米国の大手銀行、JPモルガン・チェースが開発した「JPM Coin」が、リップルの置き換えになるのではと話題になりました。企業や金融機関などが使うことから、リップルの競合と見られる場合もあるJPM Coinは、どのようなものなのかを見ていきます。
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JPM Coinとは
JPM Coinは、JPモルガン・チェースが発行したステーブルコインです。2019年3月現在、まだ少数の企業顧客でテストされているプロトタイプ段階にあります。企業間の送金用途のために設計されており、今のところの個人が利用できるようになる計画はありません。
JPM Coinそのものは、よくある透明性が確保されたステーブルコインと一緒です。JPモルガンが保有している法定通貨が担保となり、法定通貨とJPM Coinの価値が1:1になるように設計されています。
企業は、JPM Coinを使うことによって、カウンターパーティリスクや決済リスクを減らし、コストを減らし、即時送金の恩恵を受けることができるとされています。
JPM Coinの特徴
価値が一定のステーブルコイン
JPM Coinは、米ドルと価値が連動したステーブルコインです。
発行と償還のプロセスは、他の法定通貨担保型のステーブルコインと変わりません。JPM Coinを発行する場合は、顧客は準備講座に資金を預け、同数のJPM Coinを受け取ります。JPM Coinは分散型台帳上でやり取りされることになります。JPM Coinを米ドルに償還する場合は、発行と逆のことをするだけです。
JPM Coinは、初期は米ドルだけですが、その後他の法定通貨に対象を拡大していく予定です。
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JPモルガンの強力な関与がある
JPM Coinは、JPモルガンの超中央集権的なソリューションになります。JPモルガンでは、中央集権的なことによるメリットを、以下のように主張しています。
- バランスシート(貸借対照表)が強力である
- セキュリティが高くイノベーションをリードしている
- ガバナンスとコンプライアンスが強く守られている
- 規制を遵守している
特にパランスシートについては、JPモルガンは2.6兆ドル(289兆5600億円相当)のバランスシート規模になります。仮に、その1%がJPM Coinで決済されるようになると仮定すると、その規模は2兆8956億円になります。これは既存の米ドル連動した法定通貨担保型のステーブルコインの時価総額の10倍に相当します。
Quorumのトークンとして発行される
JPM Coinは、独自ブロックチェーンQuorumのトークンとして発行されます。その後、他のブロックチェーンプラットフォームでも使えるようにする予定です。
QuorumはJPモルガンが開発し、オープンソース化されてたEthereumがベースと鳴ったブロックチェーンプラットフォームです。
Quorumは、金融分野における企業用途として開発されているため、参加するノードは許可制となっています。許可されていないノードが勝手にネットワーク参加を試みたとしても、参加できないようになっています。これにより、最も情報保護にシビアな金融でも使えるようになります。
また、Quorumでは取引の実行をするノードを指定することができるプライベートトランザクションをすることができます。これにより、特定のノードのみに情報が保持されるようになるため、データを秘匿化します。
既存のステーブルコインとの違い
既存のステーブルコイン USDC、USDTなど) |
JPM Coin | |
---|---|---|
担保 | ・銀行で保有する準備金 ・担保の妥当性はコインにより異なる |
・JPモルガンが保有する法定通貨 |
利用ブロックチェーン | ・オープンアクセス | ・クローズアクセス |
取引できる人 | ・誰でも | ・JPモルガンのKYCを通った企業顧客のみ |
利用対象者 | ・小売 ・限られた投資家 |
・機関投資家 |
利用シーン | ・投資 | ・ブロックチェーンを利用した支払い |
JPM Coinに関する情報
- JPM Coinのアナウンス – J.P.Morgan Creates Digital Coin for Payments
- Quorum紹介ページ – Quorum: Advancing Blockchain Technology
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