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ブロックチェーン・ナイト#005:ブロックチェーン社会実装事例紹介とその課題 イベントレポート(前編)

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2019年6月6日に、EverSystem主催、IOST共催のブロックチェーンイベント「ブロックチェーン・ナイト#005:ブロックチェーン社会実装事例紹介とその課題」が開催されました。

イベントページ:ブロックチェーン・ナイト#005: ブロックチェーン社会実装事例紹介とその課題

今回はブロックチェーンの社会実装がテーマです。各社がブロックチェーン利用を模索する中、どのような内容が取り上げられているか取材してきました。

イベント内容が盛りだくさんだったので、今回は前半部をお伝えします。

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ブロックチェーン技術実装化の現状

最初は、主催のEverSsytem代表 石田氏からです。石田氏は、2013年にビットコインのCtoCマーケットプレイスをマレーシアの会社と取組み、今に至ります。

EverSsytemの最近の活動

EverSystemの最近の活動は、ブロックチェーンが中心になっています。CEDEC2018のゲーム開発者の大会ではブロックチェーンゲームについて講演を行い、韓国のDECONOMYに出展するなど、ゲーム業界やブロックチェーン業界においてその存在感を高めつつあります。

また、4月18日にはIOSTでブロックチェーンゲームのCryptoNinjaをローンチしたり、FLETAのアドバイザーを務めたりと、新たなブロックチェーンプラットフォームにも積極的に関わっています。

EverSystemのプラットフォーム企業とのパートナーシップ

ブロックチェーンでできること

石田氏は、ブロックチェーンでできることについて、まずそのメリットを述べました。ブロックチェーンでは、データが分散するので障害耐性が高いことがメリットだとし、取引履歴が改ざんされないので資産を扱えるようになりました。

ブロックチェーンで扱える資産は、代替可能なもの(お金やコモディティ)の他に代替不可能なもの(絵画などの美術品)が含まれています。また、代替不可能なものとして、”勇者の剣”のような完全デジタルなゲーム内アセットも含まれています。

ただし、ブロックチェーンは非中央集権的な仕組みなので管理者はいません。それによるデメリットも存在します。それが、究極の自己責任の世界になってしまうことだといいます。

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ブロックチェーンの課題

ブロックチェーンにはまだまだ課題が多く、石田氏は大きく4つをあげました。その4つが、1.取引スピードの遅さ、2.動いている最中のシステムをアップデートすることの難しさ、3.全部が自己責任、4.記録に紐付いたモノの証明になります。

2については、石田氏はITコンサル企業のガートナーの調査による企業用ブロックチェーンの90%は今後置き換えが必要になることをあげ、数年後にその問題が顕在化するであろうとしました。また石田氏は、4についてIoTなどの他の技術要素と組み合わせることで証明する仕組みが必要になるだろうと語りました。

ブロックチェーンは究極の自己責任

ブロックチェーンは究極の自己責任

ブロックチェーンに今取り組むメリット

課題も多いブロックチェーンですが、石田氏は今年から来年がターニングポイントになるだろうといいます。それを裏付けるかのように、矢野経済研究所のレポートでは日本国内において毎年100%の市場成長が見込まれています。

石田氏はそれを踏まえて、ブロックチェーンに今取り組むメリットを強調しました。特に、新技術を取り入れたというニュースは、ニュース価値が高く即効性があるといいます。また、近未来の技術は早くフルコミットした人にしか成功を手にできないとし、今取り組むことの重要性を強調しました。

ブロックチェーンに今取り組むメリット

ブロックチェーンに今取り組むメリット

ブロックチェーンビジネスの注意点

可能性が大きいブロックチェーンビジネスですが、注意点も多くあります。

ブロックチェーンで記録できるものはあくまでも取引履歴であり、データそのものの複製を防止するということではないのに注意が必要な点や、法律に十分に注意する必要がある点などが紹介されました。

ブロックチェーンビジネスの注意点

ブロックチェーンビジネスの注意点

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エンタープライズブロックチェーンの実用化

続いては、エンタープライズ分野のブロックチェーンの実用化について、セウェカリ・シタル氏からNTTデータの取り組みが紹介されました。

エンタープライズ分野におけるブロックチェーンの現状

ブロックチェーン活用分野として、金融では、ペイメントや貿易金融、保険やサプライチェーン、ヘルスケアや不動産などが向いているとされています。また、金融以外では身分証明や病院などになります。

金融以外のブロックチェーンの活用分野

金融以外のブロックチェーンの活用分野

特に病院分野では、違う病院や薬局に行くと毎回同じ内容を書かされるので、ブロックチェーンではこのような非効率性が解消できるだろうと見込まれています。NTTデータでは、病院分野における取り組みとして、がんのAIによる診断をするために患者の情報をセキュアにのせることができるかを、Hyperledger FabricとIPFSを使い、PoCを行っています。

現在エンタープライズによるブロックチェーンは、プライベートブロックチェーンが9割、パブリックブロックチェーンが1割の割合で使われています。特に、プライベートブロックチェーンではHyperledger が大きなシェアを占めています。ただし、プライベートブロックチェーンには運用の問題があります。誰がノードを運営して、その費用はどこから持ってくるか、ノードのインセンティブは何なのかという点です。

エンタープライズ分野で利用されるブロックチェーンプラットフォーム

エンタープライズ分野で利用されるブロックチェーンプラットフォーム

また、最近ではBlockchain as a Service(BaaS)が登場しています。ブロックチェーンAPIを通したミドルウェアを使い、ブロックチェーン利用までに至る開発のプロセスを簡単にし、作られたサービスのホスティングをAWSやAzureなどのクラウドサービスプロバイダーが担うようになってきています。

ブロックチェーン採用規模の地域別では、国単体としては米国が最も多く、エリアで見ると、ヨーロッパやアジアが同程度の規模となっています。また、産業別では金融が最も多く、ついで政府、物流と続きます。

ブロックチェーン採用規模 地域別

ブロックチェーン採用規模 地域別

ブロックチェーン採用規模 分野別

ブロックチェーン採用規模 分野別

NTTデータの取り組み

NTTデータでは、世界各国でブロックチェーンに関する取り組みを行っています。

イギリスでは、リップルのxCurrentソリューションを用い、クロスポーダーペイメントの取り組みを行い、既に稼働段階に入っています。スペインでは、国際物流におけるコンテナのトレーサビリティにブロックチェーンが用いられています。また、イタリアでは、地銀の連合がCordaを使い、バックエンドの処理をブロックチェーンに置き換える取り組みをしています。

もちろん、日本でもブロックチェーンの取り組みが行われており、大手金融機関が集まり貿易のプラットフォームを作っています。こちらは、もう少しで商用化見込みになっています。

NTTデータのブロックチェーンの取り組み

NTTデータのブロックチェーンの取り組み

ブロックチェーンを導入するための注意点

セウェカリ氏からも、ブロックチェーンを導入するための注意点が述べられました。

ブロックチェーンは一般的にコストが下がるといわれていますが、コスト面では必ずしもコストが安くなるとは限りません。重要なのは、自社のビジネスモデルに当てはまるか、必要性があるのかということになります。

また、ブロックチェーンにおけるガナバンスを誰がどうやるかという検討が必要になります。

そして、完成度です。今やっているプロジェクトが最終的に廃止となる可能性もあるので、先のことを考えながら取り組まなければいけないといいます。

最後に、レギュレーションになります。政府はコントロールを手放したくはないため、法律を確認しながらうまく取り組んでいく必要があります。

ブロックチェーン導入の注意点

ブロックチェーン導入の注意点

後編:ブロックチェーン社会実装事例紹介とその課題 イベントレポート(後編)

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この記事を書いた人

TOKEN ECONOMISTのDirector。「ブロックチェーンによる少し先の未来を魅せる」をポリシーに、注目しているプロジェクトの紹介やインタビューを行っています。

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