Layer1プロジェクト解説暗号資産

Injective (INJ) の解説 ~金融特化型 Layer1ブロックチェーン

Layer1
スポンサーリンク

Injectiveの概要

Injective(インジェクティブ)は、金融アプリケーションに特化して設計された Layer1 のブロックチェーンです。従来のブロックチェーンとは異なり、金融アプリケーションの構築に必要な機能を組み込んだプラグ&プレイ型のモジュールを提供することで、開発者が高性能な金融サービスを迅速に構築できる環境を実現しています。

Injectiveの最大の特徴は、金融アプリケーションのための機能を網羅的に展開している点です。オンチェーンの中央指値注文帳(CLOB)では、プロトコルネイティブでオーダーブックを提供することで分散型環境下にもかかわらず、ユーザーに中央集権型の取引所(CEX)のような取引体験を提供することができます。さらに、IBCを含む複数のブリッジやオラクル、RWAトークン化モジュールを標準搭載することによって、Web3の世界にとどまらない現実資産のトークン化を実現しています。加えて、EVMとWASMの両方をサポートするMultiVMアーキテクチャにより、開発者に柔軟性を提供しています。特にWASMでは、Injectiveが提供するネイティブの金融機能を活用しやすくなっています。性能面では、25,000 TPS の取引容量と0.61秒のファイナリティ時間を有し、取引が即時に完了します。

Injectiveは、既に2020年に$INJのTGEを実施しているため、2025年9月時点で全体のうちの98%の$INJが循環供給に加わっています。そのため、今後のトークンの希薄化が少ないことが期待されます。

Injectiveの特徴

MultiVMアーキテクチャによる開発環境の統合

Injectiveでは、仮想マシンのアーキテクチャとしてEVMとWASMを採用しています。これは、単一の仮想マシンのみを採用する多くのブロックチェーンとは対照的です。この仕組みにより、開発者はSolidityとRustの両方の開発言語を選択でき、それぞれの強みを活かしたアプリケーション開発が可能になります。また、2つの仮想マシンにとどまらず、将来的にはSVMにも対応します。

MultiVMにおいて特に注目すべきは MultiVM Token Standard(MTS)の実装です。この機能により、EVM上とWASM上で扱われているトークンが統一された残高として管理されます。これは、マルチ仮想マシン環境下において、チェーン内で断片化やブリッジ、ラップの必要性を排除することにつながります。

オンチェーンの中央指値注文帳

Injectiveには、オンチェーンで中央指値注文帳(CLOB)が搭載されています。これは、DEXで主流となっているAMM(Automated Market Maker)方式と異なり、中央集権取引所と同様の指値注文や成行注文がオンチェーンで実行できるということを意味します。CLOBの対象資産は、現物はもちろんのこと、先物やRWAトークンに対応しています。

また、CLOBではバッチオークション方式が採用されており、各ブロック内の全ての注文を同一の清算価格で約定させることで、フロントランニングやサンドイッチ攻撃に代表されるMEV(Maximal Extractable Value)への耐性を実現しています。また、オーダーブックはアプリケーション間で共有されるため、流動性が統一され、ユーザーは資本効率を最大限に高めた取引を行うことができます。

クロスチェーン相互運用性と流動性統合

Injectiveは、IBC(Inter-Blockchain Communication)により、110以上のCosmos系チェーンと接続しています。また、Ethereumと接続された公式のPeggyブリッジや、Wormhole Connectも提供されており、主要なブロックチェーンへのブリッジが網羅されています。

RWAのトークン化をネイティブサポート

Injectiveは、2024年のアップグレードにより、RWAモジュールとオラクル機能を実装しました。これにより、株式、債券、商品、外国為替などの実世界資産をトークン化し、オンチェーンで取引できる環境が整備されました。

2025年10月現在、Injective上でNVIDIA株式、WTI原油、EUR-FX、国債などがRWAトークン化されています。これらの資産はiAssetsとして呼ばれており、専用のオラクルにより価格フィードが提供されます。

INJトークン

INJトークンの概要

Injectiveでは、ネイティブトークンとして$INJを発行しています。$INJのTGEは2020年10月に行われており、既に時間が経過しているため、合計1億トークンのうち98%が循環供給に加わっています。

$INJは、以下のユーティリティで使用されます。

  • 交換媒体:取引手数料、支払手段として
  • セキュリティ&ステーキング:バリデーターの担保及び委任
  • ガバナンス:ガバナンス提案や決議への投票

INJトークンを扱っている取引所

Injectiveに関する情報

スポンサーリンク
この記事を書いた人

TOKEN ECONOMISTのDirector。「ブロックチェーンによる少し先の未来を魅せる」をポリシーに、注目しているプロジェクトの紹介やインタビューを行っています。

Junya Katoをフォローする
タイトルとURLをコピーしました