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米ドルと連動型ステーブルコイン、それぞれの違いとは?

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皆さんはステーブルコインと言う言葉を聞いたことがあるでしょうか。

ステーブルコインは、英語で”Stable Coin”と書きます。その名の通り、価格が安定している仮想通貨を指します。例えば、コインの価値の担保に金(ゴールド)を使っていたり、米ドルを使っていたりするものがあります。

ステーブルコインそのものは、価格が安定している為、値上がり期待で儲けるという用途には向きません。しかしながら、Binanceのような米ドルや日本円で売買できない取引所の場合、価格変動が少ないステーブルコインに資金をシフトすることで、急落時に損切りするといったことができるようになります。

今回は、最近ホットな米ドルに連動しているステーブルコインについて比較を行ってみました。

実は米ドルに連動するという点では同じなのですが、それぞれに大きな違いがあるのです。

米ドル連動型ステーブルコインに求められる条件

[the_ad id=”7860″]米ドル連動型ステーブルコインの価値を担保するものは「米ドル」になります。米ドルに価値が連動するため、1コイン=1ドルという価値を保つ必要が出てきます。

この価値を保つためにやることが、以下になります。

  • 発行されたコイン数と、担保となった米ドル額を同じにする。
  • 担保として保管されている米ドルは、発行元の人間に勝手に使われないようにする。

上記を第三者が監査し、情報が公表通りであることを証明するのです。重要なのは、透明性が確保されているかということになります。

米ドル連動型ステーブルコインの代表格を比較

今回は米ドル連動型ステーブルコインの代表格として、以下の3つを比較します。

  • Tether (USDT)
  • TrueUSD (TUSD)
  • MakerDAO (DAI)

Tether (USDT)

Tether(USDT)は、Tether(テザー)社が発行する中央集権型の米ドル連動型ステーブルコインになります。

米ドル連動型ステーブルコインとしては、USDTが世間で最も普及しており、海外の大手取引所ではUSDTを基軸通貨として採用しているところがあります。

Tether社に米ドルを預けると、預けた額に応じてUSDTが発行されます。

本来、中央集権型の米ドル連動型ステーブルコインは、中央の管理者が不正をしていないことを第三者によって監査をする必要があります。

しかし、2018年1月に監査している監査法人が撤退し、6月現在は監査されない状態が続いています。また、USDT発行の仕組み上、利用者の資金が信託口座にエスクローされるわけではないため、担保となる価値分の米ドルが存在しているかは誰にもわかりません。

さらに、USDTは尋常じゃない程の量が一気に発行される傾向にあるため、実は発行済みのUSDTと同量の米ドルを保有していないのではという疑惑が出ています。

ちなみに、まだ大体的には扱われていませんが、Tether社はユーロ連動型のEURTも発行しています。EURTは、今のところERC20トークンのみになります。

USDTの詳細は、当サイトの過去記事「海外取引所で目にする仮想通貨USDTとは」をご覧ください。

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TrueUSD (TUSD)

TrueUSD(TUSD)は、TrustTokenが発行する中央集権型の米ドル連動型ステーブルコインになります。

前述のUSDTと比べると後手に回っている分、シェアは劣ります。しかし、その考え方はUSDTより優れたものとなっています。

TUSDを発行する場合、利用者は信託会社(信託銀行含む)のエスクロー口座に米ドルを送金します。信託会社に米ドルが着金すると、信託会社はTrustTokenのスマートコントラクトに発行のためのシグナルを送り、スマートコントラクト側でTUSDが発行され、利用者のウォレットに着金します。

ここで注目すべきは、利用者の米ドルは信託会社のエスクロー口座に置いたままになっているということです。米ドルは信託されて保管されているため、TrustTokenが勝手に口座の米ドルを引き出すことはできません。

仕組み上価値が担保されるのが確実になることに加え、さらにエスクロー口座には定期的な監査が入ります。USDTと比べ、TUSDでは顧客の資産が完全に保有されるのです。

TUSDの詳細は、当サイトの過去記事「ドルペッグ仮想通貨の第3勢力、TUSDとは」をご覧ください。

MakerDAO (DAI)

MakerDAO(DAI)は、Ethereumのスマートコントラクトを用いた非中央集権型の米ドル連動型のステーブルコインになります。前述のUSDTやTUSDと比べると、DAIは非中央集権型になります。

DAIでは、担保にする通貨はEthereum(ETH)になります。

DAIを発行する際、CDPスマートコントラクトにETHをデポジットすることで、DAIが発行されます。発行されるDAIの数量は、ETHの米ドル価格とイコールにはなりません。もしイコールにすると、ETHの価格が少しでも下がると、担保割れとなってしまうからです。

仮にETHの価格急落により、DAIの担保維持ができなくなった場合、MakerDAOのシステムにおいて、CDPが清算されるようになっています。これはトレードにおける損切りに似た仕組みになります。

また、担保としてデポジットされたETHを取り戻したい場合は、MKRトークンを手数料として払い、DAIを返済することにより、ETHを入手することができます。

DAIは、米ドル連動を分散されたトラストレスな環境でやろうという構造上、大変複雑な仕組みになっています。詳しくは「」さまのMakerDAOとStablecoinのシリーズに書かれていますので、技術理解に自信がある方は是非読んでみると良いでしょう。

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USDTとTSUDとDAIの比較

米ドルと連動型ステーブルコインの比較は以下の通りです。米ドルに連動する言ってもそれぞれが異なる特徴を持つことが判るかと思います。

正式名 Tether TrueUSD MakerDAO
シンボル USDT TUSD DAI
形態 中央集権型 中央集権型 非中央集権型
米ドル連動
担保資産 USD USD ETH
担保資産の法的保護 ×
担保資産の信託管理 ×
透明性 ×
上場している主な取引所 Binance
Huobi
OKEx
Binance
CoinTiger
Bittrex
OasisDEX
Radar Relay
Bibox

USDTとUSDTは、上場している取引所の傾向が似ています。もし、両方を売買できる取引所であれば、担保資産が法的に保護され、きちんと監査されているTUSDを使う方が良いでしょう。

DAIは、主に分散型取引所で上場しており、基本的にUSDTやTUSDTの利用する場とは競合しません。

その他の米ドル連動型ステーブルコイン

その他、あまり使われていないものや、今後発行予定のものを簡単にご紹介します。

  • NuBits (NBT):Peersharesの開発者であるJordan Leeにより開発された米ドル連動型ステーブルコイン。
  • USD Coin (USDC):ゴールドマンサックス系のスタートアップ企業Circleの米ドル連動型ステーブルコイン。 ※2018年6月7日時点、発行予定
  • Alchemint (SDT):非中央集権型のNEOベースの米ドル連動型ステーブルコイン。 ※2018年6月7日時点、発行予定

各米ドル連動型ステーブルコインのサイト情報

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この記事を書いた人

TOKEN ECONOMISTのDirector。「ブロックチェーンによる少し先の未来を魅せる」をポリシーに、注目しているプロジェクトの紹介やインタビューを行っています。

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