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日本最大級のブロックチェーン専用コワーキングスペース「BINARYSTAR」 オープニングセレモニー レポート

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東京銀座の一等地に日本最大級のブロックチェーン専用コワーキングスペース「BINARYSTAR」がオープンし、2019年2月1日にオープニングセレモニーが開かれました。なお、同日にプレス向け発表会も行われています。

詳細な当日の模様をお伝えします。

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代表挨拶

BINARYSTAR代表の池上雄飛氏は、若干23歳です。ブロックチェーンとの関わりはLitecoinから入り、時価総額トップ10の暗号通貨のプロジェクトマネジメントを経験しました。

池上氏は、自身が感じていたブロックチェーン業界の問題点として、ブロックチェーンプラットフォームは外のプロジェクトから見ると何をしているか分かりづらいといいます。例えるならば、メーカーから直接買うしかない状態になっており、適切なものを買うことができる状況にする必要があると考えています。

BINARYSTAR代表の池上氏

BINARYSTAR代表の池上氏

そのためには、多くの人間が集まる場所が必要になり、BINARYSTARがそのような役を担うといいます。BINARYSTARでは、単に一般企業にブロックチェーン企業を紹介するだけでなく、フルサポートをしていきます。

BINARYSTARではすべてのブロックチェーンプロトコルをオープンにしていき、プロトコルを活用するためのすべてのコンサルティングを行い、ブロックチェーンを社会実装していくと意気込みを語りました。

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ブロックチェーン技術が社会に与える衝撃

代表挨拶に続き、赤羽雄二氏が「ブロックチェーン技術が社会に与える衝撃」というテーマで講演しました。

赤羽氏はマッキンゼーを経験し、数々の企業の経営を見てきた経験が豊富な人物です。著書には「ゼロ秒思考」「アクション リーディング」などがあります。

赤羽氏は企業の経営改革が急務で、いま日本企業の競争力が落ちてきた、もしかしたらブロックチェーンや暗号通貨が日本企業を救うカギになるかもしれないと語りました。特に、ブロックチェーンビジネスを活用できるかで、勝者と敗者がはっきりと分かれるとし、これは30-50年に一度のチャンスだといいます。

そのため、日本でブロックチェーンを最速で導入できるようにするのがBINARYSTARの役割になります。

海外企業は既にブロックチェーン活用に力を入れはじめていますが、赤羽氏は特に中国のAlibabaに注目しているといいます。Alibabaはブロックチェーンに関する特許件数が世界第2位にのぼります。

ブロックチェーンの特許ランキング

ブロックチェーンの特許ランキング

赤羽氏は、これから1-2年が最後のチャンスで、ここで勝者が決まると見ています。GAFAがビジネスを独占しているように、ブロックチェーンを本格的に活用しはじめた企業がすべてを押さえてしまうと、危機感を露わにしました。

特に、日本企業はリスクを避ける傾向がありますが、ブロックチェーンがまだ安定していないからといって避けていると、先行してトライアンドエラーを繰り返してノウハウを溜めている企業と決定的な差がついてしまうといいます。

日本企業の意思決定方法だと間に合わないため、リーンスタートアップでやっていくしかないと考えているそうです。

この1-2年が最後のチャンス

この1-2年が最後のチャンス

赤羽氏は、2021年にはブロックチェーンを活用した企業が市場を押さえると思われるため動くなら今しかないといいます。

最後に赤羽氏よりBINARYSTARの概要が説明されました。内容についてはプレス向け発表会と被るため、そちらをご覧ください。

今動くしかない

今動くしかない

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規制のサンドボックスを用いた開拓手法

続いて、弁護士の井垣孝之氏が「規制のサンドボックスを用いた開拓手法」で講演しました。

サンドボックス制度を活用することで、既存の規制の適用を受けることなく、新しい技術等の実証を行うことができる環境を整えることができます。国からお墨付きをもらい、現行法の縛りを受けずに実証実験を行うことにより、最終的に規制改革につなげることを目的としています。

制度を利用するには、規制のサンドボックスを国に申請し、主務大臣を通じて革新的事業活動評価委員会に認定される必要があります。もし、主務大臣から認定にノーを出されれば、内閣総理大臣がイエスといえば、認定されるという強い決定が下ることもあります。

規制のサンドボックスの認定フロー

規制のサンドボックスの認定フロー

規制のサンドボックスに認定される実証の対象は限定されておらず、実施主体も国内外関係ありません。これは、海外の新しい技術を日本に呼び込むという意図でそのようになっているといいます。

過去に認定されたものは、パナソニックのPLC(電線をデータ通信に使う方式)やCryptoGarageによるアトミックスワップ(ブロックチェーンを用いた分散型の交換技術)があります。

ブロックチェーンは、スマートコントラクトを使った価値の自動化ができ、人手を使わなくて済み、オペレーションコストを削減することができます。また、システム自体がインセンティブを生み出す仕組みであり、不特定多数に対する信用コストが不要になります。

そのような特性から、井垣氏は、今まで付き合ってこなかった不特定多数をシステムに組み込むとブロックチェーンの真価を発揮するのではないかと語ります。

そのため、ブロックチェーンの実装には今までの常識から飛躍した発想が必要で、企業においてはまずは上司が障壁になるだろうとしています。

最後に、井垣氏はお気軽にご相談くださいと話し、講演が締めくくられました。

ブロックチェーン実装には飛躍した発想が必要

ブロックチェーン実装には飛躍した発想が必要

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ブロックチェーン技術の可能性と課題

最後は「ブロックチェーン技術の可能性と課題」について、クーガー株式会社の石井敦氏の講演となります。

石井氏は、AIの研究を行っているほか、日本最大のブロックチェーンコミュニティ「Blockchain EXE」の代表でもあります。

石井氏は、ブロックチェーンは物理法則に似ているといいます。物理法則は、起きたことを戻すことができないため、それにより世の中の信頼関係が成り立っているといいます。

ブロックチェーンの特徴は「透明性」「公明性」「トレーサビリティ」になります。これらはデータが公開されているから実現しているもので、対象データが個人情報や機密情報だと、公開されるリスクが大きくなってしまうといいます。

そのために、ブロックチェーン内部にデータを記録する「オン・チェーン」、ブロックチェーン外部にデータを記録する「オフ・チェーン」という、記録方式が存在しています。石井氏は、ブロックチェーンの企業用途はオフチェーンの方が現実的であるだろうとしています。

オンチェーン

オンチェーン

オフチェーン

オフチェーン

また、ブロックチェーンは万能ではなく、向き不向きがあります。スピードよりもデータの信頼性・公明性が重視されるものが向いており、リアルタイム性が高いものや更新頻度が多いものが向いていないといいます。

ブロックチェーンが向いているもの・向いていないもの

ブロックチェーンが向いているもの・向いていないもの

石井氏は、ブロックチェーンを使った例として、本人認証システムをあげました。

今まではユーザがそれぞれのサービスやシステムで本人認証をしていました。これがブロックチェーン上にIDを記録して、ブロックチェーンの情報を使って本人認証することにより、IDが一本化でき本人認証がシームレスになるといいます。しかし、これにはまだ課題もあります。

ブロックチェーンによる本人認証の概念

ブロックチェーンによる本人認証の概念

石井氏は、ブロックチェーンを使った本人認証が実用レベルになると、真のシェアリングエコノミーが実現するだろうとしています。

また、これからAI活用やIoTが進んで行く上において、データを保証するためにブロックチェーンを利用する機会が出てくると見られています。

特にIoTはリアルタイム性が求められるため、世界的にもIoTを前提としたブロックチェーンの技術開発が行われているといいます。

IoTとブロックチェーン

IoTとブロックチェーン

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パネルディスカッション:ブロックチェーンを活用した企業の新事業創出

パネルディスカッションでは「ブロックチェーンを活用した企業の新事業創出」をテーマに、4名の著名人が出されるお題について答えていきました。ここでは、筆者が気になった発言内容を取り上げていきます。出演者:

  • クーガー:石井敦氏
  • NTTデータ:山下真一氏
  • 富士通総研:松本泰明氏
  • Nippon Wealth Limited:長谷川健一氏
パネルディスカッションの様子

パネルディスカッションの様子

Q1 企業のブロックチェーン導入で苦労したことは?それをどうやって克服したか?

松本氏:

ブロックチェーン導入を社内に提案したら、ブロックチェーン=仮想通貨=怪しいもの と見られてボツになった。

社内で理解されていないため、危ないものには触れないという意識が大きい。コインチェックのような仮想通貨事故との混同が障害になる。

(どう克服した?)世の中でブロックチェーンという言葉は認知されてきているので、みんな勉強しなければならないという意識はある。そこをうまく掴むようにしていくと良いだろう。仮想通貨という話はNGになる。

山下氏:

言葉の会社の違いが多くて、会話が成り立たないことがあった。

(どう克服した?)社内の目線合わせをしていった。社内セミナーや本を使って、関係者に情報をインプットしていった。

石井氏:

開発のためのロクな情報がなかった。

(どう克服した?)情報があつまるようにコミュニティを作った。

Q2 開発のリースはどう確保した?

松本氏:

ブロックチェーンはいろいろなプロトコルがあるので、技術者が変わるし、コミュニティが変わる。それに適した人を探すことが大変だった。

その時に必要なリソースを広めにとって探していくしかないのではないと感じている。

Q3 企業にブロックチェーンを導入するにあたってのアドバイスは?

長谷川氏:

チャレンジングでリスクも多いが、ポジティブに考えるといいと思う。

松本氏:

ブロックチェーンは、今まで仲の良くなかったプレイヤーをつなぐことができると思う。

仲の良くないプレイヤーとどう連携していくかというスキーム(コミュニティや企業のコンソーシアムづくり)がハードルになる。

まずは複数企業の連携という話をせず、自社内の連携のところからアプローチしていくと良い。

山下氏:

まずは人間のつなげ方を社内テストしてみることが良いと思う。

同じような課題はどこにでもあるので、課題を外にオープンしてみると解決策が得られるのではないか。

石井氏:

ブロックチェーンは中枢のガバナンスを自動化できる。

既存システムのリプレースは向かないと思うので、まずは新規でやることの方が良いと思う。

BINARYSTARに関する情報

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この記事を書いた人

TOKEN ECONOMISTのDirector。「ブロックチェーンによる少し先の未来を魅せる」をポリシーに、注目しているプロジェクトの紹介やインタビューを行っています。

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