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Sei (SEI) の解説 ~資産取引特化の高速EVMチェーン

Layer1
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数多くのレイヤー1ブロックチェーンが登場しつつ、最近は特定の用途に特化したチェーンが増加傾向にあります。その中でも、SeiはDEXアプリケーションに特化しているチェーンでありながらも、より柔軟な取引環境を実現することが可能になっています。

Seiの概要

Sei(セイ)は、分散型取引所(以下、DEX)をはじめとする資産取引に特化したレイヤー1のパブリックブロックチェーンです。世界初の並列化EVMを実装し、400ミリ秒の高速なファイナリティと20万TPS以上の処理能力を兼ね合わせています。

Seiは技術開発力に定評があることでも知られています。資産取引に特化するために開発されていたSeiは、2023年8月にメインネットをローンチしました。当初は、Wasmのみに対応していたものの、バージョンアップと共にEVM特化チェーンになり、その後は他のプロジェクトが未踏であった並列化EVMを達成しました。また、独自のコンセンサスアルゴリズムのTwin Turbo Consensusや並列実行エンジンを備え、高速化が困難なEVMを実装したチェーンにおいて優位的な立ち位置を保っています。

また、Seiエコシステムな成長はオンチェーンにも明確に現れており、2025年9月時点で日々のトランザクション数が200万程度を維持しています。また、TVLが右肩上がりで推移しています。

SeiのTVL

SeiのTVL (2025年9月時点)

 

Seiの特徴

Twin Turbo Consensus

Seiの高速性能の基盤となるのが、独自開発のTwin Turbo Consensus(ツインターボコンセンサス)です。これは従来のTendermintを大幅に改良したもので、「楽観的ブロック処理」と「インテリジェントブロック伝播」という2つの最適化が施されています。
楽観的ブロック処理では、バリデータがブロック提案を受信した瞬間からトランザクションの実行を開始します。インデリジェントブロック伝播では、各バリデータが既存のトランザクション情報を活用して即座にブロックを再構築できるようにします。通信遅延を減らし、処理速度を大幅に向上させます。
これにより、ブロック時間を従来の6秒から400ミリ秒へと大幅な時間短縮を実現しています。

並列実行エンジン

Seiの並列実行エンジンは、競合しないトランザクションを複数のCPUコアで同時実行します。依存関係分析により各トランザクションの読み書きセットを予測し、重複しないものは並列ワーカープールで処理、競合するものは順次再実行するというアプローチを取っています。
この技術により、単純な送金処理では15,000 TPS 以上に向上し、複雑なスマートコントラクトでも1,500 TPS 以上の処理容量を実現しています。競合が急増した場合は自動的に順次実行にフォールバックし、安全性を保証した上で再び並列処理に復帰する機能も備えています。

SeiDB

SeiDBは、Seiブロックチェーンの高速・効率的なストレージレイヤーで、ステート管理を並列処理に最適化しています。従来の一元的なデータ管理を改め、アクティブステートと履歴データを分離しています。これにより、状態アクセスやコミットが高速化され、TPSが2倍に向上しています。さらに、ステートサイズを60%削減し、履歴データの増加率も約90%抑制しています。このような最適化は、ノードの同期や運用コストも大幅に削減することにもつながっています。

アクティブステートと履歴データを分離したSeiDB(引用:Sei DB Deep Dive

SEIトークン

Seiでは、ネイティブトークンとして$SEIを発行しています。

SEIトークンの用途

$SEIは以下の用途で使用します。

  • ネットワーク手数料
  • ステーキング(委任、バリデーターの運用)
  • ガバナンス
  • ネイティブ担保(Sei上のDAppsの資産や流動性として)
  • 手数料マーケット(バリデーターへのチップ追加によるトランザクションの優先権)
  • 取引手数料(Sei上に構築された取引所における手数料)

SEIトークンの配布

$SEIは総供給量が100億トークンと、供給上限が固定されています。以下の割合に応じて、$SEIが配布されていきます。

  • 48%:エコシステム準備金
  • 20%:チーム
  • 20%:プライベートセールの投資家
  • 9%:Sei財団
  • 3%:ローンチプール

Seiでは、$SEIのインフレはなく、ステーキング報酬はエコシステム準備金から排出されていきます。また、同じくエコシステム準備金から、Seiのコントリビューターやビルダー、ネットワーク参加者に助成金やインセンティブを通じて配布されます。

$SEIのトークノミクスの詳しくは、Sei Japanのブログ「将来を見据えたSEIのトークノミクス」より確認することができます。

SEIトークンが売買できる取引所

Seiに関する情報

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この記事を書いた人

TOKEN ECONOMISTのDirector。「ブロックチェーンによる少し先の未来を魅せる」をポリシーに、注目しているプロジェクトの紹介やインタビューを行っています。

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