Doppler Financeの概要
Doppler Finance は、XRP Ledger(XRPL)上でネイティブの利回りを得ることができるXRPL初の CeDeFi / DeFi プロジェクトです。
これまで$XRP保有者は、価格上昇以外に$XRPから利息を得る現実的な手段がほとんどありませんでした。XRPLにはイーサリアムのようなスマートコントラクトやPoSによるステーキング機能が備わっておらず、取引所やレンディング企業といった中央集権型サービスを利用するしか選択肢がなかったためです。
Doppler Finance は、この課題を解決するためにCeF の利便性とXRPLネイティブ機能を組み合わせたCeDeFiモデルを採用し、オンチェーンで$XRPを保有したまま利回りを獲得できる仕組みを提供します。2024年2月に実施された初回の預入募集では20万XRPの枠が1分足らずで完売し、続く100 万XRP の追加募集も15 分で埋まりました。2025年7月15日時点におけるTVLは 4000万ドルに達しており、XRPコミュニティから大きな支持を集めています。

Doppler FinanceのTVL推移(DeFiLlamaより、2025年7月15日時点)
2025年7月15日時点、Doppler Financeでは、今後はXRPL上のステーブルコインRipple USD ($RLUSD) の預入、リキッドステーキング、XRPL公式のEVMサイドチェーンXRPL EVM(解説記事)にも対応し、CeDeFiとDeFiサービス両方の拡大を行っていく予定です。
Doppler Financeの特徴
透明性を担保する CeDeFi モデル
過去に破綻した Celsius や Voyager に代表される CeFi プラットフォームでは、資産運用の実態がブラックボックス化し、過剰なリスクや不正が明るみに出た後にユーザー資産が凍結される事例が相次ぎました。Doppler Finance はこうした反省を踏まえ、中央管理と分散型管理を両立させる CeDeFi モデルで運用を行っています。
ユーザーが預けた$XRPはまずXRPL上の専用アドレスに保管され、その後Fireblocksや Ceffu(Binance グループのカストディ部門)といった信頼性の高いカストディアンへ移管されて運用に充てられます。このプロセス全体はオンチェーンで追跡可能な Proof-of-Reserve(準備金証明)によって監査できるようになっており、Doppler Financeはカストディウォレットのアドレスと残高を随時公開しています。利用者は7日間の待機期間を経ればいつでも資金を引き出せるため、中央集権型サービスにありがちな「預けたら最後、実態が見えない」という構造的リスクを大きく低減しています。
プロによる戦略でXRP利回りを創出
Doppler Finance が生み出す利回りの源泉は、主にオフチェーン市場でのマーケットニュートラル戦略です。預入された$XRPはカストディ上でプールされ、契約トレーダーが複数の取引所間の裁定取引やヘッジ付きポジションを組むことで$XRP建ての残高を増やします。たとえば、価格差のある取引所間で同時に買いと売りを行う伝統的なアービトラージや、現物ロングとデリバティブショートを組み合わせて変動リスクを抑えつつファンディングレートを獲得する手法が代表例です。
さらに、大規模運用を安全に実施するためのインフラとしてCeffuの「MirrorX」を導入し、カストディに預けた資産をそのままBinanceなどの取引所流動性へブリッジしています。これにより、資産をカストディに預けたまま深いオーダーブックへアクセスでき、カウンターパーティリスクを最小化したままスケールの大きいトレードを実行できます。こうした運用体制により、Doppler Finance は年率3~5%前後(APR 換算)の安定的な利回りを提示しています。
ステーブルコインによる利回りサービス
XRPLでは、既にステーブルコインのRipple USD ($RLUSD)が発行されています。$RLUSDから利回りを得るためには、今までであれば$RLUSDを外部のチェーンにブリッジする必要があり手間が生じていました。
Doppler Financeでは、$RLUSDをXPRLネイティブで得られる利回りサービスを提供します。これにより、トークンの価格変動を気にすることなく、安定した利回りを得られるようになります。
XRPLサイドチェーンでの流動性ステーキングとレンディング
Doppler Finance はXRPLの枠を超え、サイドチェーン上でのDeFiサービスにも力を入れています。特に注目されるのが、XRPLのEVMサイドチェーンであるXRPL EVM との連携です。同ネットワークは$XRPをネイティブトークンとして使い、EVM互換のアプリケーションを実現するチェーンで、Doppler Finance はここでリキッドステーキングサービスを提供します。ユーザーは XRPL EVM 上で$XRPをステーキングすると、その証票となる LST(リキッドステーキングトークン)を受け取り、報酬を得ながらLSTを活用して他の DeFi プロトコルに参加できるようになります。つまり、XRPLに本来備わっていないステーキング機能をサイドチェーンで補完し、$XRPに新たな収益機会をもたらすことができます。
Doppler Pointsによるユーザーインセンティブ
コミュニティ形成と利用促進を目的に、Doppler Finance は独自のポイントプログラム「Doppler Points」を実装しています。主にXRPL上での預入に付与される Doppler Points(DP)が存在し、シンプルな内部ポイントとして機能しています。1ドル相当の資産を1時間預けるごとに 0.01 ポイントが貯まる設計で、預入額と期間に応じてリワードが増える仕組みです。
初期ラウンドでは倍率ブーストも用意され、例えば2025年4月の第4回預入フェーズでは 1,000万XRPまでポイントが2倍でした。同年7月15日時点で1.5倍ブーストのキャンペーンが開催中です。将来的にはトークン配布や追加報酬へ転換される可能性が示唆されており、エコシステム拡大のインセンティブとして機能しています。
Doppler Financeに対応したウォレット
Doppler Finance では、XRPL上にある資産を操作する必要があるので、馴染みのあるEVMウォレットではなく、XRPL対応ウォレットが必要になります。対応ウォレットは以下の通りです。
ウォレット | モバイル | ブラウザ 拡張機能 |
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iOS | Android | ||
Xaman | ◯ | ◯ | |
Bifrost Wallet | ◯ | ◯ | |
Grin Wallet | ◯ | ◯ | |
CROSSMARK | ◯ |