上一体化した残高を提供することで、クロスチェーンの煩雑さをユーザーから見えないようにします。
ユニバーサルガス:ガス代支払いの抽象化
ユニバーサルガス(Universal Gas)は、複数チェーン利用時のガス代問題を解決する機能です。
従来は、ユーザーは各チェーン固有のネイティブトークン(例:Ethereumなら$ETH、Polygonなら$POLなど)をあらかじめ用意しておかないと取引手数料を支払えず、これが利用の大きな障壁となっていました。しかし、Particle Networkではどのチェーンで操作する場合でも、任意のトークンで手数料を支払うことが可能です。例えばSolana上のNFTを購入する際にPolygon上の$POLでガス代を支払うことすらでき、ユーザーはガス代用に各チェーンのネイティブトークンを取り揃える必要がなくなります。
このユニバーサルガスを実現する裏側では、Particle Network 独自のペイマスター(Paymaster)コントラクトとユニバーサル流動性の仕組みが動いています。ユーザーが選んだ手数料のトークンはペイマスターにより自動的に$PARTI(後述のネイティブトークン)に変換され、最終的な決済とブロックチェーン手数料の支払いが行われます。
セキュリティ設計とデュアルステーキング
Particle Networkはチェーン抽象化という高機能を提供する一方で、そのセキュリティと分散性にも独自の工夫を凝らしています。
Particle Network独自のデュアルステーキングでは、ネットワークのバリデーターが$PARTIトークンと$BTCの両方をステーキングすることでブロック検証に参加します。Particle NetworkのPoSベースの独自のレイヤー1チェーン(Particle Chain)では、$PARTIを担保とするバリデータセットと、$BTCを担保とするバリデータセットの2種類が存在し、この両者がブロックの妥当性に合意しなければブロック承認がなされない仕組みになっています。これにより、ネットワークの安全性が大幅に強化され、単一のトークンを担保に採用する場合と比べて悪意ある検証者による不正や共謀のリスクを低減します。
$BTCのステーキングは、Babylonプロジェクトとの提携により実現されており、Bitcoinの経済的セキュリティを取り込む先進的な試みです。加えて、Particle Networkはモジュラー設計を採用しており、データ可用性についてもCelestiaやAvail、Nearなど複数のソリューションを組み合わせるAggregated DAという方式で高い可用性とスケーラビリティを追求しています。
これらの高度なセキュリティ設計により、チェーン抽象化という複雑な処理を信頼性と分散性を担保しながら提供できている点も、Particle Networkの優れた特徴です。
開発者エクスペリエンスを高めるUniversal SDK
Particle Networkは開発者にとっても有益なインフラとなるよう設計されています。その中心が先述のUniversal SDKです。アプリケーション開発者はこのSDKを統合するだけで自分たちのアプリにユニバーサルアカウント機能を追加できます。
従来、開発者はユーザー獲得のために自分のアプリを複数のチェーンにデプロイしたり、各チェーンごとの資金フローや橋渡しに対応する必要がありました。しかし、Universal SDKを使えば1つのチェーンでスマートコントラクトを展開するだけで、他チェーンのユーザーもシームレスに受け入れ可能となります。ユーザーはたとえアプリがArbitrum上にあっても、Polygon上の資産で利用開始でき、Optimism上のNFTを受け取ることもできます。開発者側ではチェーン間の差異を意識した特別な実装をする必要がなく、Particle Network側がクロスチェーン処理や流動性ルーティングを担ってくれます。
さらにParticle Networkはウォレット抽象化ソリューションも提供しており、ソーシャルログインによるスマートウォレット作成や、非EVM圏への接続も視野に入れた包括的な開発プラットフォームとなっています。これらは開発者に無償で開放されています。
PARTIトークン
Particle Networkでは、独自のParticle Chainのネイティブトークンとして$PARTIを発行しています。
PARTIトークンのユーティリティ
- ステーキングとガバナンス:PoSによるセキュリテイl、ガバナンスへの参加
- ユニバーサルガストークン:ユニバーサルアカウントにおける決済は、最終的に$PARTIで支払い
- ユニバーサル流動性トークン:Particle Network内の流動性プロバイダーの決済および中間トークンとして
PARTIトークンの配布
$PARTIのTGEは2025年3月25日に行われ、総供給量は10億枚です。$PARTIは以下のルールにもとづいてロック解除されていきます。
割当 | % | ロック解除 |
---|---|---|
チーム&アドバイザー | 12.11% | 12ヶ月のロック後、48ヶ月のリニアロック解除 |
プライベートセール | 24.39% | 6ヶ月のロック後、36ヶ月のリニアロック解除 |
KOLラウンド | 1.50% | TGE時に20%ロック解除後、残り40%を6ヶ月、 さらに残り40%を15ヶ月でロック解除 |
流動性 | 5.00% | TGE時に100%をロック解除 |
コミュニティ成長 | 40.00% | TGE時に22.6%をロック解除後、 コミュティの段階に合わせて5回に分けてロック解除 |
IDO | 5.00% | TGE時に100%をロック解除 |
Binance Wallet エアドロップ | 1.00% | TGE時に100%をロック解除 |
Binance HODLer エアドロップ | 6.00% | TGE時に50%ロック解除後、 残り40%を6ヶ月でロック解除 |
準備金 | 5.00% | TGE時の6ヶ月後に100%をロック解除 |