Midnightの概要
Midnight(ミッドナイト)は、Cardanoブロックチェーンの開発元であるInput Output Global(IOG)が手掛ける、プライバシー重視型のレイヤー1ブロックチェーンです。Cardanoの堅牢な技術基盤を活用しつつも独立したチェーンとして構築されており、Web3のみならずWeb2領域までを含めた「合理的なプライバシー」の確立を目指しています。
既存のパブリックチェーンは取引履歴の透明性が強みである反面、その「過度な透明性」が企業や個人の参入障壁となっていました。一方でWeb2企業においては、個人情報等のデータを保有・管理すること自体がリスクやコストとなるため、情報のサイロ化や企業間コラボレーションの阻害といったジレンマを抱えています。Midnightは、ゼロ知識証明による暗号学的秘匿化と必要時の選択的開示を組み合わせることで、これらの課題を解決します。規制要件を満たしつつ機密情報を安全に扱えるプラットフォームを提供することで、Web3ではトランザクション秘匿による新サービスを、Web2では情報を外部に公開せずにシステム連携を行うといった、これまでにないユースケースの創出を可能にします。
開発者体験の刷新も大きな特徴です。開発言語には世界的に普及しているTypeScriptをベースとした「Compact」を採用しており、従来のブロックチェーン開発よりも参入障壁を大幅に下げています。さらに、Midnight上のプロジェクトはCardanoのコミュニティファンド「Catalyst」の対象となるため、開発者はMVP作成やPoC(概念実証)のための資金をコミュニティから調達しやすく、技術と資金の両面で恵まれた環境が整っています。
プロジェクト運営はベンチャーキャピタル(VC)に依存しない自己資金で行われており、フェアな立ち位置を維持しています。ネイティブトークンである$NIGHTはCardano上のトークン規格(Cardano Native Asset)として発行されていますが、2026年第2四半期に予定されているMidnightメインネットのローンチ後には、同チェーン上の真のネイティブアセットとして機能するようになります。
Midnightの特徴
Cardano初のパートナーチェーン
Midnightは、Cardanoエコシステム初となる「パートナーチェーン」として構築されています。パートナーチェーンとは、Cardano本体のセキュリティや流動性を活用しながらも、独自のコンセンサス、ガバナンス、トークノミクスを持つ独立したレイヤー1ブロックチェーンのことです。このアーキテクチャは、Polkadotにおける「リレーチェーン」と「パラチェーン」の関係に近く、Midnightはそのパラチェーンに相当する存在として、特定のユースケースに最適化された柔軟な設計を可能にします。
ネットワークの運営には、既存のCardano SPO(ステークプールオペレーター)がバリデーターとして参加できる仕組みを採用しており、Cardanoが誇る高度な分散性と安定性をシームレスに取り込むことができます。このようにMidnightは、用途特化型チェーンとしての独立性と、Cardanoの拡張チェーンとしての堅牢なインフラ基盤を兼ね備えた、ハイブリッドな構造を実現しています。
It’s time for a thread on Partner Chains it seems ?
Cardano’s Partner Chain framework, powered by the Minotaur consensus protocol, is set to revolutionize blockchain interoperability and scalability.
Here’s how ??
1/13 https://t.co/EEYPsOMd3d pic.twitter.com/4UjNlkTYhk
? Romain Pellerin???? (@rom1_pellerin) February 14, 2025
ZK-SNARKによるデータ保護と選択的開示
Midnightの最大の強みは、ゼロ知識証明(特にZK-SNARKs)を用いた高度なプライバシー保護機能にあります。この技術により、機密情報を暗号学的に隠蔽したまま、必要な事実のみを数学的に証明することが可能です。
特筆すべきは、スマートコントラクト単位で「公開するデータ」と「秘匿するデータ」を細かく設定できる点です。この選択的開示の仕組みによって、透明性と秘匿性のバランスを最適化し、ユースケースに応じた柔軟な設計が実現します。例えば、企業は顧客情報を保護したまま規制当局へコンプライアンスを証明でき、個人は資産情報を明かすことなく取引を完結させることができます。結果として、データ漏洩や守秘義務に関するリスクが大幅に軽減され、企業や個人が安心してブロックチェーン技術を活用できる環境が提供されます。
刷新された開発者体験
Midnightでは、Cardanoと比べて開発者体験が大幅に改善されました。
CardanoがDAppエコシステム拡大に苦戦した主因であるHaskell系言語への依存を反省し、MidnightではTypeScriptベースのスマートコントラクト言語「Compact(コンパクト)」を採用しています。世界有数の開発者人口を抱えるTypeScriptを土台にすることで、より多様な開発者の参入が期待されています。
加えて、Midnight上のプロジェクトは、Cardanoのコミュニティファンド「Catalyst(カタリスト)」の対象にもなっています。Catalystは、$ADA保有者の投票により資金プールから助成金を引き出せる仕組みです。Midnightの開発者は、MVPの作成やPOCのための資金をコミュニティ投票で調達することができるため、他のエコシステムと比べても開発資金を獲得しやすくなっています。
マルチチェーン対応と協調的経済モデル
MidnightはCardanoとの連携にとどまらず、複数チェーンを横断する高度な相互運用性を前提に設計されており、その核心には独自の「協調的経済」モデルがあります。
2026年第4四半期にローンチ予定の「ハイブリッドDApps」では、ユーザーは普段利用しているチェーンから離れることなく、Midnightが提供するプライバシー保護機能の恩恵を享受することができます。手数料の決済には元のチェーンのネイティブトークンが使用されるため、ユーザーは裏側でMidnightが稼働していることを意識する必要すらありません。
一方でバリデーターは、接続されたあらゆるチェーン由来のトランザクションから報酬を得られるため、持続的な収益機会が確保されます。このように、開発者やユーザーはチェーンの壁を越えてリソースを自由に組み合わせることができ、例えば「資産管理はEthereum、機密処理はMidnight」といった使い分けが可能です。この柔軟な設計により、Midnightは実質的に他のレイヤー1に対する「プライバシー特化型レイヤー2」としても機能し、ブロックチェーン全体の利便性と機能を底上げします。
Midnightのトークン $NIGHT
MidnightにはVCが入っておらず、エアドロップやエコシステム貢献者のためのインセンティブとして配られた$NIGHTトークンが流通することになります。
デュアルトークンモデル
Midnightでは、$NIGHTと$DUSTという2種類のネイティブトークンが導入されます。
- $NIGHT:ガバナンストークンであり、ネットワークのガバナンスやコンセンサス参加、ステーキング報酬の受け取り取りに使われます。このトークンは、初期段階ではCardano Native Assets形式(EtereumのERC20に相当)で発行されます。
- $DUST:取引用のユーティリティトークンで、Midnight上での取引手数料支払いやスマートコントラクト実行時のガスとして使われます。$DUSTは$NIGHTから生成され、譲渡不可になっています。つまり、ユーザーはガバナンストークンである$NIGHTを手放すことなく、Midnightのチェーンを利用することができます。
トークン配布
Midnightのネイティブトークン「$NIGHT」は、「Glacier Drop」および「Skyvenger Mine」と呼ばれるキャンペーンを通じてコミュニティへ配布されており、そのプロセスはローンチから約1年をかけて段階的に進行します。
供給構造に目を向けると、総供給量240億枚のうち、2025年12月時点で既に約69%にあたる166億枚が市場に流通(循環供給)しています。多くのプロジェクトが初期流通量を低く抑える傾向にある中で、Midnightは既に過半数が市場に出回っている状態です。そのため、将来的なトークンの希薄化(インフレ)ペースは他のレイヤー1チェーンと比較して緩やかであり、中長期的に安定した需給バランスが期待できる設計となっています。



